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機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です。
エアシリンダの基本的な機械的構成
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
エアシリンダで
- フローティングジョイントが必要な理由
- 外部のガイドが必要な理由
というのがわからない
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
結論としては
フローティングジョイントは
内部Oリング保護
ガイドは直進精度
確保のためです。
詳細は後述します。
- ①結論 エアシリンダの機械的構成とその役割
- ②通常のエアシリンダ運用の懸念
- ③懸念1 ロッドが回転してしまう
- ④懸念2 ロッドがいろいろな方向に傾く
- ⑤懸念3 ロッドが傾いたまま運用するとOリングが傷む
- ⑥エアシリンダ組付け上の懸念点の対策
- ⑦フローティングジョイントと その役割
- ⑧ガイドとその役割
- ⑨ガイドとフローティングジョイントの組みあわせで
①結論 エアシリンダの機械的構成とその役割
エアシリンダには、
ガイド付きのものもありますが
通常のエアシリンダではガイドは内臓していません。
そのような通常の(ガイドなし)エアシリンダの場合
ほぼ 以下の2点が必要です
- フローティングジョイント
- 外部ガイド
ガイド付きのエアシリンダについては
以下の記事を御参照願います。
ガイド付きのエアシリンダは
もともとガイドを内蔵しているため
- フローティングジョイント
- 外部によるガイドの設計
- 外部によるガイドの組付け
などが必要ありません。
通常のエアシリンダにおける
フローティングジョイントとガイドの
役割は以下となります。
フローティングジョイント | ➡ | エアシリンダ内部のOリング保護 |
外部ガイド | ➡ | 直進精度確保 |
②通常のエアシリンダ運用の懸念
通常のエアシリンダにおいて
フローティングジョイントがないと
どのような懸念があるのかを解説します。
簡単にエアシリンダの内部を説明すると
ロッドがエアの圧力を保持するために
Oリングが装着されています
また Oリングを装着するために
駆動するロッドは円柱形です。
このことにより、以下の懸念点が生じます。
以下の懸念点は後で詳細に後述します。
- ロッドが回転してしまう
- ロッドがいろいろな方向に傾く
- ロッドが傾いたまま運用するとOリングが痛む
- 当然直進精度が出ない
これらの懸念事項の対策のために
フローティングジョイントと外部ガイドが必要なのです。
③懸念1 ロッドが回転してしまう
ロッドは、円柱構造をしていますので
以下の図のように回転してしまいます。
回転により角度が変わってしまうため
これでは精度のある搬送ができません。
もっとも Oリングの多少の摩擦などがある上
機械の駆動中にあきらなかな外力が加わる場合以外は
ロッド単体では回りにくいのですが、構造的に回ります。
もし、ガイド無しのエアシリンダを触る機会があれば
ロッドを回してみましょう。
くるくる回りまわるはずです。
回りにくいとはいえ、
機械の搬送中 回らないわけではありませんので、
回り止めが必要となります。
④懸念2 ロッドがいろいろな方向に傾く
以下の図のように
特にロッドが伸びた状態では、図のように様々な
方向に傾いてしまいます。
これも精度のある搬送ができない上に
後述するエアシリンダの寿命に関わってきます。
もし、ガイド無しのエアシリンダを触る機会があれば
ロッドを引き出した状態でロッドを倒してみましょう。
ロッドが傾くはずです。
このエアシリンダの構造によるロッド傾きは
装置組付けの際、以下の要素で実際に傾いてしまいます。
- 組付け誤差
- 荷重によるモーメント
特に組付け誤差に関する傾きは、防ぎようがないので
傾いても問題ないような対策が必要となります。
⑤懸念3 ロッドが傾いたまま運用するとOリングが傷む
ロッドが傾いたままエアシリンダを運用すると、
エアシリンダの寿命が縮みます。
ロッドにモーメントが掛かると以下の図のように
ロッドが傾いてしまいます。
この傾いた状態ではOリングの一部が
強当たりしてしまい、強く押し付けられます。
その状態でストロークの運用すると、
当然Oリングの一部に強い摩擦が加わり、
傷んでしまいます。
そうしてしまうと、エア漏れなどが起こり
エアシリンダの寿命が縮んでしまいます。
⑥エアシリンダ組付け上の懸念点の対策
結論から説明します。
詳細は後述します。
懸念 | 対策 | |
---|---|---|
ロッドの回転 | ➡ | 外部ガイドの設置 |
ロッドの傾き | ➡ | 外部ガイドの設置 |
組付け不良による ロッド傾きによる Oリング破損 |
➡ | フローティングジョイント設置 |
⑦フローティングジョイントと その役割
一般的なフローティングジョイントを説明します。
簡単に表現すると、以下のようになります。
内部に球体があるので、以下のように回転や
傾くことができます。
これを以下のようにシリンダの先端に取り付けます。
すると、組付け誤差があっても
まずフローティングジョイントでそれらを吸収できます。
⑧ガイドとその役割
ここでは、
リニアブッシュ+シャフトガイドでの例で説明します。
先述の項でフローティングジョイントを解説して
組付け誤差による傾き対策を解説しました。
しかし、フローティングジョイントだけでは
以下が解決されません
- ロッドが回転する
- モーメントによりフローティングジョイントが傾く
従って、直進精度も出ません
そこでガイドが必要になります
先述のエアシリンダとフローティングジョイントの
組み合わせに
シャフトガイド+リニアブッシュを加えてみましょう。
上記のようになりますね。
ガイドにより
直進精度と不回転が保証され高精度の搬送が可能です。
⑨ガイドとフローティングジョイントの組みあわせで
つまり、ガイドとフローティングジョイントを
組み合わせることにより
―ガイドをつけるとー
直進精度と不回転が保証され
高精度の搬送が可能となります。
―フローティングジョイントによりー
多少の組付け誤差があっても
シリンダ内部のパッキンが
保護される。
本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます