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ボールネジ機構におけるサーボモーターの選定計算補足 Ph(リードピッチ)÷2πで回転要素への変換ができる理由

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今回は以下に関する記事です

ボールネジ機構におけるサーボモーターの選定計算補足 Pc(リードピッチ)÷2πで回転要素への変換ができる理由

 

 

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

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とある
未経験機械設計者

なんでボールネジ機構の

モーター選定計算で

直動要素を回転要素にする際

ボールネジのPh(リードピッチ)/2π

を使うんだよ

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

Ph(リードピッチ)/2πの誘導式を
わかりやすく説明します

なお 本記事は以下の記事の補足です


 

 

①結論

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説明用ボールネジ機構モデル

以下のサーボモーターを使ったボールネジのモデルを想定します

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      図 ボールネジ機構

 

外部負荷トルクの計算時式

ボールネジ機構における 外部負荷トルクの計算式は以下となります

T=F Ph/(2π)

ボールネジの
回転に必要なトルク
N.m
ボールネジの
直動機構部の推力
Ph ボールネジのリードピッチ
(単位換算に注意)
直動機構部の質量合計 Kg

 

詳しくは後述しますが

外部負荷力を外部負荷トルクに換算する式は

直動力のトルク換算式の応用です

 

本記事では直動部の推力にPh/(2π)を掛けると

なぜ ボールネジを回すトルクへと変換されるかの説明をします

 

この式は実は ボールネジを使ったモーターの選定計算で

たまたま 直動外部負荷力のトルク換算に使っていますが

外部負荷力に関わらず 直動加速力など あらゆる直動力をトルク換算します

 

しかし ボールネジを使ったモーターの選定計算は

以下の理由により

直動部品の慣性モーメントを求めて 回転部品の慣性モーメントも含めた

全慣性モーメントを換算しそこから トルク換算しなくてはいけません

 

●ボールねじを含む回転部品がある

●回転部品がある以上 加速度は

 直動加速度で考えるより角加速度で統一して考えたほうが 簡単

 

直動慣性モーメントの計算式

ボールネジ機構における 直動慣性モーメントの計算式は以下となります

I=m {Ph/(2π)}²

ボールネジの回転にかかる
直動部による直動慣性モーメント
Kg.m²
直動機構部の質量合計 Kg
Ph ボールネジのリードピッチ
(単位換算に注意)

 

詳しくは後述しますが

ボールネジが回転により直動部を直動させる際にかかる 

ボールネジの回転させにくさ(=慣性モーメント)

は上記の直動力のトルク換算式を応用します

 

本記事では直動部の全質量に {Ph/(2π)}² を掛けると

ボールネジが直動部を直動させるための負荷である

直動部の慣性モーメントに換算されるかを説明します

 

 

②外部負荷トルク計算式
    T=F Ph/(2π)

STEP1 ネジ部に掛かる回転方向の推力を求める

外部負荷トルクを計算する際に以下の式を使うのですが

T=F Ph/(2π)

上記の式になる理由を解説します

 

 

わかりやすくするために ボールネジのネジ部を

ボールネジ一回転の外周を横軸

ボールネジ一回転で進む距離を縦軸にした平面で考えます

 

ボールネジの外周とボールネジのリードピッチにより

作成される角度をθ1とします

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また一見すると ただの斜面と荷重に見えますが

この斜面は ボールネジのネジ部です

 

ボールネジのネジ部に軸方向に荷重を加えると回転します

 

この平面展開図の場合

この斜面を下に押すと 斜面自体が右に移動します

 

ですので 以下の図のように力が分解されます

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つまり 荷重F1から推力F2を求めるには

以下の図のように F1 x tanθαを求めればいいのです

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上図より 推力F2の計算式は以下のようになります

推力F2の計算式1

F2=F1 tan(θα)・・・・式1

 


ここで θα=θ1です
ですので 以下の図により 以下の式となります

tan(θα)の計算式

tan(θα)=tan(θ1)=Ph/ (2πr)・・・式2

 

 

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よって 式1に式2を代入すると最終的な

推力F2の計算式は以下となります

推力F2の計算式2

F2=F1 Ph/ (2πr)・・・・式3

 

STEP2 トルク変換式

いままで 説明に使っていた

以下の図は ボールネジの外周を平面展開しています

 

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ですので ボールネジを上から見た場合

推力F2は以下の図のように

ある円周のある点における接線方向の力となります

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 ボールネジを上から見た図

 

トルクの計算式は

荷重 x 半径です

つまり 以下の式が成り立ちます

 

直動力のトルクT(N.m)の計算式1

T=F2

 

上記式のF2に式3を代入します

直動力のトルクT(N.m)の換算式2

T=F1 x Ph / (2πr) x r

 

よって以下が成り立ちます

直動力のトルクT(N.m)の換算式3

T=F1 Ph /(2π) ・・・・式4

 

つまり 直動荷重F1に Pc / (2π)を掛けた式となります

 

③直動慣性モーメント
    I=m {Ph/(2π)}²

慣性モーメントは 角加速度を掛けるとトルクが算出されます

 

トルクT(N.m)の計算式1

T=I × ω” ・・・・式5

慣性モーメント Kg.m²
ω” 角加速度 1/SEC²

 

 

直動慣性モーメントを求めるには

前章で求めた直動荷重からのトルクの変換式を使い

直動の加速力のみを 回転のトルクに変換してみましょう

 

まず 直動の加速力は 以下となります

直動加速力 F(N)

F=ma・・・・式6

直動部の質量合計 Kg
直動加速度 m/sec²

 

この式6を 前章で求めたトルク変換式 式4に代入してみましょう

荷重F1に 式6を代入します

 

トルクT(N.m)の計算式2

T=Ma x Ph/(2π)

 

これにさらに 式5も代入します

ここからは 直動慣性モーメントを求める式になります

 

直動慣性モーメントI(Kg.m²)の計算式1

Iω=Ma x Ph/(2π)・・・・式7

 

ところで 直動加速度aは ボールネジを使った直動機構の場合

以下となります

 

直動加速度a(m/sec²)の式

a=Ph  N / t ・・・・・・式8

ボールネジの毎秒あたりの回転数 roll/sec
ボールネジの回転加速時間 sec

 

また 角加速度ω”は以下の式となります

 

角加速度ω”(1/sec²)の式

ω”=2π x N / t ・・・・式9

ボールネジの毎秒あたりの回転数 roll/sec
ボールネジの回転加速時間 sec

 

式7に 式8と式9を代入します

直動慣性モーメントI(Kg.m²)の計算式2

I x 2π x N / t

=M x Ph x Nx Ph / (2π x t)

 

つまり以下となります

 

直動慣性モーメントI(Kg.m²)の計算式3

I=m {Ph/(2π)}²

 

④まとめ

●ボールネジ機構を使ったサーボモーターの選定計算記事の補足です

●選定計算に出てくるPh/(2π)の理由を解説しました

●外部負荷力のトルク変換の公式は ネジの推力のトルク変換式の応用です

●直動慣性モーメントの公式はは 推力のトルク変換式を利用し算出されます

 

本記事は以上です

最後までお読み頂きありがとうございます