本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
【強度計算の基礎 補足】
断面2次モーメント よくある誤解
中実丸棒と中空丸棒
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
中実丸棒と中空丸棒
どっちが曲げに強い?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
どちらが強いか?
と言われれば
中実丸棒のほうが、
曲げに強いです。
曲げ強度に関する
断面強さである断面2次モーメントに関しては
以下の記事を御参照ください。
①丸棒は中空にしたほうが強い?
以前勤めていた会社で、
こんなことを言っていた社員がいました
中空丸棒って、中実丸棒
より曲げに対して
強度が強いって聞いた
ことがあります。
言葉面だけみれば、間違っています。
ですが条件をつければ合っています
「同じ断面積であれば」です
とあるテレビ番組を見ていた時に、
どこかの教授が
中空丸棒と中実丸棒
を比較した場合
中空のほうが強い
と言っていました。
テレビの出演者が
『以外だ』みたいなリアクションを
していましたが言葉足らずです。
②断面2次モーメントの計算検証
同じ径での
中実丸棒と中空丸棒
同じ径で
中実丸棒と中空丸棒の断面2次モーメントを
検証します。
径が一緒で中空と中実を比べた場合
中空丸棒の断面積 < 中実丸棒の断面積
となります。
以下のΦ30の中実/中空の丸棒
の断面2次モーメントを検証しましょう
同じ径の丸棒 | 断面2次モーメントの値 | |
---|---|---|
中実丸棒 | ➡ | 39740mm4 |
中空丸棒 | ➡ | 31890mm4 |
やはり、
中実丸棒のほうが少し強く、中空丸棒のほうが少し弱いです。
それはそうでしょう。
図形の断面積を微小面積の集まりで考えた場合
図心以外の全ての微小面積部は、
引張力と圧縮力を受けます。
その際に
図心からの距離に応じた抵抗値を持ちます。
その微小面積が持つ抵抗値の積分が
断面2次モーメントなのです。
中空丸棒の場合、中が繰り抜かれており
その部位は、圧縮も引っ張りも受けません。
なのでフリーとなりその分弱くなります。
ただ
想定以上に弱くならないのは、びっくりですが
『強くなるか弱くなるか?』
と言われれば、弱くなります
同じ断面積での
中実丸棒と中空丸棒
では正しい解釈である
「同じ断面積であれば」の場合を検証しましょう
以下の中空丸棒と中実丸棒は、断面積が一緒です。
断面積が一緒で中空と中実を比べた場合
中空丸棒の径 > 中実丸棒の径となります。
それぞれ 断面2次モーメントを求めます。
同じ断面席の丸棒 | 断面2次モーメント | |
---|---|---|
中空丸棒 | ➡ | 31890mm4 |
中実丸棒 | ➡ | 12532mm4 |
結果
同じ断面積なら中空丸棒のほうが、
中実丸棒より曲げ強度が強い
ということが言えます。
上記の例の場合2.5倍以上の強度です。
検証結果から言える事
上記の検証結果から、以下のことが言えます。
- 同じ材質 同じ断面積であるなら
中空丸棒のほうが曲げに対して強い - 同じ材質 同じ径であれば
中実丸棒のほうが強い - 同じ断面積で径を大きくすることが
許されるのであれば、中空丸棒のほうが
軽い割に曲げ強度を強くできる
③まとめ
- 同じ径であれば、当然 中実丸棒のほうが強いです。
- しかし、径を大きくして同じ断面積にすれば
中空丸棒の方が強いです。 - 従って、スペースが許せるのであれば
中空丸棒にしたほうが軽くて 曲げに強くなります。
本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。