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機械設計歴20年以上T.surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
機械設計における 実際の
軽量駆動機構のベースプレート材質、板厚設定例
(全てが強度計算するわけではない)
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
機械設計って
全て計算が必要なのか?
ベースプレートとか
どうするんだ?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
全てが理論計算されている
わけではありません。
駆動系の出力計算は必須ですが
ベースプレートなどの強度計算などは
よほど強度的に心配がある場所だけです。
今回は、強度計算をしない例として
軽量物のベースプレートの材質と板厚の設定例を解説します。
①事例
今回の解説用モデルは以下とします。
ガイド&ロッド付きエアシリンダーを
使用した軽量ワークの水平押出機構です。
出力径Φ6の小型のガイド&ロッド付きエアシリンダー
の固定ベースプレートAの材質と板厚xの設定例を紹介します。
条件としては、以下となります。
使用用途 | : | 800g程度の小型ワークの押し出し |
---|---|---|
駆動条件 | : |
Φ6のエアシリンダー出力 エア圧0.5MPaで
一見オーバースペックですが、
上記よりOKとします。 |
組立精度 | : | ワーク押出なので組立にそれほど精度が必要としない |
まず先に結論を言ってしまいます。
このような軽量物のベースプレートの場合
いちいち強度計算などしません。
板厚は経験則(カン)で決めます。
私が設定するのであればステンレス2B材 4tとします。
- なぜ 強度計算は必要ないのか?
- なぜ 板厚4tにしたのか?
- なぜ ステンレスにしたのか?
上記は、次章より解説します。
ー【参考】ー
強度計算が必要な場合の計算例は、以下 御参照願います。
エアシリンダーの選定計算例は、以下 御参照願います。
②結論:今回のような軽量物の場合は経験則(カン)
概要
先に結論を言ってしまいましたが、
今回のような軽量物のベースプレートの板厚は
経験則(カン)で決めます。
強度計算の必要はありません。
今回のポイントは以下です。
- 押し出されるワーク
- 押出機構
ともに軽量物である
こんなものまで強度計算までやっていたら
いくら時間があっても足りないです。
実は強度計算で板厚を算出しても
板厚は強度だけではなく、取付にも制限されるのです。
仮に強度計算をしたとして・・・
例えば、このような軽量物のベースプレートの
板厚設定で強度計算したとします。
その結果 アルミの1.5tで十分という結果がでたとします。
すると、今回の場合
ベースプレートにエアシリンダを固定する関係上
取付が面倒なことになります。
このエアシリンダーの固定穴がΦ4.3なので
M4のボルトを考えます。
すると、はM4だとネジピッチは0.7なので
板厚1.5tだとボルト固定回し量は穴約2周り程度のみです。
感覚的な話となってしまいますが、
駆動系の固定で ボルト2周り固定は考えられないです。
しかも アルミという柔らかい材質ではなおさらです。
では、ボルト ナットで固定しますか?
そんなことをすれば、組立から苦情が来ます。
なんで、単純な固定なのに
ボルト&ナットなんだよ
つまり、
直接タップを切ることにより、ナットを使わず簡単に
組付けられるほうがいいのです。
つまり、板厚は強度もそうですが
取付方法などで制限されるということです。
では板厚を4mm程度とすると・・・
板厚4mm程度であれば、以下の要件を満たせます。
- タップの深さ的にもOK
そもそものM4ナットの高さが3.2mmですし、
約6周り程度ですので、十分でしょう。
- 強度的にもOK
1.5tでOKなのであれば、
4tであれば、なおさらOKです。
では、材質は?
わざわざアルミとする必要はありません。
なぜならアルミは、母材が柔らかいので、
駆動系の取り付け部は エンザートを入れたくなります。
エンザート ヘリサートについては以下の記事を
御参照お願いします。
しかし エンザートは長さが6mmですので
この場合使えません。
すると、
選択肢としては鉄系の材質となります。
鉄系でも”ごつい形状”のものであれば
鉄系+メッキのほうが経済的かもしれません。
会社の製造システムにもよりますが、
今回の場合 せいぜい板厚4mm程度の大きくもない板です。
従って、
ステンレスにしたほうが メッキ工程が
いらない分制作は楽でしょう。
値段も あまり変わらなかったりします。
結論的には・・・
今回は、軽量ワークの押出で精度も必要ないので
平面度を出す必要もないし、
板厚に公差も必要ありません。
つまり、
板厚表面に加工をする必要性がありません。
従って、既存のステンレスや鉄などの材料の
板材を見て、規格がありますので、それを見て
4mm程度のものを探します。
4mm程度と言っただけで 必ずしも4mmにする必要はありません。
今回はステンレスで検討しているので
ちょうどステンレスの2B材に板厚4mmがあります。
板厚に加工なしの素材そのままを使用という意味で図面に
4tという表記をします。(会社によりますが)
つまり、
今回の材料は、SUS304 4t 2Bということになります。
注意点として、
場合によってはステンレスではなく、
鉄のほうがいいという場合もあるでしょう。
その場合 例えばSPCCは3.2tまでです。
別にそのままでよければ SPCC3.2tを使えばいいし、
4mmに拘るのであれば、例えばSS400のフラットバーの4.5t
などを使用すればいいのです。
③まとめ
- 小型軽量駆動用のベースプレートですが、
いちいち強度計算することは少ないです。 - いちいち強度計算をしても取付などで制限されるからです。
- 最小要件を満たしても値段があまり変わらない上に
- 作業しづらいとなったら本末転倒です。
- 上記の理由から、だいたい経験則やカンで決めます。
本記事は以上です
最後までお読み頂きありがとうございます