本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です。
腐食しにくい材質 ステンレス アルミ
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
ステンレスとアルミって
なぜ錆びないの?
あと どういうところに
使ったらいいの?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
以下を解説します。
- ステンレスとアルミが表面処理なしで
錆びにくい理由 - ステンレスの種類
- ステンレスとアルミの使い分け
①結論
概要
ステンレスやアルミは
コーティングやメッキなしの素材そのままの状態で
金属表面に酸化被膜を形成できます。
これにより、表面より奥へはサビが侵入しにくく、
結果的に腐食しくいものとなります。
ざっくりとした使い分けとしては、以下となります。
- 強度が必要な箇所はステンレス
- 強度より軽さが必要な箇所はアルミ
本記事の注意点
本記事では、基礎的な知識をざっくりと紹介し
使い分けなどを、主に記載しようと思います。
材質特性については、それほど深堀はしません。
というのは 正直 こういう材質に関しては、
材料屋さんのHPのほうが、非常に詳しく解説されています。
②ステンレス材料特性
ステンレスの特性ざっくり解説
ステンレスは 鉄にクロムを添加した合金で
添加されたクロムが、表面に酸化被膜を形成し、
錆びの侵食から守ります。
以上の特徴により
- 腐食しやすい環境下での金属材料
- 摺動によりメッキ剥がれの心配のある部品
- 強度が必要な部品
などに使われます。
ステンレスのメリット/デメリット
メリット
- 鉄の合金なので強度がある
- 傷などがあっても クロム成分がすぐに酸化被膜を形成してくれる
- 設計ミスや 改造などで 部品を削った際に
ステンレスであれば 削った所のケアをしなくてもよい
デメリット
- 高価
- 加工性がよくない
種類によっては、精度が出にくい - 鉄ベースなので、重い
ステンレスの種類
機械設計において、ステンレスの材料選定に必要な要素は
主に以下にあると思います
- 焼き入れが入るか
焼き入れが可能かどうかは、ステンレスを摺動部に
使いたい場合です。 - 磁性があるか
例えば 段取り替えが頻繁にある箇所で、
段取り替えを容易にするために、
磁性により取り付けて、クランプで固定したい場合です。
ステンレスには、以下の種類があります。
- マルテンサイト系
- オーステナイト系
- フェライト系
本記事では、マルテンサイト系とオーステナイト系を以下にまとめます。
代表例 | 耐食性 | 磁性 | 焼き入れ | |
マルテンサイト | sus440等 | 若干劣る | 有り | 可 |
オーステナイト | sus304等 | 優れている | 無し | 不可 |
③ステンレスの板材
熱間圧延材
熱をかけて ロール整形で伸ばす一番最初の工程で、
作られるものです。
HOT材やNo.1とも呼ばれます。
一番最初の工程だけあって 板厚は厚く 規格3t以上です。
熱をかけながら 伸ばすので、冷えて収縮する分
板厚の精度はよくありませんが、安くすみます。
冷間圧延材
前述の熱間圧延材を
常温下でロール整形で、薄く延ばす2番目の工程にできるものです。
(冷間圧延というが 別に冷やしているわけではない)
主なものが2B材です COLD材とも呼ばれます。
2B材の2はこの2番目の工程のもので、Bはブライト仕上げのBです。
熱をかけないので精度が出やすく、加工硬化によって 硬くなります。
なお、図面表記の際
SUS304 2Bと書いた時点でCOLD材ですので
SUS304 2B COLDと記載する必要はありません。
④アルミ材料特性
アルミの特性ざっくり解説
アルミは 添加物がなくとも単体で酸化被膜を形成できます。
但し 工業用で使うものは
強度や工材への加工上の都合から添加物を含んだ合金です。
また 酸化被膜にしても
アルミ素材そのものの酸化被膜は、薄すぎて弱いので
後述するアルマイトという処理を行い耐食性をUPさせます
材質自体もステンレスに比べ、
軽量ですが強度がなく、やわらかいです。
ですので、強度がそれほど必要ない箇所に使用されます。
熱伝導性がいいため、加工性はよく、精度も出やすいです。
アルミのメリット/デメリット
メリット
- 軽い
- 加工性がよく精度が出やすい
デメリット
- 高価
- ステンレスより弱く柔らかい
- M3などの小さいタップはエンザートを入れたくなる
(小さいタップなどの場合ヘリサートは弱い) - 基本的に後述するアルマイトが必要
⑤アルミの表面処理:アルマイト
先述しましたが アルミは素材単体で、
酸化被膜を形成できますが、薄すぎて弱いです。
そこで 陽極酸化とも言いますが、
電気メッキと逆のことをするのが、アルマイトです。
アルミの場合
アルマイト処理をすると、酸化被膜が厚くなります。
つまり この表面処理は、メッキのようなものではなく、
素材の表面を変化させたものとなります。
しかし、そのアルマイトで厚くした酸化被膜
はポーラス形状と呼ばれる微細な穴が開いています。
そのままだと、汚染物質を吸着してしまい、かえって
腐食のもととなってしまう可能性があります。
したがって、最後 微細孔に
金属粒子を埋め込んだり、塗装などを行い穴を塞ぎます。
よく アルマイトには様々な色のものがありますが
穴を塞ぐ工程で着色ができます。
以上の理由から図面には
白アルマイト 黒アルマイトなと表記するのです。
⑥まとめ
- ステンレスとアルミは、素材単体で酸化被膜を形成できる
- 酸化被膜のおかげで、錆が奥まで侵食しない
- ステンレスは重いが硬い
- アルミは軽いがやわらかい
- ステンレスはニッケルとクロムの合金で
クロムが酸化被膜を形成する。 - アルミは、素材そのままで酸化被膜を形成できる
- しかしアルミ素材そのままの酸化被膜だと薄くて弱いので
アルマイト処理が必要 - アルマイトはそのままだと、ポーラスと呼ばれる微細な穴により、
汚染物質まで吸着してしまい、かえって腐食の原因となる - したがって アルマイトは封穴の処理をする
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。