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機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です。
【強度計算の基礎】
曲げに対する断面の強さ
断面2次モーメント
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
曲げの計算を調べたら
断面2次モーメントって出てきたよ
それって何だよ
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
曲げとは何なのか?
断面2次モーメントとはなんなのか?
わかりやすく説明します
①結論
断面2次モーメントは、曲げの撓み量の計算などに使われる
曲げに対する断面的強さです
よく 勘違いされていますが、
曲げの強さは断面積の大きさではありません。
断面2次モーメントを使った計算例は、
以下の記事を御参照ください
【機械設計の物理】力の分解(例題1:斜めに荷重の掛かるブラケットの強度計算)
また 曲げに対する強さについて、よくある誤解があります。
そのよくある誤解については以下の記事を御参照ください。
②曲げの実験をしてみましょう
『👉用意するもの』
まず下の写真のようなステンレス製の定規を用意してみましょう
『👉板厚方向曲げ』
では 下の写真のように板厚方向を曲げてみましょう
いくらステンレスでも、板厚が薄いので人の手でも簡単に曲げれます。
『👉長手方向曲げ』
では今度は、下の写真のように長手方向を曲げてみましょう
曲がりません。
向きを変えただけです。
板厚も長手方向の寸法も、変わっていないにも関わらずです。
③曲げの実験結果を受けて考察
前段階知識 曲げとは
曲げとはどういった現象なのかを説明します。
まず図1のように、棒みたいなものを曲げたと仮定します
図2は矢印部の断面です。
上の図を見るとわかると思いますが、曲がっている状態で
受けている力は以下の通りとなります。
曲げの内側である面A | ➡ | 圧縮を受けている |
曲げの外側である面B | ➡ | 引張を受けている |
図心 | ➡ | 受けている力はない |
これが曲げという現象です。
曲げの原理から見る実験結果の理由
同じ断面形状で、同じ曲げの量であっても
曲げの向きを変えただけで、曲げに対する強度が違うのは 、
曲げの向きにより、図心から端面までの距離が違うからです。
例えば、実験でのケースのように長手方向曲げの場合を考えます。
以下の図3をご参照ください
図心は力を受けず 図心より距離があればある微小面積部がより
大きな圧縮と引っ張りを受けている様子がわかります
つまり 実験のケースの場合
長手方向曲げは、板厚方向曲げと比較して
図心から 上面と下面に対して
より大きな圧縮量と引っ張り力が、必要になっていくるわけです。
そのためには、より大きな曲げる力が必要となります。
④断面2次モーメントの概念
断面積と断面形状が同じでも
断面の向きによって、曲がりやすかったり曲がりにくかったりします。
断面2次モーメントとは曲げに対する断面的な強さです
つまり図3のアイソメ図にたとえると
図3の断面に、ある微小面積をとります。
図3では微小面積としてA~Dがありますが
この微小断面積A~Dは、部材本体が曲げを受けた時に
図心からの距離に応じた圧縮と引っ張りを受けます。
言い換えると
断面積A~Dは図心からの距離に応じた
圧縮 引っ張りに対抗する力があり、その強さの積分となります。
一例として長方形断面の断面2次モーメントの計算式を紹介します。
このように、高さの3乗に比例するので、重量物に対する曲げ強度を
確保したいのであれば、B面に重量物を置くようにしたほうが
効率がいいことになります。
曲げの強さだけで言えばB面を伸ばしてもあまり強くなりません。
⑤断面2次モーメントの身近な応用
リブなどがそうなのですが
例えば ダイニングテーブルなどの下を見ると
補強材があてがわれています。
断面2次モーメントの式を見るとわかるのですが 、
高さの3乗に比例するので、横の幅を伸ばしてもあまり意味がなく
高さを高くするために図4のように、補強材が設置されていますね。
⑥まとめ
- 曲げに対する断面的な強さは、断面積の大きさではない
- 曲げに対する断面的な強さは、断面2次モーメントの大きさ
- 曲げに対して強くするには、高さを高くしたほうが効果的
本記事は以上です
最後までお読み頂きありがとうございます