tsurfの機械設計研究室

機械設計未経験もしくは初心者の方に向けたブログです 基礎的な知識やスキルを記事にしていきます  ブログのお問合せフォームからお気軽に連絡ください

【機械設計雑記】設計者は駆動系の選定計算を メーカーの選定プログラムに頼ってはいけない理由

本ブログの御訪問ありがとうございます

機械設計歴20年以上のtsurfと言います

 

今回は以下に関する記事です

【機械設計雑記】設計者は駆動系の選定計算を メーカーの選定プログラムに頼ってはいけない理由

 

  

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

f:id:tsurf:20211111080821p:plain

とある
初心者機械設計者

いやー 最近は

基礎物理や選定計算を知らなくても

メーカーの選定プログラムがあるから

特に問題ないけど?

 

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

f:id:tsurf:20210611183707p:plain

管理人TSURF

断言します

メーカーの選定プログラムに

頼ってはいけません

私の体験談をもとに

理由を 説明します

 

①結論

f:id:tsurf:20211111082751p:plain
機械設計者は 

モーターのトルク計算やエアシリンダーの推力計算などの際に

メーカーの選定プログラムを使わないほうがいいです

 

これは 

私の 設計者はこうあるべき論を語ろうとしているわけではありません

 

メーカーの選定プログラムが必ずしも

あなたの計算したい条件なのかが 不明なのです

 

②事例

概要

メーカーの選定プログラムには 

そのメーカー独自の考えが織り込まれている場合があります

 

私が とある空圧機器メーカーでやり取りした内容を紹介します

 

この とある空圧機器メーカーは

カタログの選定手順を見て驚きました水平搬送でさえ

摩擦係数を1で計算しろ との記載でした

 

水平搬送での摩擦は重力より はるかに弱い力です

にも拘らず 摩擦係数1では 重力そのままの計算となり

オーバースペックとなります

 

とある空圧機器メーカーとのやり取り

とあるエア駆動機器メーカーでのやり取りです

その装置の とある水平搬送部の駆動系に 

ストローク調整ユニット付きのロッドレスシリンダーを選定しました

f:id:tsurf:20211111083229p:plain

水平摩擦力と推定加速力から 出力径を計算しています

 

しかし おかしいのです

このエアシリンダーはストローク調整ユニットに

ショックアブソーバを搭載していて

計算上は ショックアブソーバの単体の許容運動エネルギーは十分なのです

 

しかし エアシリンダーのストローク調整ユニットとしての

ショックアブソーバーの衝撃吸収能力が カタログ上

なぜか 私の想定搬送重量をはるかに下回る重量しか 許容できないのです

f:id:tsurf:20211031095216p:plain



 

ポイント

ロッドレスエアシリンダーに

ストッパーユニットとして組み込まれているショックアブソーバーは

個別に許容運動エネルギー計算をするのではなく 

カタログに許容搬送重量として記載されています

 

おかいしいと思い 空圧機器メーカーに詳しい話を聞いたところ

その空圧メーカーは 水平搬送でも 摩擦係数を1として計算していました

私は はなっから自分で推力計算をしていたので 気づきませんでした

 

ポイント

ロッドレスエアシリンダーに

ストッパーユニットとして組み込まれている

ショックアブソーバーは 通常 ガイドを使っている水平搬送の場合

ガイドのカタログスペック上は 摩擦係数は0.05等です

しかし 私は安全のため 摩擦係数は0.1で計算をしています

 

つまり このロッドレスエアシリンダーは メーカーの想定スペック自体が

私の想定した重量の1/10程度の搬送しかできないメーカー計算をしているのです

 

ですので ショックアブソーバの許容搬送重量も

私の想定した重量の1/10程度の搬送しかできない

カタログスペック値だったのです

 

つまり このような考えが選定プログラムに組み込まれている可能性があります

 

 

③この空圧機器メーカーの考え方の問題点

概要

昨今の装置に見る機械設計の状況として

低コスト化 高品質化 短納期化という問題があります

 

この空圧機器メーカーの考えの問題点を解説していきます

 

低コスト化

当然といえば 当然なのですが 

出力径の大きい エアシリンダを選定すれば それだけコストが高くなります

 

無駄な搬送力を省き コストを抑えたいから必要なサイズを選ぶのです

 

これにより わざわざ必要スペックをはるかに上回る出力径のものを

選定し購入しなくてはいけません

 

 

 

高品質化

装置の品質を高めるには

限られたスペース内で 効率よく駆動系を配置しなくてはいけません

そのためには なるべく省スペースであることも求められます

 

にも拘らず 出力径の大きいものを選んでいると

設置スペースの関係上 できるものもできなくなります

 

結果 品質が落ちていくことになります

 

 

④設計者が選定することの重要性(社内選定ノウハウの構築)

以上のことから 私は駆動系の選定計算は

メーカー選定プログラムや 推奨選定計算に頼るのではなく

設計者がすべきものと考えます

 

それが メーカー推奨選定によらない 自社の選定ノウハウの構築につながり

結果 低コスト 短納期 高品質が自社のノウハウで可能となります

 

設計をろくに知らない役員や経営者などが

以下のようなことをよく口にします

f:id:tsurf:20210630092915p:plain

設計を知らない役員

メーカー推奨の選定方法でなくては

保障がつかないよ

 

しかし もはや 昨今の状況を鑑みるに

●短納期 

●低コスト 

●高品質 

●メーカー推奨の選定(保障)

 

以上の全てを成り立たすのは かなり至難の業で 状況によっては無理です

何かを 捨てなくてはならないのであれば 真っ先にメーカー保証でしょう

 

メーカー任せの設計をするのではなく 

設計者自らの選定で 結果的に自社の選定ノウハウを築くべきなのです

 

 

⑤メーカーの選定プログラムを使ってもいい例

メーカーの選定プログラムを使っていい例を紹介します

 

それは メーカーの選定プログラムに計算式が記載されており

それが 自身の納得のいく場合であることです

 

その選定プログラムの選定結果と 

自身が選定した結果を比較したことがあるのであれば なおいいです

 

 

 

 

⑥選定計算をできるようになるために

私のブログ記事で恐縮ですが 以下を御参照ください

●物理の基礎に対する理解

 

●エアシリンダーの推力計算です


●ボールネジ機構のサーボモーターの選定計算です


●ベルト機構のサーボモーターの選定計算です


 

 

 

 

⑦まとめ

●設計者は駆動系の選定にメーカーの選定プログラムを頼ってはいけない

●なぜなら あなたの求める条件なのかどうかが 不明だからです

●メーカーの考えが 織り込まれている場合もあります

●設計者が自身の計算で選定することが必要

●それが 自身や自社のノウハウになり 低コスト 高品質化が可能となります

●ツールというのは なんでもそうですが 理解して使うことが大切です

 

 

 

本記事は以上です

最後までお読み頂きありがとうございます