tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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エアシリンダの基本的な機械的構成(フローティングジョイントや外部ガイドの役割)

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

エアシリンダの基本的な機械的構成

 

  

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

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とある
未経験機械設計者

エアシリンダでわからないことがあるよ

 

●フローティングジョイントが必要な理由

●外部のガイドが必要な理由

 

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

管理人T.Surf

結論としては以下です。
詳細は後述します。

フローティングジョイント エアシリンダ内部のOリング保護
外部ガイド 直進精度確保

 

 

①結論 エアシリンダの機械的構成

f:id:tsurf:20210918200916p:plain

エアシリンダには、

  • ガイド付き
  • ガイドなし

のものがあります

 

ガイドなしエアシリンダの場合 
ほぼ 以下の2点が必要です

ガイドなしエアシリンダに必須な構成
  • フローティングジョイント       
  • 外部ガイド

 

ガイド付きのエアシリンダは 

  • ガイドを内蔵している
  • メーカーで組付け調整済

となっており、外部によるガイドの設計や
設置組付けなどが必要ありません。

 

 

②フローティングジョイントと外部ガイドが必要な理由

フローティングジョイントが必要な理由を
ロッド付きエアシリンダを例に説明します。

 

簡単にエアシリンダの内部を説明すると
ロッドがエアの圧力を保持するために 
Oリングが装着されています

f:id:tsurf:20201102093104p:plain

 

また Oリングを装着するために
駆動するロッドは円柱形です。

このことにより、以下の懸念点が生じます。
以下の懸念点は後で詳細に後述します。

 

ロッドが円柱であることの懸念
  • ロッドが回転してしまう
  • ロッドがいろいろな方向に傾く
  • ロッドが傾いたまま運用するとOリングが痛む

 

 

これらの懸念事項の対策のために
フローティングジョイントと外部ガイドが必要なのです。

 

 

③懸念1 ロッドが回転してしまう

ロッドは、円柱構造をしていますので
以下の図のように回転してしまいます

回転により角度が変わってしまうため 
これでは正確な搬送ができません。

 

f:id:tsurf:20201102093818p:plain

もっとも Oリングの多少の摩擦などがある上 
機械の駆動中にあきらなかな外力が加わる場合以外は 
ロッド単体では回りにくいのですが、構造的に回ります。

 

もし、ガイド無しのエアシリンダを触る機会があれば
ロッドを回してみましょう。

くるくる回りまわるはずです。

 

回りにくいとはいえ、機械の搬送中 回らないわけでは
ありませんので、回り止めが必要となります

 

 

④懸念2 ロッドがいろいろな方向に傾く

以下の図のように
特にロッドが伸びた状態では、図のように様々な
方向に傾いてしまいます。

 

f:id:tsurf:20201102094353p:plain

これも正確な搬送ができない上に
後述するエアシリンダの寿命に関わってきます。

 

もし、ガイド無しのエアシリンダを触る機会があれば
ロッドを引き出した状態でロッドを倒してみましょう。

ロッドが傾くはずです。

 

このエアシリンダの構造によるロッド傾きは
装置組付けの際、以下の要素で実際に傾いてしまいます

  • 組付け誤差
  • 荷重によるモーメント

 

特に組付け誤差に関する傾きは、防ぎようがないので 
傾いても問題ないような対策が必要となります。

 

 

⑤ロッドが傾いたまま運用するとOリングが傷む

ロッドが傾いたままエアシリンダを運用すると、
エアシリンダの寿命が縮みます。

 

ロッドにモーメントが掛かると以下の図のように
ロッドが傾いてしまいます。

f:id:tsurf:20201102094353p:plain

この傾いた状態ではOリングの一部が
強当たりしてしまい、強く押し付けられます。

 

その状態でストロークの運用すると、
当然Oリングの一部に強い摩擦が加わり、
傷んでしまいます。

 

そうしてしまうと、エア漏れなどが起こり
エアシリンダの寿命が縮んでしまいます。

 

 

⑥エアシリンダ組付け上の懸念点の対策

結論から説明します。
詳細は後述します。

懸念   対策
ロッドの回転 外部ガイドの設置
ロッドの傾き 外部ガイドの設置
組付け不良による
ロッド傾き運用からの
oリング破損
フローティングジョイントの設置

 

⑦フローティングジョイントと その役割

一般的なフローティングジョイントを説明します。
簡単に表現すると、以下のようになります。

f:id:tsurf:20201102101651p:plain

内部に球体があるので、以下のように回転や
傾くことができます。

 

f:id:tsurf:20201102100507p:plain

 

これを以下のようにシリンダの先端に取り付けます。

 

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すると、組付け誤差があっても
まずフローティングジョイントでそれらを吸収できます。

 

 

⑧ガイドとその役割

ここでは、
リニアブッシュ+シャフトガイドでの例で説明します。

 

先述の項でフローティングジョイントを解説して
組付け誤差による傾き対策を解説しました。

 

しかし それでも 以下が解決されません

●ロッドが回転する

●モーメントによりフローティングジョイントが傾く

上記があるので 直進精度も出ません

 

そこでガイドが必要になります
先述のエアシリンダとフローティングジョイントの
組み合わせに

シャフトガイド+リニアブッシュを加えてみましょう。

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上記のようになりますね。

ガイドにより
直進精度と不回転が保証され高精度の搬送が可能です。

 

 

⑨ガイドとフローティングジョイントの組みあわせで

つまり、ガイドフローティングジョイント
組み合わせることにより

 

―ガイドをつけるとー
直進精度と不回転が保証され
高精度の搬送が可能となります。

 

―フローティングジョイントによりー
多少の組付け誤差があっても
シリンダ内部のパッキンが
保護される。

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます

 

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