tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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わかりやすいエアシリンダの構造と動作原理と使用用途

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です

わかりやすい
エアシリンダの構造と動作原理
と使用用途

 

⇩本記事は機械設計初心者の方で
以下の方にオススメです⇩

f:id:tsurf:20210605171303p:plain
とある
初心者機械設計者

エアシリンダーついて

  • どんな構造?
  • どうやって動作をするの?
  • どうやって速度制御する?

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

管理人TSURF

エアシリンダの
簡単な構造解説
動作方法と速度制御
を解説します。

 

 

①エアシリンダの構造概要

概要解説

エアシリンダーは構造としては、
以下のようにいたってシンプルな構造です。

 

ロッドについて詳細

ロッドは以下のようになっていて

オレンジ色で塗った部位にエア圧を
受けて上下に駆動します。

 

 

駆動の概要

⇩ロッド引っ込む動作の場合⇩

吸排気ポートAにエアが供給され
吸排気ポートBからエアが排出されると
ロッドのオレンジの部位にエア圧を受けて

ロッドが引っ込む方向に駆動します。

 

⇩ロッドが飛び出す動作の場合⇩

吸排気ポートBにエアが供給され
吸排気ポートAからエアが排出されると
ロッドのオレンジの部位にエア圧を受けて

ロッドが飛び出す方向に駆動します。

 

エアシリンダーは
エアの圧力によって内部のロッドが上下に動作する

という非常にシンプルな構造です。

 

そのためにロッドが上下するために必要な

  • 内部のパッキン
  • 吸排気ポート

さえ押さえておけば理解が可能です。

 

 

②エアシール用のパッキンと吸排気ポート

エアシール用パッキン

エアシリンダは、非常にシンプルな構造をしています。
図にもあるようにロッドと 外筒で構成されています。

 

そして内部にパッキンがあります

 

パッキンの役割

このパッキンは、充填されたエアをシールして、
圧力を保持するためのものです。

このパッキンがないと 圧力が逃げてしまい、
動作しなくなります

 

パッキンの注意点

このパッキンは、エアをシールするために 
エアシリンダー外筒に接しています。

つまり パッキンは摺動しています。

 

なので 経年劣化や、摺動摩擦により 次第に傷んできます。
このパッキンが傷むと、圧力を保持することができず
推力が落ちていき、最悪 動作しなくなります。

 

上記の構造から、
内部のパッキンを傷めない機械的構成が必要です。
くわしくは、以下の記事を参照してください。

 

 

吸排気ポート

エアシリンダにある吸排気ポートは 
エアシリンダを駆動させるために

  • エアを供給したり 
  • エアを排気したり

重要な役割をするポートです。

 

ここに、スピードコントローラーを装着します。
これについては 後述します。


このポートの役割を、実際の動きと
照らし合わせながら次章で解説をしていきます。

 

 

③エアシリンダの動作原理

ロッドを押し出す場合

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電磁弁より、ヘッド側にエアが供給されます。
同時にロッド側のエアが排気されます。

このことにより、ロッドは エアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます。

 

この時のエアシリンダの出力は

エアシリンダの
内径面積x供給エア圧となります

 

ロッドが引っ込む場合

 f:id:tsurf:20200723102654p:plain

電磁弁より、ロッド側にエアが供給されます。
同時にヘッド側のエアが、排気されます。

このことにより、ロッドはエアシリンダ動作方向とある
矢印方向に動きます

 

この時のエアシリンダの出力は

(エアシリンダの内径面積-ロッド径の面積)
x供給エア圧
となります

よってロッド付きエアシリンダの場合は 
ロッド引っ込み時は出力が小さくなります

 

<補足>エアシリンダの選定計算

動作の説明中 
エアシリンダの出力について軽くふれていますが、
詳しい計算方法は、以下の記事を参照願います。

 

⇩エアシリンダの選定計算⇩

 

 

④エアシリンダの速度制御に使うスピードコントローラー

概要

先述の解説のとおり、
エアシリンダの吸排気ポートに、スピードコントローラー
というものを装着します。

 

スピードコントローラーの概要は以下のようになります。

f:id:tsurf:20211105162627p:plain

この調整用つまみで、エアの流量を手動調整することにより
エアシリンダーの速度を、調整することになります。

 

エアシリンダーの速度調整法には、以下があります。

 

メーターイン

エアシリンダに供給するエアの流量を、制限して速度を制御します。
メーターインの特性については後述します。

f:id:tsurf:20211105165305p:plain

メーターアウト

エアシリンダから排気するエアの流量を、制限して速度を制御します。
特に理由が無い場合は、基本的にはこちらにします。
メーターアウトの特性については、後述します。

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⑤エアシリンダの速度制御法 メーターイン

概要

供給エアを制限することにより速度を制御します。
排気エアは制限なしに一気に排気します。

 

メリット

  • 供給エアを絞って制限しているので 出だしが多少ゆるやか
    スロースタートをしたい場合は若干有利

 

デメリット

  • 動作が不安定
    以下の図3のように まず ロッドが動き出します
    従って ある程度動くと体積が膨張します 

    しかし 供給エアをしぼっているので 体積膨張に間に合わない場合
    圧力が降下し 動作が遅くなったり 止まったりします
    結論として シリンダ内のエア圧が安定しない場合があるのです。

    この場合 対策として低速専用のエアシリンダを選定します。

   f:id:tsurf:20200723104329p:plain

 

 

  • 垂直姿勢の下降動作の場合落下してしまう
    図4のように 垂直姿勢の場合で電磁弁が下降動作用の供給 排気に
    切り替わった際に 下降側のエアが一気になくなることにより、
    落下してしまいます。

    この場合 対策としてメーターアウトも併用します。

   f:id:tsurf:20200723105528p:plain

 

 

⑥エアシリンダの速度制御法 メーターアウト

概要

排気エアを制限することにより速度を制御します。
供給エアは制限なしに一気に流入します。

 

メリット

  • 動作が安定
    排気を絞っても 供給エアは制限なしに流入するので 
    シリンダ内の内圧が安定します
    つまり エアシリンダーの動作が安定します

  • 垂直姿勢の下降動作にデメリットがない
    排気エアが 一気に排気されず 排気エア量を絞ることで
    速度を制御しているからです

 

 

デメリット

  • 供給エアが一気に流入するので 出だしの勢いがすごい場合がある
    スロースタートをしたい場合は若干不利

 

 

⑦エアシリンダーの制御とスピードコントローラー

エアシリンダーを駆動させるための電磁弁は
5ポート弁です。

  • 5ポート弁とエアシリンダのエアの流れ
  • エアシリンダとスピードコントローラー
    のエアの流れ

上記は以下の記事で詳しく解説します。

詳しいスピードコントローラーの構造について
御興味があれば、以下の記事を御参照願います。

 

 

⑧エアシリンダーの使用用途と使われる理由

エアシリンダーは、その特性から
シリンダー内部の端から端までの
つまりは、
単純な2点間搬送に向いています。

 

というか、エアシリンダで多点で中間停止したい場合
できないことはありませんが、限定的であり
場合によっては不可能である場合があります。

 

反面、モーターなどを使った直動機構は

  • 多点の中間停止が可能
  • モーターがサーボの場合、高精度な位置決めが可

という特徴がありますが、コストが掛かります。

 

ですが、単純な2点間搬送であれば
エアシリンダーは、

  • 圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
  • かつ、強大なエアの力を使うので
    エアシリンダ本体は小型で設置に困ることが少ないです。
  • オートスイッチなど位置センサー付きで手配可能です。

という圧倒的な利便性があります。

 

しかも、単純な2点間搬送は
複雑な装置でも、意外と多いです。

なので
装置にはエアシリンダの使用が非常に多いです。

 

 

⑨その他関連記事

エアシリンダーの電磁弁による動作の解説や、
エアシリンダーの種類、機種の選定、出力選定計算など
あらゆる学習記事を掲載しています。

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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