tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

スポンサーリンク


MENU

ガイドやベアリングの与圧とは(ボールネジにアンギュラベアリングを使う理由)

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.Surfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

ガイドやベアリングの与圧とは
(ボールネジにアンギュラベアリングを使う理由)

 

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

f:id:tsurf:20210605171303p:plain
とある
未経験機械設計者

ガイドやベアリングを
調べると与圧って
あるけど 
それって何だ?

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

管理人T.Surf

ガイドやベアリングに
与圧があると
ガタツキがなくなり 
位置決め精度が向上
しますが
摩擦で動きが
固くなります。 

 

 

①結論(概要)

与圧とは 

ガイドや軸受け等における
ボールと本体のクリアランスを干渉設定に
することを言います。

 例えば、
リニアガイドを例にすると以下となります。

 

通常の微スキマ品 与圧品

f:id:tsurf:20210816134101p:plain

 

f:id:tsurf:20210816134211p:plain

 

上記により、
以下のメリット/デメリットがあります。

 

与圧によるメリット/デメリット

与圧によるメリットは以下

  • 位置決め精度や受渡し精度の向上
  • 適切な与圧は寿命を伸ばす
  • ボールと本体が強く勘合する
    ということは剛性があがる

 

与圧によるデメリットは以下

  • 摩擦が大きくなり
    動きが固くなる
  • 摩擦による発熱
  • 過ぎた与圧は
    摩擦により寿命が縮む

 

 

②リニアガイドの与圧と効果

与圧

ガイド本体とベアリングナット部のボールを 
以下のように干渉設定にし、与圧をかけます。

f:id:tsurf:20210816145524p:plain
   リニアガイドの与圧

 

効果

ガタツキがなくなることにより 以下の効果があります

  • ワークの姿勢精度を向上させます。
  • ガタつきを失くします。
  • ボールネジの回転による推進を、
    リニアガイド側の微スキマにより吸収する
    ことがなくなり精密搬送が可能となります。

結果として、受け渡し精度が向上します。

デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。

 

③シャフトガイド

与圧

ボールスプラインが、この場合にあたります。

シャフトに溝が切ってあり、
溝の中をボールが転動することにより直動をします。

その際に、本体とボールが干渉設定になっています。

 

ボールスプライン概要 ボールスプライン断面

f:id:tsurf:20210816143320p:plain

 

f:id:tsurf:20210816143443p:plain

 

効果

リニアガイドと同じで以下となります。

ガタツキがなくなることにより 以下の効果があります

  • ワークの姿勢精度を向上させます。
  • ガタつきを失くします。
  • ボールネジの回転による推進を、
    リニアガイド側の微スキマにより吸収する
    ことがなくなり精密搬送が可能となります。

結果として、受け渡し精度が向上します。

デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。

 

 

④アンギュラベアリングによる与圧と効果

概要と与圧

下記のように
ベアリングを2つ組み合わせることにより、
干渉設定となり、与圧をかけることができます。

 

アンギュラベアリング概要 アンギュラベアリング
組み合わせによる与圧

f:id:tsurf:20210816155712p:plain

 

f:id:tsurf:20210816160328p:plain

 

ボールネジの駆動側に使用した場合の効果

以下のような例で組み込みます。

f:id:tsurf:20210816160928p:plain

ガタツキを無くし、振動を無くします。
それにより 以下の効果があります

  • ガタつきを失くして
    ボールネジによる推進精度を向上します。
  • ボールネジの回転による推進を、
    リニアガイド側の微スキマにより吸収する
    ことがなくなり精密搬送が可能となります。

結果として、受け渡し精度が向上します。

デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。

 

 

補足

ボールネジ機構におけるアンギュラベアリングには
別の大切な役割があります。

スラスト加重を受けることです。

 

アンギュラベアリングは、構造上深溝玉ベアリングより
以下のような
大きなスラスト荷重を受けることが可能です。

ボールネジ機構
垂直姿勢
搬送物の荷重を受け止める
ボールネジ機構
垂直 / 水平姿勢
加速時の反力を受け止める

 

 

⑤まとめ

  • 与圧とはガイドやベアリングにおける
    ボールと本体との干渉設定のこと
  • この干渉設定により、
    ガタツキを無くすことができます
  • ガタツキがなくなれば 
    搬送において精度や剛性が向上します。
  • ただし摩擦が強くなり動きが固くなることに
    注意が必要です。
  • ボールネジ機構における
    アンギュラベアリングによる与圧は重要です

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します