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今回は以下に関する記事です。
【エアシリンダ講座】
デュアルロッド(ツインロッド)
シリンダーの概要と出力計算
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
デュアルロッド
(ツインロッド)
シリンダー?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
デュアルロッド
(ツインロッド)
シリンダーとは
出力ロッドが2本
あるエアシリンダー
のことです。
①結論
デュアルロッドシリンダーとは
エアシリンダの出力ロッドが2本使い
となっているものです。
少しややこしいですが
2本のガイドを内蔵したガイド付きシリンダー
ではありません。
もちろん
ガイド付きのデュアルロッドシリンダー
もありますが
あくまで、ガイドが2本ではなく
出力ロッドが2本ある
ということです。
②デュアルロッドシリンダーの構造
概要
通常のエアシリンダーは以下のような
構造になっています。
詳しい解説は以下の記事を御参照願います。
通常のエアシリンダーでは、
シリンダーのボディの中に
1つの出力ロッドが内蔵
されています。
しかしデュアルロッド(ツインロッド)
では以下のような構造になっています。
デュアルロッド(ツインロッド)
シリンダーでは、
2本の出力ロッドが内蔵
されています。
これにより、例えばφ12のエアシリンダでも
理論出力値は2倍になっています。
何のため?
単純に
薄くて高出力のエアシリンダー
とするためです。
例えば
Φ12x2のデュアルロッドシリンダーの場合
薄さはΦ12のエアシリンダー程度の薄さで
周辺の設計が可能となります。
これは非常に有難いことで、
実際の設計においても
幅方向は、ある程度融通がきくことはあっても
高さを高くしたくない
という場合はそこそこあります。
その場合、通常のエアシリンダーでは、
出力ロッド径を大きくすると厚さ方向も大きく
なってしまいます。
ですが、そこでデュアルロッドシリンダーで
検討をすると、解決できる
と言う場合も多いです。
③ガイド付きデュアルロッドシリンダー選定注意点
通常、このガイドと一体となっている駆動系は
エアシリンダーや電動シリンダー問わず
本体の駆動系自体の出力の割にガイドが弱く
メーカーカタログでののガイドモーメント計算で
- モーメントがほぼない機構では全く問題ない
- 少しでもモーメントが大きいと案外使えない場合が多い
というケースが非常に多いです。
デュアルロッドシリンダーも例外ではなく
出力が大きい割にモーメントが大きいと
使えない場合があります。
とは言え、ガイドが一体になっている駆動系は
小型でコンパクトな設計になることが多いので
出力には問題なくてもガイドのためだけに
出力ロッド径を大きくする価値は十分にあります。
メーカーカタログに記載されている
モーメントの計算は必ず行いましょう。
smc製のエアスライドテーブルである
MXQシリーズなどは、このようなタイプの
デュアルロッドでガイド付きのタイプです。
非常に設計に便利な反面
ガイドの計算には注意しましょう。
④デュアルロッドシリンダーの理論出力計算
詳細は以下の記事を御参照願います。
例えば
- 出力径Φ12mm
- ロッド径Φ6mm
- エア圧0.5MPa(N/mm²)
であれば、以下の記事で記載の出力計算をすると
押し出し側の場合の出力
(最後の×2は出力ロッド2本のため)
=(12/2)²×3.14×0.5×2
≒113‹N›
となります。
引き込み側の場合の出力
(最後の×2は出力ロッド2本のため)
={(12/2)²-(6/2)²}×3.14×0.5×2
≒85‹N›
となります。
⑤まとめ
- デュアルロッドシリンダーとは
- 出力ロッドが2本あるシリンダー
- 単純に薄くて高出力となる
- 設計時に非常に有利で便利
- ガイド付きのものはさらに便利
- ただしガイド付きの場合に注意が必要
- モーメント計算は必ず行いましょう。
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。