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エアシリンダーの中間停止に使うダブルソレノイド3位置電磁弁

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今回は以下に関する記事です

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エアシリンダーの中間停止に使うダブルソレノイド3位置電磁弁

  

  

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

●エアシリンダーを中間停止させたい
●3位置電磁弁ってなんだ?

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

●エアシリンダの中間停止
●その時に使用する電磁弁
●中間停止に際して注意点
以上を わかりやすく説明します

 

 

①結論

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3位置ダブルソレノイドの電磁弁を使うことにより

エアシリンダーを中間停止させることができます

ただし注意点があります  (詳細は後述します)

 

👉精度のある停止はできない

停止精度はラフです

 

👉基本はエアシリンダー水平使用の時

垂直はできなくもないですが かなり難しい調整を必要

 

👉エアシリンダーによって中間停止の挙動が違う

ロッドレスシリンダーや両ロッド付きシリンダーは問題がないが

ロッド付きシリンダーは注意が必要です

 

②エアシリンダー中間停止の種類と各仕組み

3種類の中間停止のさせ方があり 

それぞれに特徴があるのですが後述しますので 

まず中間停止の仕組みの概要を解説します

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  図1 エアシリンダー内部概要

 

要は エアシリンダーのAポート Bポートに推力差が生じるから 

動くのであって 以下の方法で同じ推力状態にすることにより中間停止します

 

👉Aポート Bポート ブロック

A,Bポートを遮断し供給と排気を止めます

それにより 現在 エアシリンダーに充填されているエアを

現在の状態で封じこめることにより中間停止させます

 

👉Aポート Bポート 加圧

A,Bポート両側に加圧することにより 中間停止させます

 

👉Aポート Bポート 排気

A,Bポート両側のエアを排気することにより中間停止させます

 

 

③3位置電磁弁の電磁弁としての特徴

※本記事で電磁弁の詳細は割愛します

 

前述の中間停止を実現させるのが 3位置電磁弁です

エア配管の記号としては以下のようになります

 

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 図2 3位置電磁弁(例:クローズドセンター)

 

A側通電時と B側通電時はエアシリンダが駆動していますね

配管のつなぎ方により ロッド側なのか ヘッド側に駆動しています

 

非通電時は スプリングリターンにより 

電磁弁記号の真ん中の状態に切り替わり 中間停止の回路に切り替わります

 

中間停止の回路については 何種類かあり 詳細は後述します

それにより以下の特徴があります

●エアシリンダを中間停止させることが可能です

●通常のダブルソレノイドのように 非通電時に現在の状態を保持しません

●通電を切るとスプリングリターンにより 中間停止します

 

 

④3位置電磁弁によるエアシリンダー中間停止の特徴

 

概要での解説で お分かりのように各吸排気ポートに対して 

同じ状態にすることにより推力差をなくし 停止しています

よってエアシリンダーの中間停止は以下の特徴があります

 

中間停止の停止精度がラフ

当然停止精度は保証できません

従って 位置決め目的の使用は向いていません

 

 

基本は水平姿勢で使用

基本的に水平姿勢での使用となります

垂直姿勢での使用は できなくもないですが

かなり難しい調整が必要となります

 

その理由を 

水平姿勢での使用と 垂直姿勢での使用の違いで解説します

 

👉水平使用の中間停止

水平の場合 常に荷重が掛かっているのはガイドです

しかも荷重の掛かる方向はシリンダーの動作の方向に対して垂直です

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   図3 エアシリンダ水平使用
 

ですので シリンダの動作方向にかかり続ける荷重はありませんので

中間停止は容易です

 

👉垂直使用の中間停止

常に重力が シリンダの動作方向にかかっています

 下の図4を参照ください

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      図4 エアシリンダ垂直使用
 

 

これにより ポートによって常に推力差が生じてしまいます

(ロッド付きシリンダの場合 ロッド側とヘッド側で受圧面積による

 推力差がありますが ここではわかりやすく 同じだと仮定します)

 

ロッド側の下方向推力Fr(N):Fr=(π x (D/2)^2 × Far )+ Mg

ヘッド側の上方向推力Fh(N):Fh=π x (D/2)^2 × Fah 

 

従って Fr=FhとなるようにFarFah圧力の調整を別々にする必要があります

  

この場合 電磁弁から シリンダの配管の中間に

逆流機能付きの圧力計を設置し 別々に圧力調整などが必要になってきますが

安定せず かなり難しいと思います

 

 

中間停止の挙動 エアシリンダーによる違い

 上述したとおり Aポート Bポートを以下の方法で同じ状態に

することにより 中間停止をさせます

 

従ってシリンダーによって以下の違いがあります

 

👉ロッドレスシリンダーや両ロッドシリンダー

両ポートとも受圧面積が同じなので 問題なく中間停止できます

 

👉ロッド付きシリンダー

ヘッド側とロッド側の受圧面積が異なるので 

同じ圧だと推力に違いが出てしまいます

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 図5 ロッド付きエアシリンダーの受圧面積の違い

 

ロッド側はロッドの径分受圧面積が狭くなりますので

当然以下のようになります

ヘッド側推力>ロッド側推力

 

中間停止はできますが

条件付きであったり 工夫が必要だったりします

 

どのような制限があるのか

どのような条件があるのかは ⑥で後述します

 

 

 

 

⑤エアシリンダー中間停止の主な使用方法

以上 述べてきた性質から 例として 以下の使用用途となってきます

 

👉エアシリンダーの非常停止

水平長距離ストロークのエアシリンダーを使用している場合です

短い距離であれば理由がない限り 必要ではないでしょう

 

 

👉駆動系の一時中間退避

以下の場合です

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 図6 駆動系の一時中間退避例

 

この場合 

エアシリンダーのオートスイッチが端点の2つ以外に複数必要になります

 

 

 

⑥3種類の中間停止の特徴の解説に際して

②で解説した 3種類の中間停止について

エアシリンダーの水平使用時の解説をします

⇩3種類の中間停止⇩

●Aポート Bポート ブロック

●Aポート Bポート 加圧

●Aポート Bポート 排気

 

以下の点についての解説がメインです

解説点1 メーターアウトの速度制御に対応しているか?

解説点2 背圧の影響はあるか?

解説点3 ロッド付きシリンダーに対応しているか?

解説点4 中間停止時に外力で動かせるか?

 

 

⑦Aポート Bポートブロック

使用電磁弁と電磁弁記号

使用電磁弁:クローズドセンター

電磁弁記号:⇩

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特徴1:メーターアウト制御に対応

 絞るべき排気がエアシリンダ内の残ってしますので

中間停止後の動き出しは調整速度で走行します

 

 

特徴2:排圧に影響されない

排圧に影響されません

排圧とは何かは Aポート Bポート排気で解説します

 

 

特徴3:ロッド付きシリンダにも対応(注意点付き)

ロッド付きシリンダにも対応可能ですが 注意点があります

中間停止に切り替わっても すぐには止まりません

 

ロッド付きシリンダは ロッド側とヘッド側で受圧面積が異なりますので

圧力が同じでも推力が違ってきます

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  図7 ロッド付きエアシリンダーABポートブロックでの中間停止

 

ですので  図7のように Fr=Fhとなるまで動き その後停止します

 

 

特徴4:外力で動かない

ABポートブロックでは

停止した現在のエアの量のまま ポートを封鎖します 

 

例えば ロッドレスシリンダを使い

クローズドセンタで 以下の図8の位置で中間停止したとします

 

エア圧は図8のように 

現在のエアの量で中間停止状態となり圧力は平衡状態となっています

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 図8 ロッドレスエアシリンダーABポートブロックでの中間停止

 

 

 

 

では 外力で動かしてみましょう

すると 以下の図9のように 片側の圧力が下がり 逆側の圧力が高くなります

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  図9 ABポートブロックでの中間停止での外力操作

 

すると推力差が生じてしまいます

結果 一時的に外力で動いたとしても 

圧力が平衡状態の位置にもどってしまいます

 

⑧Aポート Bポート 加圧

使用電磁弁と電磁弁記号

使用電磁弁:プレッシャーセンター

電磁弁記号:⇩

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特徴1:メーターアウト制御で安定

Aポート Bポート両ポートに加圧されていますので

次に動かす際にメーターアウトで絞るべきエアは充填されています

 

 

特徴2:排圧に影響されない

排圧に影響されません

排圧とは何かは Aポート Bポート排気で解説します

 

 

特徴3:ロッド付きシリンダには不可

通常のロッド付きシリンダでは 

ロッド側とヘッド側 同じ圧力でも受圧面積が異なりますので

推力差が生じ 押し出し方向に動き続けます

 

当然 ロッドレスシリンダや 両ロッドシリンダの中間停止には

問題なく使えます

 

 

特徴4:外力で動かせる

常に加圧されている状態で釣り合っている状態ですので 動かせます

動かした分のエアが移動するだけです

  

⑨Aポート Bポート 排気

使用電磁弁と電磁弁記号

使用電磁弁:エキゾーストセンター

電磁弁記号:⇩

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特徴1:メーターアウト制御での不安定性

Aポート Bポート がエアない状態です

つまり 速度制御のための絞るべきエアがありません

次に動き出す時に メーターアウトではぶっ飛びます

 

対策として メーターイン制御も併用します

  

 

特徴2:外力で動かせる

エアシリンダ内にエア圧が何もない状態ですので動かせます

 

 

 

特徴3:ロッド付きシリンダにも対応は可能

Aポート Bポート排気しますので

ロッド付きシリンダにも 問題なく対応可能です

 

 

特徴4:背圧の影響を受ける

特にマニホールドの中に組んでいる時は注意です

この中間停止時に

ボア径が大きい 速度の速いエアシリンダの動作があると

マニホールド内の排気回路が圧力が高くなります

 

エキゾーストセンターでは どちらにも加圧されていない

状態ですので この高くなった排気圧力がエキゾーストセンターの回路に

逆流し どちらかに動き出してしまう場合があります

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    図10 エキゾーストセンターでの誤動作

 

 

対策として 以下があります

●エキゾーストセンターをマニホールドに組まず 単体で設置

●エキゾーストセンターのみ 排気ブロックにする

 

 

⑩まとめ

〇エアシリンダーの中間停止は可能だが以下の制約を受けます

・停止精度がない

・垂直姿勢の中間停止はできなくはないが 難しい調整が必要

 

〇エアシリンダーの中間停止は3位置電磁弁を使うが

それぞれにメリット デメリットがあります

 

本記事は以上です

最後まで お読み頂きありがとうございます