tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

スポンサーリンク


MENU

【強度計算の基礎 補足】断面2次モーメント よくある誤解 中実丸棒と中空丸棒

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.surfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

【強度計算の基礎 補足】
断面2次モーメント よくある誤解 
中実丸棒と中空丸棒

 

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

f:id:tsurf:20210605171303p:plain

とある
未経験機械設計者

中実丸棒と中空丸棒
どっちが曲げに強い?

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

f:id:tsurf:20210611183707p:plain

管理人TSURF

どちらが強いか?
と言われれば
中実丸棒のほうが、
曲げに強いです。

 

曲げ強度に関する
断面強さである断面2次モーメントに関しては
以下の記事を御参照ください。

 

 

 

①丸棒は中空にしたほうが強い?

以前勤めていた会社で、
こんなことを言っていた社員がいました

f:id:tsurf:20210808081418p:plain

以前勤めた
会社の社員

中空丸棒って、中実丸棒
より曲げに対して
強度が強いって聞いた
ことがあります。

 

言葉面だけみれば、間違っています。

ですが条件をつければ合っています
「同じ断面積であれば」です

 

とあるテレビ番組を見ていた時に、
どこかの教授が

どこかの教授

中空丸棒と中実丸棒
を比較した場合
中空のほうが強い

と言っていました。

 

テレビの出演者が 
『以外だ』みたいなリアクションを
していましたが言葉足らずです。

 

 

②断面2次モーメントの計算検証

同じ径での
中実丸棒と中空丸棒

同じ径で
中実丸棒と中空丸棒の断面2次モーメントを
検証します。

径が一緒で中空と中実を比べた場合
中空丸棒の断面積 < 中実丸棒の断面積
となります。

以下のΦ30の中実/中空の丸棒
の断面2次モーメントを検証しましょう

 

同じ径の丸棒   断面2次モーメントの値
中実丸棒 39740mm4
中空丸棒 31890mm4

 

やはり、
中実丸棒のほうが少し強く、中空丸棒のほうが少し弱いです。 

それはそうでしょう。

 

断面2次モーメントの記事で説明しましたが、
曲げの場合

図形の断面積を微小面積の集まりで考えた場合
図心以外の全ての微小面積部は、
引張力と圧縮力を受けます。

その際に
図心からの距離に応じた抵抗値を持ちます。

 

その微小面積が持つ抵抗値の積分が
断面2次モーメントなのです。

 

中空丸棒の場合、中が繰り抜かれており
その部位は、圧縮も引っ張りも受けません。

なのでフリーとなりその分弱くなります。

 

ただ 
想定以上に弱くならないのは、びっくりですが

『強くなるか弱くなるか?』
と言われれば、弱くなります

 

同じ断面積での
中実丸棒と中空丸棒

では正しい解釈である 
「同じ断面積であれば」の場合を検証しましょう

以下の中空丸棒と中実丸棒は、断面積が一緒です。
断面積が一緒で中空と中実を比べた場合
中空丸棒の径 > 中実丸棒の径となります。


それぞれ 断面2次モーメントを求めます。

同じ断面席の丸棒   断面2次モーメント
中空丸棒 31890mm4
中実丸棒 12532mm4

 

結果 
同じ断面積なら中空丸棒のほうが、
中実丸棒より曲げ強度が強い
ということが言えます。

 

上記の例の場合2.5倍以上の強度です。

 

検証結果から言える事

上記の検証結果から、以下のことが言えます。

丸棒の曲げ強度に関して
  • 同じ材質 同じ断面積であるなら
    中空丸棒のほうが曲げに対して強い
  • 同じ材質 同じ径であれば 
    中実丸棒のほうが強い
  • 同じ断面積で径を大きくすることが
    許されるのであれば、中空丸棒のほうが 
    軽い割に曲げ強度を強くできる

 

 

③まとめ

  • 同じ径であれば、当然 中実丸棒のほうが強いです。
  • しかし、径を大きくして同じ断面積にすれば
    中空丸棒の方が強いです。
  • 従って、スペースが許せるのであれば
    中空丸棒にしたほうが軽くて 曲げに強くなります。

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します