tsurfの機械設計研究室

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エアシリンダのストローク調整設計(ストッパー ショックアブソーバー)

本ブログの御訪問ありがとうございます

機械設計歴20年以上のtsurfと言います

 

今回は以下に関する記事です

エアシリンダのストローク調整設計(ストッパー ショックアブソーバー)

 

 

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

エアシリンダ-を使った機構で
ストッパーを使っていたり
そのストッパーに
ショックアブソーバーを併用していたり
する機構を見たけど何で?

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

エアシリンダーのストローク特性と
ストッパーをつける理由とケースについて
わかりやすく説明します

 

  

 

 

①結論

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エアシリンダーにストローク精度はありません

 

発注ストロークに対しプラス公差のストロークとなります

 

例えば 以下のようになります

発注ストローク   実際に納品されるストローク
200mm 200mm プラス公差0~+1mm

 

ですので 例えば 200mmに対してストロークの精度を求める際 

外部ストッパーやショックアブソーバーが 必要になります

 

では どのような場合において 精度が必要ないのか?

では どのような場合において 精度が必要になるのか?

以下の章で解説していきます

 

 

②エアシリンダーのストロークと精度について

ストロークの精度が必要ない場合

例えば 以下の図のように

搬送システムから ワークを受け取り 最後に作業者に受け渡すだけなら 

ストローク精度は必要ありません

  搬送システムからワークを受け取り
エアシリンダー 引き込み側

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  作業者へワークを受け渡し
エアシリンダー 押し出し側

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⇩あくまで必要な精度⇩

搬送システムからワークを受け取る際の 搬送治具の位置精度のみです

 

⇩ストロークの精度は不必要⇩

理由は 作業者への受け渡し位置が 1㎜伸びようと関係ないですよね

 

また この時の実際の調整として上述のとおり

ワーク搬送治具の位置を調整するのですが以下の2通りの方法で行います

●ワーク搬送治具のシリンダーロッドへの取り付け位置調整

●エアシリンダーの位置自体の調整

 

位置精度とともにストローク精度が必要な場合

以下の図のように

搬送システムからワーク受け取り 別の搬送システムに受け渡す場合です

 

このときに1㎜もずれたら ほぼ搬送ミスとなります

 

  搬送システムAからワークを受け取り
エアシリンダー 引き込み側

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  搬送システムBへワークを受け渡し
エアシリンダー 押し出し側

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またエアシリンダのストローク調整は

モーターと違い制御ではなく手動調整となります

 

③ストローク調整の実際の機構

下図のように

エアシリンダが引っ込み状態の 位置調整は 

搬送治具とロッドの位置関係の調整か エアシリンダの位置そのものの調整をします

 

押し出し時の位置調整はストッパーで行います

ストッパー部につしては詳しく後述します

 

  ワーク搬送治具の位置を手動調整
エアシリンダー 引き込み側

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  ストッパーによる手動調整
エアシリンダー 押し出し側

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上図のように

ワーク搬送治具に ストッパーで受ける部分を意図的に

設計しておかなくてはいけません

 

念のため補足をしておきますが

上図の例では ストッパーが必要なのは あくまで押し出し側のみです

引っ込み側は ロッドと搬送治具の位置で調整しているので

ストッパーは必要ありません

 

④ストッパー単体のみのストッパーの例

ストッパー単体の設計例

詳しくは後述しますが 以下の図のようになります

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      図 ストッパー単体設計例


ストッパーにボルトを使う理由

この例でボルトを使っている理由は

停止位置の調整の際に 以下のメリットがあるからです

●ネジを回すことによりストッパーの位置を調整できる

●ネジピッチが細かいため 微調整ができる

 ※ネジピッチとはネジ一回転で進む量

●ネジピッチから 後何㎜くらいずらしたいかの見当がつきやすい

 

例えばM6のボルトだとします

ネジピッチは1㎜のため 後0.5㎜後ろに下げたい場合  ネジを半周回せばよいのです

   

ナットの理由と役割

L字のブラケットにタップが切ってあるはずなのに

ナットがあるのは 固定のためです

 

タップにボルトを ボルト頭まで入れず 途中で止めると固定できません

ぐらついて どんどんボルトが移動していき ストッパーの役割を果たせません

 

このナットがあることで ボルトは任意の位置で固定されます

このような ナットをロックナットといいます

 

ですので調整の際はこのナットを ゆるめてからボルト調整します

 

 

⑤ショックアブソーバを併用しなくてはいけない場合

許容運動エネルギーをオーバーしている場合

エアシリンダの選定項目にもあるのですが

ワークとワーク搬送治具の運動エネルギーが 

エアシリンダの許容運動エネルギーを越えてしまった場合です

  

ワークが重く 水平搬送かつ 最高速度が速い時等に多いのですが

この場合に ショックアブソーバーを併用します

 

⇩許容運動エネルギーについては 以下の記事を御参照ください⇩

 

エアクッション付きのエアシリンダーではNGな理由

対策の選択肢の一つとして

エアクッション付きのエアシリンダーがあります

 

しかし 

ストローク調整機構を組み合わせる時には 

エアクッションではNGとなりまが 以下に理由を解説します

  ⇩     ⇩     ⇩

 

エアクッションは 

エアシリンダの ストロークエンドから 5㎜程度しか効きがありません

 

ですので 

例えば1㎜ストロークの長い エアシリンダが納品されてしまい

その1㎜をストッパーで調整した場合 エアクッションの1㎜分が効かなくなります

 

場合によっては調整に余裕を持たせて

意図的に5㎜程度ストロークの長いエアシリンダを 発注する場合もあるでしょう

特にその際には エアクッションは効きません

 

 

 

 

 

 

⑥ショックアブソーバを併用した場合のストッパー

ショックアブソーバーを併用したストッパー設計例

詳しくは後述しますが 以下の図のようになります

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設計注意点1 ショックアブソーバーをフルストロークで使用しない

以下のように 

ショックアブソーバーのストロークに対して 1㎜ほどストロークに余裕を持たせます

     

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理由ですが

ショックアブソーバーの ストロークエンドに駆動物のストッパー板が

あたると ショックを吸収できず ショックアブソーバー破損の

可能性があるからです

 

ですのでショックアブソーバも ストッパーボルトと同じ理由で

位置調整用に外側が オネジになっています 

 

設計注意点2 エアクッションと ショックアブソーバーが被らないようにする

エアクッションと ショックアブソーバーの効果が

重複するストローク範囲が出来てしまうため 

反発力が強すぎて ストロークエンドに到達できない場合もあります

 

その場合は以下のようにする必要があります

 

●押し出し側のエアクッションは 絞り弁を緩ませて効かなくさせる

●エアクッションなしのタイプにして両側 にショックアブソーバーをつける

 

 

⑦ (補足)ロッドレスシリンダーの場合

ロッドレスシリンダーの場合は 購入時 型式指定により

ストロークを調整するユニットを 

ロッドレスシリンダーに組み込むことが可能です

 

 

 

⑧まとめ

●エアシリンダーのストロークに精度はありません

●エアシリンダーのストロークはプラス公差で作成されます

●ストロークに精度が必要な場合と必要でない場合があります

●ストローク精度が必要ない場合は 作業者にワークを受け渡す場合など

●ストローク精度が必要な場合は 搬送システムから別の搬送システムへの中継

●ストローク精度が必要な場合は外部のストッパーを設置します

●場合によっては ショックアブソーバーも併用します

●その場合は エアクッションは片側のみとします

 

本記事は以上です

最後までお読みいただきありがとうございます