tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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電磁弁の知識 直動式と内部パイロット、外部パイロット

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

電磁弁の知識
直動式と内部パイロット、
外部パイロット

 

⇩本記事は機械設計初心者の方で
以下の方にオススメです⇩

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とある
初心者機械設計者

電磁弁って
いろいろ種類あるんだな

 

 

⇩本記事を読むと以下が
 わかります⇩

管理人T.Surf

今回は

直動式と
内部/外部
パイロット
について解説します

本記事は以下の知識があることを
前提としています。

 

 

 

①結論:直動式とパイロット式の使いわけ

直動ポペット式

直動ポペット式はその性質から
2ポート弁がメインとなります。

 

直動ポペット式については詳しく後述します。
直動ポペット式は以下の場合に使用します。

  • 小口径のエアブロー
  • 小口径の真空ライン

上記が前提で、かつ

  • 長期通電ではない

という条件を満たしている場合です。

 

内部パイロットスプール式

パイロットスプール式は、その特性から
3ポート弁 5ポート弁が
メインとなります。

 

内部パイロットスプール式については
詳しく後述します。

内部パイロットスプール式は以下の場合に
使用します。

  • 大口径の高圧エアブロー

上記が前提で、かつ

  • 短期~長期通電のエアブロー

またエアシリンダーは必然的に
高圧、大口径になりがちで、
場合によっては長期通電になるので

  • エアシリンダーの動作制御

にも適しています。

 

外部パイロットスプール式

外部パイロットスプール式については
詳しく後述します。

内部パイロットスプール式は以下の場合に
使用します。

  • 大口径の低圧エアブロー
  • 大口径の真空ライン

上記で、かつ

  • 短期~長期通電

 

また、

  • エアベアリングアクチュエーター等の
    超低圧駆動制御

にも用いられます。

 

使い分けは特性から

まずは、直動式とパイロット式の
使いわけから解説しましたが、

使い分けというのは、
それぞれ弁駆動方式の特性によります。

 

では、
なぜそのような使い分けとなるのでしょうか?

次章から解説していきます。

 

 

②直動ポペット式

直動ポペット式解説

2方向弁に多く見られる構造です。
2方向弁は

  • エアを流すか
  • エアを止めるか

の選択です。

 

基本的にプランジャーの上下動で弁の開閉を
行いますが、

そのプランジャーの上下動を
直接ソレノイド
(+スプリング)
プランジャーの動作により、
弁の開閉を操作します

 

詳しくは以下の記事を御参照ください
先述の記事を御参照願います。

 

直動ポペット式の特性と
メリット/デメリット

直動ポペット式は、プランジャーの上下動を
直接ソレノイドの電磁力で行うので

  • 電磁弁が大きくなる
  • 消費電力が大きい

という特性となり

 

メリット/デメリットをまとめると
以下となります。

メリット
  • 流体(エアブローなど)の圧力が
    低かったり負圧でも使用可能

  • 構造が単純なため安価
デメリット
  • 電磁石で直接プランジャー操作のため、
    電磁弁自体が大きくなり、
    消費電力も大きい

  • 口径が大きくなればなるほど
    ソレノイドが大きさと
    消費電力の大きさが顕著になるため
    口径の大きい2ポート弁自体が無くなる。

  • 消費電力が大きいため
    長時間通電使用でコイルの焼き切れなどが
    起こる可能性がある。

 

なので、冒頭で述べた通り

  • 長期通電ではない小口径エアブローライン
  • 長期通電ではない小口径真空ライン

が適切な使用用途となります。

 

 

③内部パイロットスプール式

概要

3ポート弁と5ポート弁の電磁弁に
多く見られます。

 

3ポート弁と5ポート弁は

  • エアを流す
  • エアと止める

という単純な動作でありません
弁の状態を切り替えないといけません。

 

それを可能にするのがスプールの切り替えです。
以下は3ポート弁での解説となります。

 

