tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

スポンサーリンク


MENU

スキルの優位性 『モーターの選定計算スキル』と『材料の特性知識や加工の知識』

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です

スキルの優位性 
『モーターの選定計算スキル』と
『材料の特性知識や加工の知識』

  

 

f:id:tsurf:20210611183707p:plain

管理人TSURF

ネットサーフィンをしていた時に
機械設計に関する
面白い質問掲示板のスレッドを
見つけたので、私が考察してみました。

 

 

⇩私が見つけた 機械設計の掲示板の質問⇩

『機械設計者には材料の特性知識や加工の知識がいると
思うのですが、いらないんですか?』

 

要は質問者さんの会社の設計者が作成した図面で、
加工からの『この材質だと図面の加工ができない』
というクレームが多いそうです。


なので、自社の設計者が材料特性と加工における
最低限の知識がないんじゃないか?
という疑問らしいです。

この質問に対して、多くの回答は
『加工や材料に知識がないのが、ありえない』というような
回答が多かったです。

私的には その『ありえない』という回答に違和感を感じました
また 中には、以下のようなトンデモ回答があり

「強度計算には材料の選定ができないとできないはずですが?
はて? モーターはメーカが計算してくれるのでだれでもできる

少し考察してみたいと思いました。

 

この質問者の質問自体 少し表現が、大げさかなと感じる部分もあり
とこまでが本当のことなのかが不明です。

 

従って、質問文を『一般的にどうなのか』という風に拡大して
私がどう考えているかを
私なりに質問文を解釈した内容で考察をしたいと思います。

 

 

①私が思う結論

たしかに機械設計者にとって、
ある程度の材質の特性や加工知識があることは、必要だと思います。
しかし 何事も程度問題ですよね?

 

少なくとも優先順位として、
モーターやエアシリンダーの選定計算のほうが上だと思いますし、

そもそも
『モーターやエアシリンダの選定計算を、メーカーが計算してくれる』
で済ますことのほうが、よほどの問題であると考えます。

 

 

②材料の特性知識や加工の知識

材料知識について

機械設計者は材料知識と特性について
どの程度を網羅する必要があるのでしょうか?


会社によって、材質的ノウハウが違うこともあり、
転職先で、こんな材質初めて知ったということも珍しくありません。

 

はっきり言って、材質なんてわからなければ加工屋さんと
打合せすれば済む話ですし、周りの先輩方に聞けば解決します。

 

 

加工知識について

加工についても、現代では分業の時代です。
設計には設計のプロ 加工には加工のプロとしての分業です。


確かに 
機械設計者にとってはある程度の加工の知識も必要ですが、
自分が想定した加工法に対して、実際の現場で行った加工が
違っていたなんて、ざらにあります。

 

なぜか?
機械設計者は、加工法までは指示しないからです。

 

図面を見て、どういった加工法がベストなのかは加工作業者が、
決めることです。

 

それに対して、我々 機械設計者が

設計者

俺達がこういう加工を
想定をして設計したんだから、
こう加工しろよ

なんて口出しはしません。

 

なぜなら 我々設計者としては、図面通りのものが出来さえすれば
過程は問わないからです。

 

 

③そもそも 話の論点がおかしい

先ほど 設計と加工で分業化が進んでいると言いました。
設計と加工で各専門分野でプロ化をしています。

 

すると以下の疑問が出てきます

設計が書いた図面の形状だと、
設計が指示した材質で
加工しづらいだとか
そういう問題があるのは、はたして悪いことなのでしょうか?

 

なぜか?
他にない知識を習得していくのがプロ化だからです。

こういった問題が出てくるのは当然だと思うし、
お互いの知識を擦り合わせるいい機会なのではないでしょうか?

 

いいですか?

