tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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エアシリンダーの実際の選定の流れ

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

エアシリンダの実際の選定

 

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

エアシリンダー
どうやって選定したら・・・

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

どのようにエアシリンダーを
選定していけばいいのか
一つの指標がわかります。

 

 

①結論

エアシリンダーに限らずです
仕様に合致した中で最も安いものを選定します。

その中でのベストは 
ガイド付きのロッド付きシリンダが、
トータル的に一番安く済みます。

 

ですので、まずは 
ガイド付きのロッド付きシリンダーを使るかを
確認します。

 

その後に以下の計算を行います。

出力内径計算

⇩  ⇩

許容運動エネルギー確認

 

 

②リニアガイド付きシリンダーで済むかどうかを検討

基本解説

エアシリンダーの
ガイド付きとガイド無しについては
⇩以下の記事を参照ください⇩

 

まずリニアガイド付きロッド付き
シリンダーを検討する理由

私は、まず
リニアガイド付きロッド付きエアシリンダー
が使えるかどうかをを確認します。

何故かと言うと 
こちらで、ガイドを用意する必要がありません。

従って、
トータルコストは安くなります。

 

その中でも 
リニアブッシュタイプのガイド付きエアシリンダーが、
最も安く済みます。

 

ガイドなしのエアシリンダは単品で見ると安いですが
以下のものを用意する必要があり

  • ガイド固定のためのベース板
  • フローティングジョイント
  • ガイド

トータルコストとして高くなってしまいます。

 

リニアガイド付きロッド付き
エアシリンダーが使えるかどうかの目安

目安としては 
搬送物の大きさが大きいか小さいかです。

いくら搬送物が軽くても
以下のような機構は組みたくないですよね。

搬送途中でワークが揺れそうです。

f:id:tsurf:20211222211748p:plain

 

ワークが大きければ 
ガイドを2つ使いガイドのピッチ距離を
多くとり以下の機構を組みたいものです。

f:id:tsurf:20211222211447p:plain

従って、
ガイド付きシリンダを使う目安の一つは 
ワークが重くても小さいことです。

 

以下のようであれば、よさそうですね。

なお ワーク重量は、出力選定の項目なので、
今は関係ありません

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③ガイド付きエアシリンダーのガイド注意点

エアシリンダー内蔵のガイドについては、
注意点があります。

ガイドのブッシュはエアシリンダーと一体です。

つまり、
エアシリンダボディの強度≒リニアブッシュの強度
となっていますので、
実はそれほど大きなモーメント負荷には耐えれません。

こればかりは、カタログで確認しなくては
わかりません。

 

例えば、以下の図のように荷重が偏り
ガイドにモーメントの負荷が多くかかる
場合などです。

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ガイドのモーメント許容量は
カタログに、許容条件の記載がありますので
カタログで確認をします。

 

基本的に出力径が大きくなると
エアシリンダ自体の大きさも大きくなり

  • ガイドのピッチ距離もおおきくなり
  • ガイドシャフトも太くなって

丈夫になるため許容モーメントが
大きくなる方向になります。

この場合、出力内径によってガイドの強度も
異なりますので、次項③での出力内径計算と合わせて
確認する必要があります。

 

許容条件を超えてしまっている場合は、
以下の選択となります。

 

選択肢 デメリット

選択肢

 1

ワンランク上
のものを選定する

エアシリンダーの速度が遅くなる
(④参照)
許容範囲内であればok

選択肢

 2

ガイドなしの
エアシリンダにする
外部ガイドとフローティングの
設計が必要

 

 

④エアシリンダの出力内径選定

計算の重要性

エアシリンダーの出力内径計算は
ある意味モーターのトルク計算より重要です。

モーターと違い、
エアシリンダーは大きければいい
というものではありません。

 

エアシリンダは 
小さい出力内径が小さいものの方が
搬送速度が速いです。

 

理由は簡単で、メーターアウトの場合
出力内径が小さいほうが、早くエアが抜けるからです。

 

出力内径計算に関しては 
⇩以下の記事をご参照願います⇩

 

注意点1
ロッド付きシリンダの向き

上記のリンク記事にも記載しましたが、
重要なので再度解説します。

ロッド付きシリンダは、
構造上引っ込む時には出力が小さくなります。

ロッドの径分
エア圧の受圧面積が小さくなりますので考慮します。

 

注意点2 
ロッドレスシリンダの内部摺動抵抗

ロッドレスシリンダの場合 
内径出力計算時の安全率は多めにとりましょう.

ロッドレスシリンダは,
構造上内部の摺動抵抗が大きいです。

 

注意点3
ロッドやスライドテーブルの重量

見落としがちですが、できれば
以下のの重量も計算に入れてあげましょう。

  • ロッド付きシリンダであれば、ロッドの重量
  • ロッドレスシリンダであれば、スライドテーブルの重量
  • ガイド付きであれば、ガイドの重量

 

 

⑤エアシリンダーの終端衝突衝撃吸収確認

エアシリンダーは 
終端から終端へ当てどめで止まります。

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その衝撃が上記の各クッションで吸収され 
エアシリンダを
破損させないかどうかの確認です

 

⇩以下の記事を御参照願います⇩


 

 

⑥まとめ

  • 選定で重要なのは、仕様を満たした上で 
    出来る限り安いものを選定することです。
  • 条件はありますが、リニアブッシュガイド内蔵の
    ロッド付きエアシリンダーが一番安価です
  • エアシリンダーに速度を求める場合は出力径が
    小さいもののほうが有利です。
    出力径の選定は しっかり行いましょう
  • エアシリンダーの許容運動エネルギーも確認しましょう。

 

本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます

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