tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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真空チャックとそのメカニズム

本ブログの御訪問ありがとうございます

機械設計歴20年以上のtsurfと言います

 

今回は以下に関する記事です

真空チャックとそのメカニズム(真空チャック力計算など)

 

  

⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

真空チャックってだいたいわかるけど

注意点とか エアのシステムとか教えて欲しい

 

 

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

以下を なるべく
わかりやすく説明します

●真空チャックの原理

●真空チャックの注意点

●真空チャックに必要なエアシステム

 

 

①結論

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真空チャックとは 真空によってワークを掴むことです

掴んで 搬送などをしたりします

 

真空チャックは 以下の特徴があります

●軽量物に対して有効 重量物は不可

●チャック自体に機械的構造がないので構造が簡単で 安価

●回転昇降機構と組み合わせ安い

●真空発生源に 真空発生器や真空ポンプが必要となる

 

②真空チャックの構造

以下 例を提示します

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後述しますが チューブの先には以下を接続します

●真空発生源(真空発生器 OR 真空ポンプ)

●真空圧計

●真空用 電磁弁

 

③真空チャックのメカニズムとチャック力計算

真空チャックのメカニズム

真空チャック機構の断面を以下とします

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真空パッド部の ワークが乗る部分の開口ΦDaの部分が

真空となる範囲です

 

図を見ていただくと わかりますが 

 

真空チャックとは 真空で引っ張るというより

ΦDa部を負圧にすることにより 

その範囲部に圧力差が生じ 大気圧に押されるのです

 

それ以外の部分は 大気圧が均等に掛かるので±0となります

 

真空チャック力の計算式

真空チャック圧の式は 以下となります

 

真空チャック力 VF(N)

VF =π × (ΦD/2)² × Pa

(N)

ΦD 真空範囲直径 (㎜)
Pa 真空圧 (KPa=0.001N/mm²)

 

以下 例を出します

真空範囲直径 ΦD Φ8 (㎜)
真空圧 Pa 30 (KPa=0.001N/mm²)
 
上記条件の場合VFは以下となります
π × (8/2)² × 30×0.001 = 1.5 (N)

 

 

注意点

上記式からわかる通り

真空圧は 理論上-0.1MPaが最大です

しかし 真空発生源には 発生真空圧に上限があります

 

したがって 持ち上げるワークには限界があり

真空チャック力を強めようとするならば 以下の方法があります

 

  • 真空圧の範囲を広げる
    ΦDaの部分をなるべく大きくする

  • 真空圧を上げる
    真空発生源の能力が上限値ですが、
    その範囲内での調整です

 

 

④真空チャックに必要な真空機器

真空チャックにおいて、真空を発生させる機器が必要です。
その真空を発生させる機器は、以下の2つあります。

  • 真空ポンプ
  • 真空発生器

それぞれ どのような特徴があるのかは、
⇩以下の記事を御参照ください。⇩


 

⑤真空チャックのエアシステム(真空ポンプ)

概要

真空チャックに必要なエアシステムの例を提示します

以下は 真空発生源に真空ポンプを使用した例となります

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基本的には 

上記のようにシンプルであるがゆえに 安価なシステムです

 

 

真空用2方向弁

真空を伝えるか伝えないかの2方向弁となります

  • 真空発生⇒弁開
  • 真空解除⇒弁閉

⇩2方向弁については 以下を御参照ください⇩


真空破壊用2方向弁

真空用2方向弁を閉じて 真空を遮断しても

ワークから真空用2方向弁までのラインに真空が残る場合があり

ワークの吸着が 離れない場合があります

 

その時に 

この弁を開けると ワークから真空用2方向弁までのラインの真空が破壊されます

それにより 吸着が解除され ワークがアンチャックされます

 

真空圧計

これは 結構重要で チャック力を管理するためにも必要です

先述のようにチャック力は真空圧から求められます

後述する真空レギュレーターと組合わせて 調整 管理します

 

真空レギュレーター

真空圧を調整できるエア機器です

つまみを回すと 真空圧を調整できます

真空圧計を見ながら調整します

 

 

⑥真空チャックのエアシステム(真空発生器)

概要

真空チャックに必要なエアシステムの例を提示します

以下は 真空発生源に真空発生器を使用した例となります


基本的には 

上記のようにシンプルであるがゆえに 安価なシステムです

 

以下に関しては 真空ポンプの場合と同じです

  • 真空用2方向弁
  • 真空破壊用2方向弁
  • 真空圧計

 

真空発生器へのエア供給用2方向弁

真空発生器に、真空を発生させるための
エア供給用2方向弁となります。

この場合、真空を発生させるためには
真空発生器にエアを供給させるので、以下となります。

  • 真空発生⇒弁開
  • 真空解除⇒弁閉

 

 

エア流量調整用手動弁

これは 重要です。

真空発生器へのエア供給量を調整することにより
結果的に真空圧を調整できます。

真空圧計を見ながら調整します。

 

実際には以下を用いることが多いです。

  • スピードコントローラー(チェック弁なし)
  • レギュレーター
    供給圧の強弱でもエア流量の変更が可能だからです。

 

 

真空発生器による
エアシステム注意点

真空発生器を用いた真空圧調整方法は以下です。

〇⇒真空発生器に供給するエア量での調整
✖⇒真空レギュレーターを設置して真空圧を直接調整

 

理由ですが

  • 真空発生に供給するエア量での調整の場合
    真空圧を弱めたければ エアの供給量を減らせばいいのです。
    つまり エアの消費量を節約できます

  • 真空レギュレーターで真空圧を直接調整の場合
    真空圧を弱めるために 真空レギュレーターで調整しても
    真空発生器の消費エアは多いままです。

 

⑦真空ポンプと真空発生器の使い分け

基本的には以下となります。

  • 真空チャック⇒真空発生器
    短時間かつ真空範囲も狭い限定的な真空発生なので、
    エア消費量も少なく抑えられるからです。
    従ってシステム自体が安いというメリットを
    最大限に活かすことができます。

  • 真空チャンバー⇒真空ポンプ
    真空での処理が必要なので、
    当然駆動系も真空チャンバー内となります。
    したがって、ある程度大きな容積を長時間
    真空にしなくてはいけません。

    これを、エジェクターでやろうとすると、かなりの
    エアを消費するので、システム全体のエア圧降下で、
    システムダウンしかねません。
    真空ポンプにしたほうが無難です。

 

 

⑧真空チャックの実際の設計、計算例

 実際の設計例や真空チャック力の計算例を解説します。

⇩以下の記事を御参照ください⇩


 

⑨まとめ

  • 真空チャックは 機械的構造がないため安価にできる
  • また 回転昇降とも組み合わせやすい
  • ただし 軽量物のみに限る 真空圧には限界があるから
  • 真空チャックによるチャック力は 計算で簡単に求めることができる
  • チャック力の計算式は 真空圧 × 真空発生面積
  • 真空圧計と組み合わせて チャック力の管理ができる
  • 真空チャック真空発生源に真空発生を使用する場合は注意
  • 工夫次第で真空発生用のエアを省エネできる

 

本記事は以上です

最後までお読み頂きありがとうございます

 

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