そもそも、同じ図面でも社内で加工した場合と、外注で加工した場合で
帰ってくるクレームが違います。加工技術や設備が違うのです。

外注で加工してもらった時は、一切出ないクレームも
社内で加工した場合は『できない』という回答がある場合がある
なんてしょっちゅうです。

 

その場合は

その都度 話し合いをして、よりよい方法に変更するなり
していくしか、ないのでしょうか?

 

それがおかしいというのであれば、
我々設計者からすれば、

設計者

できないと言うのであれば、できるところに依頼しろよ

と言いたいです。

 

 

④『モーターはメーカーが計算してくれるので、だれでもできる』
のほうが大問題

概要

『モーターはメーカーが計算してくれる』
これこそ、モノ作りの質を根底から覆す
大問題だと考えます。

 

これを果たして設計者と呼んでいいものでしょうか?

問題点は以下です。

  • 回答が来るまでに時間がかかる。
  • 設計修正のたびにメーカーに確認させる必要がある。
  • たぶん計算間違えている
  • 要は、自分で設計ができない。

一つ一つ見ていきましょう

 

 

結局時間が掛かる

メーカーの技術者だって暇ではありません。
全国にある会社の技術者からの問い合わせ対応があります。
結局回答が来るまで、時間が掛かることになります。

 

 

設計修正の度にメーカーに
確認させる必要がある

例えば、制御設計から、設計が想定したタクトに対して

制御設計

『ここの動作の時間を短縮したいから
リードピッチを変更してくれ』
もしくは、
『加速度を少し早くしてくれ』

と言われたら、どうするのでしょうか?

 

また、メーカーに計算依頼するのでしょうか?
時間がかかるかもしれませんよ。


その過程で、部品を変更して重量が変わるかもしれません。
そうしたら、またメーカーに計算依頼するんですか?

 

以上の理由から
設計業務的にも、支障をきたしていますよ。

 

私は、感情論なんて滅多に言いませんが、あえて言わせてください。
『これこそ情けない』

 

 

たぶん 計算間違えている

モーターの選定を メーカーに任せている時点で
多分計算結果は間違っている場合が多いと思いますよ。

 

だって、運用条件を、正しく 全て、正確に
伝えていますか?

メーカーの技術者が、
全てを正しく受けっとった上で計算しているのかなんて
わかりませんよね?

 

ましや、本人がモーターの選定計算スキルがない場合
おそらく、必要情報を全て正しく伝えきれていないです。

 

 

要は、自分で設計ができていない。

駆動系のある設計の場合、一番拘束されるものは
駆動系ですよね?
今回の例の場合はモーターです。

 

駆動系により、動作ができなければ話にならないからです。
その駆動系の選定をメーカー任せにするということは、

自分では 必要トルクの変更が伴う以下ができないことになります。

  • 重量変更により必要トルクの変更を伴う 
    搬送ジグの材質変更や形状変更
  • 必要トルクの変更を伴う加速度の変更
  • 必要トルクの変更を伴うリードピッチの設定および変更

 

 

⑤本ブログのモーターやエアシリンダの選定計算記事

モーターやエアシリンダーを選定計算できるように
なるための本ブログの記事集です。

メーカー任せの選定にならないようにしましょう。

 

 

⑥まとめ

  • 機械設計にとって、必要なスキルの優先順位は
    個人の価値観で違ってくると思います。

  • しかし 材質などの知識が、モーターやエアシリンダの
    選定計算スキルの上にくることはないです。

  • ましてや、『モーターはメーカーが選定してれる』は
    さずがにないです。
    おそらく まともに設計できていないと思います。

  • 設計と加工の分業化で、それぞれプロ化が進んでいます。
    プロとは、他にない知識やスキルを身に付けることです。

  • 分業によるプロ化を考えた場合、
    材質による加工可否の問題が発生することは、
    おかしなことなのでしょうか?

  • そもそも、材質による加工可否なんて、加工依頼先によります。

  • 基本的に『できない』加工依頼先を選ぶのではなく
    『できる』加工依頼先を選んでください

本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します