tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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パラメトリックによるボトムアップ設計とその非効率性(ソリッドワークスなど)

今回は以下に関する記事です。
パラメトリックによるボトムアップ設計
とその非効率性(ソリッドワークスなど)

 

管理人T.Surf

3DCADの設計手法の
一つである
ボトムアップ設計
について解説します。

パラメトリック設計
とともにいかに
非生産性で非効率的かを
あらためて解説します。

 

 

①本来の3DCAD設計であるトップダウン設計

まず 3DCADによる設計は
以下の記事で解説されているトップダウン設計が一般的です。

アセンブリファイルの3D空間上の2D平面で
2Dレイアウトを行います。

 

  • 上面視で機構配置検討
  • 各断面で、機構自体が成り立つ検討

上記のように、
面視毎に別々に検討ができる
2D特有の自由度の高さを活かし
短時間で質の高い検討を進めた後
部品を3D化していくわけですが
上記2Dレイアウトから成り立つような3D部品を

  • 根拠のある形状
  • 根拠のある配置

で作成する設計手法です。

 

面視毎に別々に検討できる自由度の高い2D
だからこそ短時間で質の高い構想検討ができ、

その2D構想があるからこそ
全体と機能や整合性がとれて根拠のある3D形状が
創造できるんですね。

 

このトップダウン設計は

  • 2Dのもつ自由度の高い構想検討に適した性能
  • 3Dのもつ立体的に検討でき詳細設計に適した性能

上記が有機的に結びついた設計手法で
質の高い検討が短時間で可能
となります。

 

そして、このトップダウン設計という設計手法は
ノンヒストリーCAD特有の設計手法です。

 

なぜなら、トップダウン設計は
2Dと3Dの有機的結び付きが必要で
それにはCADとしての自由度の高さが
求められるからです。

 

これと対をなして逆の設計手法である
ボトムアップ設計というものがあります。

 

 

②トップダウン設計の逆であるボトムアップ設計とは

ボトムアップ設計とは、

まず部品を3Dで設計してから3D部品を
アセンブリファイルに投入して
フルアセンブリとしてまとめます。

って、意味がわかりません。
2Dレイアウトがないのに
どうやっていきなり部品を3Dで設計するのでしょうか?

 

というわけで、
管理人はトップダウン設計しかしたことがありません。

 

なぜなら管理人は
根拠のない部品を3Dで作成できないからです。

まったく非論理的で
こういう設計をすると、全体で機能や整合性が
とれない設計となってしまいます。

 

従って、
ボトムアップ設計を全否定します。
順番が完全に逆です。

 

設計できたとしても
トップダウン設計に比べて、非常に時間が
掛かります。

 

 

 

③ヒストリーCADの設計手法の主流

ソリッドワークスなどのヒストリーCADで
メーカー側が想定している設計手法は
ボトムアップ設計とパラメトリックの合わせ技
です。

 

ヒストリー
CADメーカー

とりあえず
部品を3Dで設計して
適当にアセンブリに
放り込めよ

一通り放り込んだら
作成履歴機能で修正や
位置拘束で位置を補正
していけばいいだろ?

 

という非現実的な設計手法です。

実際に管理人はヒストリーCADメーカー側から
このような解説を受けた記憶があります。

 

なぜこのような設計手法なのか
順を追って説明します。

 

まずは、なぜ非現実的な設計法である
ボトムアップ設計なのでしょうか?

 

 

④ヒストリーCADでボトムアップ設計が主流の理由

ソリッドワークスなどヒストリーCADで
想定されているのはボトムアップ設計です。

 

 

なぜボトムアップ設計なのでしょうか?


それはCADとしての自由度をなくしているので
トップダウン設計ができない
からです。

 

なお補足しておきますが、ソリッドワークスでは
設計者からの批判が続出したのか

トップダウン設計用のレイアウト機能を
搭載していますが、これまた
自由度がなく、まるで使いものになりません。

 

 

なぜCADとしての
自由度を失くして
ボトムアップ設計
なのでしょうか?

 

おそらくですが
パラメトリックを成り立たすためだけに
CADとしての自由度がないと思われます。

 

 

なぜパラメトリックを
成り立たすために
CADとしての自由度を
失くすのでしょうか?

