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機械設計歴20年以上のT.surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
N2圧送の解説と特徴と使い分け
装置設計において
液体を扱う装置は
稀ですが
液体関係についても
解説します。
①結論:液体圧送の種類
液体を圧送する場合主に以下の種類があります。
- N2圧送
- ポンプ圧送
N2圧送とポンプ圧送には明確な使い分けがあります。
その使い分けは、それぞれのメリット/デメリット
を理解するとよくわかります。
②N2圧送の概要
タンク内にN2を加圧することにより
N2圧で液体を押し出し目的の場所に移送します。
なぜN2なのか?
エアでもいいのですが、エアは酸素が含まれるため
- 液体を劣化させやすい
- バクテリア等も湧きやすい
- 液体が誘爆性の場合。爆発の危険性がある
などのデメリットがあります。
N2は不活性ガスですので
極めて安全かつクリーンに液体を移送可能です。
以下は
N2圧送の場合の液配管系統の例となります。
- N2加圧用の自動弁はノーマルクローズ
- N2圧抜用の自動弁はノーマルオープン
となりますが、理由は
災害等の停電時に加圧を止めて速やかにタンク内圧を
排気するためです。
③N2圧送の特徴(メリット面)
概要
メリットとしては以下が挙げれれます。
- N2圧送の機器だけを見ると安価
- クリーンに液体の移送が可能
- 半永久的な使用が可能
構成機器が圧倒的に安価
N2圧送を構成する機器だけをみると、
極めて安価にできます。
これがポンプ圧送だと
- ポンプ本体
- 流量調整用のインバーター
など上記のように電気部品が
多くなります。
また、これがべロースポンプだと
ベローズポンプ自体がさらに高価
となってきます。
ですが N2圧送の場合
レギュレーターやエアフィルターなどの
エア機器だけですので非常に安価に済みます。
クリーンな液体の移送
ポンプ圧送と違って駆動部がありません。
なので、
極めてクリーンに液体を移送できます。
半永久的な使用が可能
ポンプ圧送の場合
駆動装置であるポンプ自体が消耗品となります。
定期的なポンプの交換が必要となりますが
N2圧送の場合は、駆動機器がありません。
ですので消耗品がないと言えます。
ですので、
半永久的な使用が可能となります。
④N2圧送の特徴(デメリット面)
概要
デメリットとしては以下が挙げれれます。
- タンクに密閉性が必要
- 循環運用が不可
- 液体補充に安全配慮が必要
- N2供給の設備が必要
タンクに密封性が必要
N2により加圧するため、加圧されたN2が漏れないように
タンクに密封性が必要となります。
N2が漏れるようでは圧力不足で液体が移送できない
可能性もあります。
循環運用が不可
以下のように
ヒーターなどをつけて
循環昇温をするような必要性がある場合は
N2圧送は使えません。
なぜなら、N2圧送で循環回路を組むと
以下の図のように
- 液体OUT配管
- 循環戻り配管
の圧が等しくなってしまい
循環戻り配管から液体が落ちてきません。
その場合は以下のようにポンプ圧送
で設計をしましょう。
液体補充に安全配慮が必要
作業者がタンクに液体を補充する際
確実にタンク内圧の圧抜きをしてから
補充できるようにしなくてはいけません。
なぜなら 圧抜きせずに作業者が
タンクの蓋のロックを解除すると
タンクの蓋が内圧で飛んでくる可能性があります。
ですので例えば
冒頭で紹介した回路で設計をし、
タンクをフレームで囲って電磁ロックなどで
施錠をします。
タンク内液体の補充の際は
タンクの内圧監視用のセンサーで
タンク内が圧抜きされたのを確認して
電磁ロックが開錠されるなどの配慮が必要です。
N2供給の設備が必要
N2圧送には、当然お客様の工場に
N2供給設備がないといけません。
基本的にN2は
- N2製造にコストが掛かる
- 設備導入自体もコストが掛かる
ということで、
設備導入をしていない、もしくは導入しない
お客様も多くN2圧送自体お目に掛かることも少ない
かもしれません。
ですが、
送液機器自体に電気をしようしないことから
循環が不必要であれば防爆仕様の個所にも
運用できますね。
中にはN2ではなく、通常の圧縮エアで代用している
お客様もいます。
⑤N2圧送の使い分け
以上見てきた通り
N2圧送は単純な液体の2点間移送
であれば、コストパフォーマンスがよく
クリーンな搬送可能となります。
反面 循環運用が不可能なため
そのような場合はポンプ圧送を
選ぶ必要があります。
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。