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機械設計歴20年以上のT.surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
【機械設計の3DCAD】
ヒストリーCADをおススメできない理由
絶対必要社内規定
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
今回の記事では
ヒストリー系CADを
導入した場合の
社内規定の必要性に
ついて解説します。
本記事は以下の記事の補足解説記事です。
①結論
まず大前提として、
ヒストリーCADは、拘束の組み方によって人に違いがでます。
そもそもヒストリーCADのパラメトリック設計の場合
- 大規模アセンブリになればなるほど
- 大規模変更になればなるほど
スムーズな自動設計や自動修正なんてありえません。
なぜなら、
- 他の設計者のデータをいじる場合、
どのような拘束をかけているか?
時間をかけて理解する必要がある - そもそも大規模アセンブリとなると
自分が掛けた拘束ですら忘れてしまい難易度が高い - そもそも論として、
大変更の場合どのような変更か?
によって拘束なんて役に立たない場合のほうが多い
しかし、ほんの気持ち程度のスムーズさを求めるのであれば、
それだけのために厳格な社内規程を設けその下での運用が
必要になります。
まぁ無理なんですけどね。
だって
みんなが社内運用に従うなんてあり得ないですから。
誰かチェックでもするんでしょうか?
しかし、
多くの会社でそこまでの社内規程はありません。
というか、そもそもCADごときで、
何で社内規程の作成にマンパワーを割かなくては
いけないんでしょうか?
そこで、
本記事ではヒストリーCADをオススメしない理由として、
社内規程を設けなかった場合に起こる現象を解説します。
今回紹介するエピソードは、
特に大きいものとして3つと少ないです。
他にも細かいことを挙げればキリがありません。
しかし、
一つ一つは大きく ヒストリーCADの導入に際して
社内規定の必要性を感じさせるものとなっています。
②流用設計拘束やり直し事件
たとえば、
前回 他の装置で他の設計者が設計した機構を
モディファイして今回の装置に組み込む場合があります。
しかし、
この時のモデリングは
原点の位置も拘束も変だ。
拘束組み直そう。
などと、管理職が言い出す場合があります。
トップアセンブリの中のサブアセンブリを
動かすくらいなら、複数部品の塊を3点の拘束で
固定しているだけです。
拘束を探る手間はありますが、
まぁ 1000歩妥協して言うなら「それほどでもない作業」
と言えるかもしれません。
しかし、
サブアセンブリ中の多数部品の位置を変更して、
原点を変えるとなると話は別です。
- 多くの複数部品に対して、
原点からどのように拘束を組んでいるのか?
の調査と把握 - 仮に理解したとしてもどうやって変えようか?
など
ノンヒストリーだったらそもそも拘束はないし、
原点をかえるだけなら30秒作業なのですが
ヒストリーCADでこのようなことが起きると
1日 2日作業となることなど当たり前にあります。
しかも、これって設計ではありません。
そもそもですが
この時のモデリングは
原点の位置も拘束も変だ。
拘束組み直そう。
って、前回の原点や拘束が変だろうが、
その設計者は理由があってそうしたんでしょう。
価値観の話です。
社内規定を設けていないにもかかわらず
拘束や原点設定の理由も確認せずに、個人の価値観で
安易に否定をして修正をする。
これは、どういうことか?
人が変われば また価値観が逆転するということです。
そして、
生産性が微塵も感じられない
『否定とやり直しの負のループ』と言う
恐ろしいことになります。
だからこそ、ヒストリーCADは
社内規程が必要になるのです。
③なんで、あいつこんな拘束組むんだろうな
上述した通り ヒストリーCADにおける
設計者の拘束の組み方の違いは、設計者による
価値観の違いと等価です。
- 何に重きを置くのか?
- どういう意図か?
- どういう思想か?
- どのような変更を想定しているのか?
しかし、上述の例だと 本人のいないところで、
何であいつこんな拘束
組むんだろうな?
そもそもノンヒストリーであれば、
後が大変ということもありません。
後が大変なのは、”あいつ”のせいではなく
ヒストリーCADのせいなのです。
ヒストリーCADの特性に疑問と不満がいかずに
特定の個人に疑問と不満の矛先が向かう。
ひょっとしたら、
管理人の組んだ拘束も、他の設計者に言われてる
かもしれません。
いや、
みんな大人だから、その後ハブにされるとかケンカに
なるとかはないですよ。
しかし
企業としては、設計者の分断を招くようなことは、
どんな小さなことでも極力避けるべきです。
しかも、その分断の原因がたかがCADって‥
だからこそ、ヒストリーCADは
社内規程が必要になるのです。
④そういうことされると後でわかんなくなるんだよね
基本的に3DCADを導入すると、
2D機能をどのようにうまく使いこなせるか?
などの要因で設計者の作業スピードに差がでます。
しかし、ヒストリーCADの場合、
上記に加え、拘束の要因が加わることにより
その差が顕著になります。
拘束の運用が千差万別なのは当たり前で、
さらにインターネットで調べれば
他の設計者が知らない操作(拘束がついて回る)
が出てきます。
ただでさえヒストリーCADは、
ノンヒストリーCADであれば1日で済む作業が
ヒストリーCADの場合3日~7日作業となります。
なので、
操作面で少しでも楽に速くできないか模索が絶えません
(なんのために仕事してんだろ?)
そして、満を持して自分で調べたことをやると
そういうことされると、
後でみんなか
わからなくなるんだよね
となります。
だからこそ、ヒストリーCADは
社内規程が必要になるのです。
こうならないためにもヒストリーCADにおいては、
- 社内規定でみんなが知らない操作(拘束が常について回る)
を、やらせないように規定するか - みんなに少しでも楽で速い操作を共有するために
日々のアップデートをしていくか
となります。
⑤まとめ
ヒストリーCADを導入するのであれば、
厳格な社内規定を設けましょう。
そして、
その社内規定は、できればアップデートが望ましいでしょう。
- 設計者同士で小さな不満を持たせないために
- 価値観の逆転によるで否定とやり直しの負のループにならないために
- 少しでも楽で早い操作が否定されないように
- 少しでも楽で早い操作が共有されるように
逆に言うと ヒストリーCADの場合 常に設計者が
操作面はもちろん上記のストレスに悩まされているのです。
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。