本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.Surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
ガイドやベアリングの与圧とは
(ボールネジにアンギュラベアリングを使う理由)
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
ガイドやベアリングを
調べると与圧って
あるけど
それって何だ?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
ガイドやベアリングに
与圧があると
ガタツキがなくなり
位置決め精度が向上
しますが
摩擦で動きが
固くなります。
①結論(概要)
与圧とは
ガイドや軸受け等における
ボールと本体のクリアランスを干渉設定に
することを言います。
例えば、
リニアガイドを例にすると以下となります。
通常の微スキマ品 | 与圧品 |
---|---|
上記により、
以下のメリット/デメリットがあります。
与圧によるメリット/デメリット
与圧によるメリットは以下
- 位置決め精度や受渡し精度の向上
- 適切な与圧は寿命を伸ばす
- ボールと本体が強く勘合する
ということは剛性があがる
与圧によるデメリットは以下
- 摩擦が大きくなり
動きが固くなる - 摩擦による発熱
- 過ぎた与圧は
摩擦により寿命が縮む
②リニアガイドの与圧と効果
与圧
ガイド本体とベアリングナット部のボールを
以下のように干渉設定にし、与圧をかけます。
リニアガイドの与圧
効果
ガタツキがなくなることにより 以下の効果があります
- ワークの姿勢精度を向上させます。
- ガタつきを失くします。
- ボールネジの回転による推進を、
リニアガイド側の微スキマにより吸収する
ことがなくなり精密搬送が可能となります。
結果として、受け渡し精度が向上します。
デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。
③シャフトガイド
与圧
ボールスプラインが、この場合にあたります。
シャフトに溝が切ってあり、
溝の中をボールが転動することにより直動をします。
その際に、本体とボールが干渉設定になっています。
ボールスプライン概要 | ボールスプライン断面 |
---|---|
効果
リニアガイドと同じで以下となります。
ガタツキがなくなることにより 以下の効果があります
- ワークの姿勢精度を向上させます。
- ガタつきを失くします。
- ボールネジの回転による推進を、
リニアガイド側の微スキマにより吸収する
ことがなくなり精密搬送が可能となります。
結果として、受け渡し精度が向上します。
デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。
④アンギュラベアリングによる与圧と効果
概要と与圧
下記のように
ベアリングを2つ組み合わせることにより、
干渉設定となり、与圧をかけることができます。
アンギュラベアリング概要 | アンギュラベアリング 組み合わせによる与圧 |
---|---|
ボールネジの駆動側に使用した場合の効果
以下のような例で組み込みます。
ガタツキを無くし、振動を無くします。
それにより 以下の効果があります
- ガタつきを失くして
ボールネジによる推進精度を向上します。 - ボールネジの回転による推進を、
リニアガイド側の微スキマにより吸収する
ことがなくなり精密搬送が可能となります。
結果として、受け渡し精度が向上します。
デメリットは摩擦により、動きが
固くなります。
補足
ボールネジ機構におけるアンギュラベアリングには
別の大切な役割があります。
スラスト加重を受けることです。
アンギュラベアリングは、構造上深溝玉ベアリングより
以下のような
大きなスラスト荷重を受けることが可能です。
ボールネジ機構 垂直姿勢 |
➡ | 搬送物の荷重を受け止める |
ボールネジ機構 垂直 / 水平姿勢 |
➡ | 加速時の反力を受け止める |
⑤まとめ
- 与圧とはガイドやベアリングにおける
ボールと本体との干渉設定のこと - この干渉設定により、
ガタツキを無くすことができます - ガタツキがなくなれば
搬送において精度や剛性が向上します。 - ただし摩擦が強くなり動きが固くなることに
注意が必要です。 - ボールネジ機構における
アンギュラベアリングによる与圧は重要です
本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。