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機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は 以下に関する記事です。
機械設計技術者 実際の4大力学の使用頻度
(結論:ほとんどが高校物理がメイン+設計者のカン)
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

機械設計の職についたけど
自分は4大力学の知識がないよ
ついていけるかなぁ?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
本記事は機械設計業界で
不安を抱えている新人の方向けです。
逆に4大力学
全てを使うほうが稀です。
高校物理がメインです。
①結論
そもそも機械設計は、すべて計算で
成り立っているわけではありません。
例えば、 以下のようなものはカンで決めることが多いです。
- 駆動系などのベースプレートの板厚、材質
- ボルトのサイズ
- 軽~中量物のブラケットなどの板厚
こんなものをいちいち 材料力学で、板厚および
材質選定していたら いくら時間があっても足りません。
では、どういう時に計算をするのでしょう?
例えば 以下のような時です。
- 重量物を支えるブラケットの強度計算(材料力学)
- 異常に力のかかる場所の強度計算(材料力学)
- モーターやエアシリンダーの選定計算(高校物理)
上記以外で、私の経験としては以下がありました。
- ヒーターなどを使う場合はヒーターの容量計算(熱力学)
材料力学にしても、
- 重量物を扱ったり、
- 特定部位に異常に力の掛かる機構
などは 計算頻度は業界にもよりますし
必要であったとしても稀だったりします。
つまり、『モーターやエアシリンダーの選定計算』
以外の計算は設計する装置によりますが、
結構稀です。
装置によっては、ほとんど必要しなかったりします。
②設計者のカンの例
駆動系のベースプレートの
板厚、材質
私は駆動系のベースプレート等に関しては、
よほどの理由がない限り、強度計算をしません。
では、どうやって決めているかというと、
材質に関しては
- 軽量化が必要な個所はアルミ
- それ以外は 鉄ベースのもの
といった具合です。
板厚に関しては、板材の板厚から選びます。
例えば、平面度や平行度が必要なプレートであれば、
9tの板の両面を削って平面度 平行度を出すので
片側0.5mm程度削って8±0.05mmにするなどです。
それほど 平面度や平行度が必要でないならば、
板材の板厚そのままで使用します。
詳しくは以下の記事を御参照ください。
ボルトの材質、サイズ
ボルトの材質やサイズの選定ですが、
こんなものは、いちいち材料力学で計算しません。
こんなものまで 強度計算をしていたら
それこそ、どんなに時間があっても足りません。
そもそもですが、
回り止めと強度の保証のために、複数本のボルトを使用します。
機構をみて、
だいたいそれに合うボルトを適当な締結個所で検討します。
③なぜカンでいいのか
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例えば、 |
その結果、
『ベースプレートの材質はアルミで板厚1.5でmmで十分』
という計算結果が出たとしましょう。
アルミの1.5mmに駆動系の固定をM4で考えたら、
さすがにエンザートを入れたくなりますが、
板厚1.5mmではエンザートは入りません。
では、ボルト&ナットで固定するのでしょうか?
そんなことしたら『組み立て』から苦情がでます。
ボルト&ナットは、組み立てにとって非常に手間です。
なんで、単純な固定なのに
ボルト&ナットなんだよ
だったら、
鉄+メッキで 軽量駆動系であれば板厚6tとしてしまえば
- 安全率が10倍 100倍になろうが問題ない
- 実は値段も それほど変わらなかったりする
- 直接タップが切れることにより、組み立てやすい
- 余計な手間をかけずに設計が終わる
上記の結果になるのです。
④設計者による計算が必要な例
概要
流体力学や熱力学は省きます。
設計しているジャンルによりますが、かなりレアだからです。
設計者による計算が必要な例は以下となります。
- 重量物を支えるブラケットの強度計算(材料力学)
- 異常に力のかかる場所の強度計算(材料力学)
- モーターやエアシリンダーの選定計算(高校物理)
そのうち
- 重量物を支えるブラケットの強度計算(材料力学)
- 異常に力のかかる場所の強度計算(材料力学)
というのは、あなた が入社する会社が設計 製造する
装置によっては、材料力学による強度計算は稀かも
しれませんし、まったく必要ない場合もあります。
重要になるのは
モーターやエアシリンダーの選定計算
(高校物理)です
機械設計者にとっての
モーターやエアシリンダーの選定計算
上述のとおり、私はモーターやエアシリンダーの選定計算は
重要だといいました。
たしかに重要なのですが、選定計算は絶対のものではありません。
選定計算の結果が正しいのかどうかはわからないからです。
なぜなら、モーターやエアシリンダーの選定計算
をしたとしても、実際の機構で計算が妥当だったかどうかの検証は
できないし、しないからです。
したがって、モーターやエアシリンダーの選定計算が
完璧だとしても、それは完全な保証とは言えないのです。
では、なぜモーターやエアシリンダーの選定計算が重要なのでしょう。
それは、設計の根拠となるからです。
例えば、実際に あなたの設計した駆動機構を
あなたの選定したモーターやエアシリンダーで動かしてみた場合
もし、出力不足で動かなかったとしましょう。
その時に
なぜ、動かかないんだ
ちゃんと計算はしたのか?
と言われた時に、
ちゃんと計算をしました
と言えるためのものです。
大切なのは計算をしたかどうか
勘違いしてほしくないのは、
『ちゃんと計算をしたかどうか』であって
『間違っているかどうか』ではありません。
間違っている分には、選定しなおして、次から
その間違いをしないようにすればいいからです。
しかし、動作不良の不具合があった場合
選定計算をやっていませんでした
は通用しません。
組み立ても制御も、限られた時間の中で、
あなたの設計した機械を組み立てて、試運転をします。
まだ 計算ミスで、駆動系が動かなかったのなら
仕方ないですが、
そもそも選定計算をしていないとなると話は別です。
こっちは限られた時間の中で
組み立て 調整を行っているんだ!!
そもそも計算をしていないとは
どういうことだ!!
となります。
こうならないように
モーターやエアシリンダーの選定計算は
必要なのです。
私は、機械設計を目指す方に対して 萎縮させてしまう言い方は
好きではないのですが、どんな仕事にも厳しい部分はあります。
機械設計にも厳しい部分はあります。
しかし、モーターやエアシリンダーの選定計算は、
それほど難しくはありません。
モーターの選定計算に関しては、慣性モーメントさえ理解できれば
高校物理で十分理解可能です。
⇩以下の記事をご参照ください⇩
⑤まとめ
- 4大力学なんて、全て使うほうが稀
- ほとんどは高校物理で事足りる
- 実際には、それほど重要でない部分は
設計者のカンで行うこともある - ただし、モーターやエアシリンダーの選定計算は別
- あなた の設計、計算した駆動機構で
『出力不足でうごきませんでした』は通用しない - モーターの選定計算に関しては、慣性モーメントさえ
理解できれば、高校物理で理解が可能
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます