tsurfの機械設計研究室

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エアシリンダの構造と動作原理

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です

複動エアシリンダの動作原理

 

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

エアシリンダーの
以下のことについて教えてよ

  • エアシリンダの構造って?
  • エアシリンダが どのようにして 動作をするのか?
  • エアシリンダの 速度制御法って?

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

以下を なるべく
わかりやすく説明します

  • エアシリンダーの構造
  • エアシリンダーの動作原理
  • エアシリンダーの速度を制御するスピードコントローラー 

 

 

①エアシリンダの構造

概要

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今回はロッド付きのエアシリンダーを例に解説します。

 

詳しくは後述しますので、概要として以下の図を御参照ください。
構造としては、以下のように いたってシンプルな構造です。

 

f:id:tsurf:20220121181119p:plain

    ロッド側にエアが供給された状態


 

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    ヘッド側にエアが供給された状態

 

構造の説明として 主に以下の2点について解説します。

  • パッキンについて
  • エア吸排気ポートについて

 

解説1 パッキンについて

エアシリンダは、非常にシンプルな構造をしています。
図にもあるようにロッドと 外筒で構成されています。

 

そして内部にパッキンがあります

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パッキンの役割

このパッキンは、充填されたエアをシールして、
圧力を保持するためのものです。

このパッキンがないと 圧力が逃げてしまい、動作しなくなります

 

パッキンの注意点

このパッキンは、エアをシールするために 
エアシリンダー外筒に接しています。

つまり パッキンは摺動しています。

 

なので 経年劣化や、摺動摩擦により 次第に傷んできます。
このパッキンが傷むと、圧力を保持することができず
推力が落ちていき、最悪 動作しなくなります。

 

 

<解説1 補足>パッキンの保護のための機械的構成

上記の構造から、
内部のパッキンを傷めない機械的構成が必要です。
くわしくは、以下の記事を参照してください。

 

 

解説2 吸排気ポートについて

この吸排気ポートは エアシリンダを駆動させるための
エアを供給したり 排気したりするポートです。

ここに、スピードコントローラーを装着します。
これについては 後述します。

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②エアシリンダの動作原理

ロッド側に押し出す場合

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電磁弁より、ヘッド側にエアが供給されます。
同時にロッド側のエアが排気されます。

このことにより、ロッドは エアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます。

 

この時のエアシリンダの出力は

エアシリンダの内径面積x供給エア圧となります

 

ヘッド側に引っ込む場合

 f:id:tsurf:20200723102654p:plain

電磁弁より、ロッド側にエアが供給されます。
同時にヘッド側のエアが、排気されます。

このことにより、ロッドはエアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます

 

この時のエアシリンダの出力は

(エアシリンダの内径面積-ロッド径の面積)x供給エア圧となります

よってロッド付きエアシリンダの場合は 

ロッド引っ込み時は出力が小さくなります

 

<補足>エアシリンダの選定計算

動作の説明中 エアシリンダの出力について軽くふれていますが、
詳しい計算方法は、以下の記事を参照願います。

 

⇩エアシリンダの選定計算⇩

 

 

③エアシリンダの速度制御に使うスピードコントローラー

概要

先述の解説のとおり、
エアシリンダの吸排気ポートに、スピードコントローラー
というものを装着します。

 

スピードコントローラーの概要は以下のようになります。

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この調整用つまみで、エアの流量を手動調整することにより
エアシリンダーの速度を、調整することになります。

エアシリンダーの速度調整法には、以下があります。

 

メーターイン

エアシリンダに供給するエアの流量を、制限して速度を制御します。
メーターインの特性については後述します。

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メーターアウト

エアシリンダから排気するエアの流量を、制限して速度を制御します。
特に理由が無い場合は、基本的にはこちらにします。
メーターアウトの特性については、後述します。

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④エアシリンダの速度制御法 メーターイン

概要

供給エアを制限することにより速度を制御します。
排気エアは制限なしに一気に排気します。

 

メリット

  • 供給エアを絞って制限しているので 出だしが多少ゆるやか
    スロースタートをしたい場合は若干有利

 

デメリット

  • 動作が不安定
    以下の図3のように まず ロッドが動き出します
    従って ある程度動くと体積が膨張します 

    しかし 供給エアをしぼっているので 体積膨張に間に合わない場合
    圧力が降下し 動作が遅くなったり 止まったりします
    結論として シリンダ内のエア圧が安定しない場合があるのです。

    この場合 対策として低速専用のエアシリンダを選定します。

   f:id:tsurf:20200723104329p:plain

 

 

  • 垂直姿勢の下降動作の場合落下してしまう
    図4のように 垂直姿勢の場合で電磁弁が下降動作用の供給 排気に
    切り替わった際に 下降側のエアが一気になくなることにより、
    落下してしまいます。

    この場合 対策としてメーターアウトも併用します。

   f:id:tsurf:20200723105528p:plain

 

 

⑤エアシリンダの速度制御法 メーターアウト

概要

排気エアを制限することにより速度を制御します。
供給エアは制限なしに一気に流入します。

 

メリット

  • 動作が安定
    排気を絞っても 供給エアは制限なしに流入するので 
    シリンダ内の内圧が安定します
    つまり エアシリンダーの動作が安定します

  • 垂直姿勢の下降動作にデメリットがない
    排気エアが 一気に排気されず 排気エア量を絞ることで
    速度を制御しているからです

 

 

デメリット

  • 供給エアが一気に流入するので 出だしの勢いがすごい場合がある
    スロースタートをしたい場合は若干不利

 

 

⑥エアシリンダーの制御とスピードコントローラー

エアシリンダーを駆動させるための電磁弁は
5ポート弁です。

  • 5ポート弁とエアシリンダのエアの流れ
  • エアシリンダとスピードコントローラー
    のエアの流れ

上記は以下の記事で詳しく解説します。

 

 

⑦まとめ

  • エアシリンダは エアの圧力を利用し駆動する
  • ロッド付きエアシリンダの場合 ロッド引き込み動作時の出力は低下する
  • エアシリンダの速度制御には スピードコントローラーを用いる
  • 速度制御には メーターイン と メーターアウトの2種類がある
  • メーターインは供給エア絞り メーターアウトは排気絞り
  • エアシリンダとして 動作が安定するのは メーターアウト

 

 

⑧その他関連記事

エアシリンダーの電磁弁による動作の解説や、
エアシリンダーの種類、機種の選定、出力選定計算など
あらゆる学習記事を掲載しています。

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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