 

CADとしての自由度を高くしてしまうと
必ずしも作成履歴や位置拘束は必要ない
ということに気づきます。

ICADでは、
自由度の高さから理想的なトップダウン設計が可能です。

 

実際はアセンブリファイルの3D空間上の2D平面で
2D構想レイアウトをしますが
その過程で複数の検討断面が作成されます。

 

その複数の検討断面を成り立たすための部品を

  • 複数の検討断面から根拠のある形状で
  • 配置レイアウトから根拠のある配置に

3D部品として いきなり配置&作成できます。
そのようにすれば、それで終わりだからです。

 

CADとしての自由度の高さを認めてしまうと
ヒストリーCADとしてのアイデンティティがなくなるので
あえて自由度をなくしているのでしょう。

 

もし、そうじゃないと言うのであれば

CATIA V4のようにパラメトリックが多少存在しつつも
大前提としては、トップダウン設計が可能な
非常に自由度の高いCADとして仕上げなかった理由に
説明がつきません。

 

というか機械設計用のCADであれば

CATIA V4に対して自由曲面作成機能(surf1,surf2)
を削除して安価にするだけでよかったはずです。

 

 

⑤パラメトリックとボトムアップ設計の合わせ技

本ブログで解説、指摘していますが
パラメトリックの根幹は

  • 作成履歴による形状制御
  • 位置拘束による相対位置への部品配置

となります。

 

ですが、実際にはパラメトリックは

  • 拘束や履歴のためにモデリングに莫大な時間が掛かる
  • その割に思っているほど自動修正がうまくいかない
  • それもそのはずで、拘束や履歴にしたって
    どんなに完璧に拘束を組んだって全ての変更に
    対応できない
  • そもそも完璧な拘束や履歴が不可能
    というか、何を持って完璧な拘束や履歴と言えるのか?
  • 複雑なシステムゆえアセンブリだと動作がかなり重い
  • 複雑なシステムゆえバグ、エラー クラッシュの多発

という他重苦に見舞われ
逆に莫大な時間が掛かるのが現実です。

 

人が履歴や拘束作成しているんだからね。
全ての変更に対応できるわけないし、そりゃ無理あるよ。

パラメトリックって
机上の空論で素人が考えそうなシステムだね。

 

つまり、

  • 机上の空論システムであるパラメトリック設計
  • それを成り立たすための自由度のないCADシステム
  • 非現実的な設計手法ボトムアップ設計

上記がアクロバティックな融合を遂げた結果
ヒストリーCADメーカーが想定している設計手法は

冒頭で解説しているように

 

ヒストリー
CADメーカー

とりあえず
部品を3Dで設計して
適当にアセンブリに
放り込めよ

一通り放り込んだら
作成履歴機能で修正や
位置拘束で位置を補正
していけばいいだろ?

 

という非現実的なものとなったと推察します。
そして、これは大いに問題があります。

 

 

何故 ヒストリーCADの設計手法は
非現実的で問題があるんでしょうか?

 

答えは以下です。

  • 自由な2Dレイアウトを否定すれば、
    3D設計に大幅な時間が掛かってしまうことが
    なぜ理解できないんでしょうか?
  • その設計方法が従来のトップダウン設計に
    比べて何がいいんでしょうか?
  • その設計方法が従来のトップダウン設計より
    優れているエビデンスはどこにあるのでしょうか?
  • そもそも設計手法として非論理的かつ、非効率で
    あることに気づかないのでしょうか?
  • 修正地獄でかえって莫大な時間がかかることに
    なぜ気づかないんでしょうか? 
  • まず、とりあえず部品を作れって
    根拠のないものを設計するっていうのが
    難しいってことになぜ気づかないのでしょうか?
  • なぜCADメーカーが、勝手に設計手法を限定する
    ということがまかり許されるんでしょうか?

これらの疑問に何も答えられてはいません。

 

従ってソリッドワークスなどのヒストリーCADは

モデリング、設計変更全てにおいて、
圧倒的にノンヒストリーCADであるICADと比べると

無意味な履歴や拘束のために
莫大な時間が掛かるという結果のみ残る
本末転倒な結果となっています。

 

 

⑥まとめ 本来のパラメトリック

現状のパラメトリックは
設計者が履歴を作成し、位置拘束を組みます。

 

ですが考えてみてください。

設計者が作成した履歴、位置拘束は
現状の今を拘束しています。

 

ですが、設計変更はこれからどうするか?
が重要なんですね。

しかも、その変更は不具合内容とその対処が
明確にならないと変更内容すら定まりません。

もう、おわかりだと思いますが
今を拘束しても何の意味もないのです。

どう作ったかなんて重要じゃないんです。
どう拘束して相対配置したかも重要じゃありません。
どうだっていいんです。
必要がまったくないんです。

 

 

本来のパラメトリックは設計変更の時だけ、
設計者が変更箇所のみ後付け拘束で変更条件を規定し

それに従ってAI等のサポートを受けて
自動修正されるべきだったのだと思います。

 

つまり、自動設計 自動修正なんてものは
AIの進化が最低条件であったシステムだと思います。

 

これらを理由に、既存のパラメトリックは
素人が思い付きで考えたような机上の空論
だと断言します。

 

本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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