3ポート弁は以下のようにスプールの
切り替えを行います。

ですが、このスプールの移動は直接ソレノイド
では行っていません。

 

以下の図は パイロット式3ポート弁の
内部の回路図となります。

内部パイロット3ポート弁は
スプールの構造体の中に
3ポートパイロット電磁弁が組み込まれた
製品となります。


この内部の回路図を見るとわかるのですが
メインのエアーを分岐して 3ポートパイロット電磁弁
の加圧ポートにつながっています。

 

そこから
スプールを動作室につながっていますね。

 

また 3ポートパイロット弁の排気は
メインの排気につながっています。

 

パイロット動作:通電時

まずこの電磁弁に通電されます。

もともと回路的にメインのエアから
3ポートパイロット弁に分岐されています。

ですので、3ポートパイロット弁から
スプールの動作室にエアが供給されます。

そして上図のようにスプールが移動して
弁が3ポート弁自体が供給に切り替わります。

 

パイロット動作:非通電時

では次は非通電時です。
3ポートパイロット弁が排気に
切り替わります。

 

すると、スプールの動作室から
エアが抜けてメインのエア排気ポートから
操作エアがぬけていきます。

すると、上図のように
弁がスプリングにより切り替わり
メインより接続機器からの排気がなされます。

 

パイロットスプール式の特性と
メリット/デメリット

パイロットスプール式は、スプールの移動を
強大なエアの力で行います。

 

3ポート弁パイロット電磁弁自体は
エアの出入りのみなんですね。

ということは・・・

  • 電磁弁が小さくなる
  • 消費電力が小さい

という特性となり

 

以下メリット/デメリットをまとめると
以下のようになります。

メリット
  • エアによりスプール操作なので 
    直動式に比べて省電力

  • 従って長時間通電しても、
    問題ない場合がある

  • エアによりスプール操作なので、
    小型にできる
デメリット
  • 低圧や真空ではスプールが動かない
    (この場合、外部パイロット型を使用)

 

なので、冒頭で述べた通り

  • 大口径の高圧エアブロー

上記が前提で、かつ

  • 短期~長期通電のエアブロー

 

内部パイロット3ポート弁を
エアブローに使用する場合は以下の記事を
御参照願います。

 

またエアシリンダーは必然的に
高圧、大口径になりがちで、
場合によっては長期通電になるので

  • エアシリンダーの動作制御

にも適しています。

 

 

④外部パイロットスプール式

外部パイロットとは、スプールの操作エアを
内部のエアを使用するのではなく
外部のエアを使用します。

 

大口径で長期通電になるが
低圧や真空を扱いたい場合内部パイロットでは
対応できません。

 

なぜなら真空や低圧では
スプールを動かせないからです。

 

ですので

  • 大口径
  • 長期通電
  • 低圧/真空

を扱いたい場合は
外部パイロットを使用します

 

以下、内部の回路図を見てもらえば一目瞭然です。

この場合、外部パイロットのポートに
高圧のエアラインから分岐した配管をつなぐ必要があります。

 

ですので、外部パイロットの場合
外部パイロットポートが存在します。

 

 

⑤まとめ

  • 電磁弁には直動式とパイロット式がある
  • 直動式は2ポート弁に多い
  • パイロット式は3、5ポート弁に多い
  • 直動式はプランジャーをソレノイドで直接操作
  • パイロット式はスプールを内部の流体を利用して操作
  • 直動式は小口径、短時間通電であれば
    真空~エアブローまで様々なエアを扱えるが
    電磁弁自体が大きく消費電力も大きい
  • パイロットは内部のエアを利用するので
    電磁弁が小さく作成でき、消費電力も小さい
  • 内部パイロット式は大口径かつ、場合によっては
    長期通電も可能だが スプールを内部の流体で
    操作する都合上 ある程度の高圧が必要で
    真空や低圧を扱えない
  • パイロット式で低圧や真空を扱いたい場合は
    外部パイロットを使用する

 

本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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