本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です
わかりやすい
エアシリンダの構造と動作原理
と使用用途
⇩本記事は機械設計初心者の方で
以下の方にオススメです⇩
エアシリンダーついて
- どんな構造?
- どうやって動作をするの?
- どうやって速度制御する?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
エアシリンダの
簡単な構造解説
動作方法と速度制御
を解説します。
- ①エアシリンダの構造概要
- ②エアシール用のパッキンと吸排気ポート
- ③エアシリンダの動作原理
- ④エアシリンダの速度制御に使うスピードコントローラー
- ⑤エアシリンダの速度制御法 メーターイン
- ⑥エアシリンダの速度制御法 メーターアウト
- ⑦エアシリンダーの制御とスピードコントローラー
- ⑧エアシリンダーの使用用途と使われる理由
- ⑨その他関連記事
①エアシリンダの構造概要
概要解説
エアシリンダーは構造としては、
以下のようにいたってシンプルな構造です。
ロッドについて詳細
ロッドは以下のようになっていて
オレンジ色で塗った部位にエア圧を
受けて上下に駆動します。
駆動の概要
⇩ロッド引っ込む動作の場合⇩
吸排気ポートAにエアが供給され
吸排気ポートBからエアが排出されると
ロッドのオレンジの部位にエア圧を受けて
ロッドが引っ込む方向に駆動します。
⇩ロッドが飛び出す動作の場合⇩
吸排気ポートBにエアが供給され
吸排気ポートAからエアが排出されると
ロッドのオレンジの部位にエア圧を受けて
ロッドが飛び出す方向に駆動します。
エアシリンダーは
エアの圧力によって内部のロッドが上下に動作する
という非常にシンプルな構造です。
そのためにロッドが上下するために必要な
- 内部のパッキン
- 吸排気ポート
さえ押さえておけば理解が可能です。
②エアシール用のパッキンと吸排気ポート
エアシール用パッキン
エアシリンダは、非常にシンプルな構造をしています。
図にもあるようにロッドと 外筒で構成されています。
そして内部にパッキンがあります
パッキンの役割
このパッキンは、充填されたエアをシールして、
圧力を保持するためのものです。
このパッキンがないと 圧力が逃げてしまい、
動作しなくなります
パッキンの注意点
このパッキンは、エアをシールするために
エアシリンダー外筒に接しています。
つまり パッキンは摺動しています。
なので 経年劣化や、摺動摩擦により 次第に傷んできます。
このパッキンが傷むと、圧力を保持することができず
推力が落ちていき、最悪 動作しなくなります。
上記の構造から、
内部のパッキンを傷めない機械的構成が必要です。
くわしくは、以下の記事を参照してください。
吸排気ポート
エアシリンダにある吸排気ポートは
エアシリンダを駆動させるために
- エアを供給したり
- エアを排気したり
重要な役割をするポートです。
ここに、スピードコントローラーを装着します。
これについては 後述します。
このポートの役割を、実際の動きと
照らし合わせながら次章で解説をしていきます。
③エアシリンダの動作原理
ロッドを押し出す場合
電磁弁より、ヘッド側にエアが供給されます。
同時にロッド側のエアが排気されます。
このことにより、ロッドは エアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます。
この時のエアシリンダの出力は
エアシリンダの
内径面積x供給エア圧となります
ロッドが引っ込む場合
電磁弁より、ロッド側にエアが供給されます。
同時にヘッド側のエアが、排気されます。
このことにより、ロッドはエアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます
この時のエアシリンダの出力は
(エアシリンダの内径面積-ロッド径の面積)
x供給エア圧となります
よってロッド付きエアシリンダの場合は
ロッド引っ込み時は出力が小さくなります
<補足>エアシリンダの選定計算
動作の説明中
エアシリンダの出力について軽くふれていますが、
詳しい計算方法は、以下の記事を参照願います。
⇩エアシリンダの選定計算⇩
④エアシリンダの速度制御に使うスピードコントローラー
概要
先述の解説のとおり、
エアシリンダの吸排気ポートに、スピードコントローラー
というものを装着します。
スピードコントローラーの概要は以下のようになります。
この調整用つまみで、エアの流量を手動調整することにより
エアシリンダーの速度を、調整することになります。
エアシリンダーの速度調整法には、以下があります。
メーターイン
エアシリンダに供給するエアの流量を、制限して速度を制御します。
メーターインの特性については後述します。
メーターアウト
エアシリンダから排気するエアの流量を、制限して速度を制御します。
特に理由が無い場合は、基本的にはこちらにします。
メーターアウトの特性については、後述します。
⑤エアシリンダの速度制御法 メーターイン
概要
供給エアを制限することにより速度を制御します。
排気エアは制限なしに一気に排気します。
メリット
- 供給エアを絞って制限しているので 出だしが多少ゆるやか
スロースタートをしたい場合は若干有利
デメリット
- 動作が不安定
以下の図3のように まず ロッドが動き出します
従って ある程度動くと体積が膨張します
しかし 供給エアをしぼっているので 体積膨張に間に合わない場合
圧力が降下し 動作が遅くなったり 止まったりします
結論として シリンダ内のエア圧が安定しない場合があるのです。
この場合 対策として低速専用のエアシリンダを選定します。
- 垂直姿勢の下降動作の場合落下してしまう
図4のように 垂直姿勢の場合で電磁弁が下降動作用の供給 排気に
切り替わった際に 下降側のエアが一気になくなることにより、
落下してしまいます。
この場合 対策としてメーターアウトも併用します。
⑥エアシリンダの速度制御法 メーターアウト
概要
排気エアを制限することにより速度を制御します。
供給エアは制限なしに一気に流入します。
メリット
- 動作が安定
排気を絞っても 供給エアは制限なしに流入するので
シリンダ内の内圧が安定します
つまり エアシリンダーの動作が安定します - 垂直姿勢の下降動作にデメリットがない
排気エアが 一気に排気されず 排気エア量を絞ることで
速度を制御しているからです
デメリット
- 供給エアが一気に流入するので 出だしの勢いがすごい場合がある
スロースタートをしたい場合は若干不利
⑦エアシリンダーの制御とスピードコントローラー
エアシリンダーを駆動させるための電磁弁は
5ポート弁です。
- 5ポート弁とエアシリンダのエアの流れ
- エアシリンダとスピードコントローラー
のエアの流れ
上記は以下の記事で詳しく解説します。
詳しいスピードコントローラーの構造について
御興味があれば、以下の記事を御参照願います。
⑧エアシリンダーの使用用途と使われる理由
エアシリンダーは、その特性から
シリンダー内部の端から端までの
つまりは、単純な2点間搬送に向いています。
というか、エアシリンダで多点で中間停止したい場合
できないことはありませんが、限定的であり
場合によっては不可能である場合があります。
反面、モーターなどを使った直動機構は
- 多点の中間停止が可能
- モーターがサーボの場合、高精度な位置決めが可
という特徴がありますが、コストが掛かります。
ですが、単純な2点間搬送であれば
エアシリンダーは、
- 圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
- かつ、強大なエアの力を使うので
エアシリンダ本体は小型で設置に困ることが少ないです。 - オートスイッチなど位置センサー付きで手配可能です。
という圧倒的な利便性があります。
しかも、単純な2点間搬送は
複雑な装置でも、意外と多いです。
なので
装置にはエアシリンダの使用が非常に多いです。
⑨その他関連記事
エアシリンダーの電磁弁による動作の解説や、
エアシリンダーの種類、機種の選定、出力選定計算など
あらゆる学習記事を掲載しています。
本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。