本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です
私の図面についてJISや基本的な寸法の入れ方は
絶対なのか?
本記事は機械設計初心者の方にオススメです
機械設計初心者の方に、
向けて、図面に対する
考えの一つを
知ってもらいたいです。
あくまで 私の考えです。
- ①結論
- ②とあるインターネットの記事
- ③図面は、それ自体が目的ではなく 加工指示書
- ④世の中の加工業者に、統一した図面の見方がない
- ⑤会社によって図面の書き方が結構違う
- ⑥機械設計の技術者には 他に大事なことがある
- ⑦まとめ
①結論
実は私自身、
『図面が完全にJISや基本の寸法の入れ方に則っているか
どうかは、あまり重要でない』
と思っています。
実のところ、溶接記号だとかは、ほとんど使用しないため
習った頃は覚えていたのですが、忘れてしまいました。
会社の図面の書き方としても『溶接』と書いて、引き出し線で
指示する程度です。
全周溶接か点付けなどの指示することなく、『歪なきこと』と記載して
加工屋さんの経験測で溶接をしてもらうことが、ほとんどです。
さすがに 公差や面肌 幾何公差などの最低限の記法は
JISに則っていることを絶対条件として、
『図面が完全にJISや基本の寸法の入れ方に則っているか
どうかは、あまり重要でない』
と思う理由は以下となります。
- 図面は、図面作成自体が目的ではない
図面はそれ自体が目的ではなく、加工指示書という手段にすぎません。 - 世の中の加工者業者に、統一した図面の見方がない。
それは、JISの図面の見方も例外ではなく、実際にJIS表記を
知らない加工屋さんもいました。 - 従って、加工作業者に伝わればいい
図面は、その会社のやり方に則って書けばいいと思います。
加工作業者がわからない箇所は、問い合わせで解決すればいいのです。 - 会社によって 図面の書き方が結構違う
図面の書き方が違うのは、その会社が自社の加工システムの中で
蓄積したノウハウの集大成であって、JISに則ってなかったとしても、
何が正しいとかではありません。 - 機械設計の技術者には 他に大事なことがある
他に身に付けなくてはいけない重要なスキル 知識や、
設計業務が山ほどあり、図面にばかり大幅な時間を割いている
わけにはいきません。
②とあるインターネットの記事
インターネットの記事で
『機械設計業界では図面を、軽視している』
という記事を記事を見つけました。
この記事を見ると
その方の会社では図面作成を、JISに乗っ取らず
設計者が皆好き勝手に作成しているというのです。
確かに私の考えに照らし合わせれば、
私はJISを軽視していることになるのでしょう。
耳の痛いところではあります。
しかし JISに則っているかどうかが本当に重要なのでしょうか?
私的には
『会社が定めている作図ルールに則ってはいるが
その作図ルールがJISに則っていないだけであれば、何も問題ない』
と思っています。
③図面は、それ自体が目的ではなく 加工指示書
図面は、加工指示書です。
加工指示書にすぎない以上
JISに則っているかどうかが重要ではなく、
加工作業者に伝わるかどうかが重要です。
特に溶接記号などは、あまりにJISに則りすぎると
かえって図面がぐちゃぐちゃになる可能性があり、
わかりづらいものとなり、加工ミスの原因となりうる可能性もあります。
JISはあくまで原則であって、それがそのまま
『全ての加工作業者に伝わるかどうか?』
というのは、別問題です。
④世の中の加工業者に、統一した図面の見方がない
極端な例ですが 私が実際に体験した話です。
ある図面中 穴のハメあい公差 Φ6M6の指示をして出図しました。
この場合 -0.001/-0.009の公差範囲です。
しかし加工業者から以下の質問が来ました。
なぜ Φ6の穴をあけて、M6のタップを切るんだ?
図面ミスではないのか?
つまり この外注の加工屋さんは、Φ6M6をハメあい公差ではなく
Φ6の下穴をあけて、M6のタップを切れという指示と受け取ったということです
ここで 言いたい結論としては、
JISは図面の作成法として、共通であるべきだが
実際にはそうなってはない
ということを 言いたいのです。
それゆえ設計者は、どんなに正しいと思う図面を書いても
必ず問い合わせが来るものという認識でいなくてならず、
そんなこともわからないのかよ
と思っても、口に出しては、いけません
⑤会社によって図面の書き方が結構違う
概要
会社によって、図面の書き方が結構違います。
理由としては、以下が挙げられます。
- 会社によって、加工システムが違う
社内製作であったり、加工屋さんによる外注任せだったりと様々 - 自社の加工システムの中で、ノウハウやトラウマの蓄積がある
ある装置メーカーAの図面に対する考え
基本は、基準点からの並列寸法だが、
現在の加工精度は高いので、そこまで気にしなくてよい。
それよりも 納期が短い中 並列寸法だと図面が見にくく
間違えて作られて、たいへんな経験をした過去がある。
だから 直列寸法や対称寸法で見やすい図面にするんだ。
ある装置メーカーBの図面に対する考え
基本は基準点からの並列寸法だ
直列寸法での記載は、加工作業者が自分で計算を
しなくてはならない場合が起こる。
加工ミスを減らすために、基準点からの並列寸法は当然
対称寸法や 直列寸法列など設計がわかっていない奴の描き方だ
つまり・・・
図面の書き方が違うのは
その会社が自社の加工システムの中で
蓄積したノウハウやトラウマの集大成です。
よって、何が正しいとかではなく、
JISや基本的な寸法の入れ方などを基礎としつつも、
それぞれの会社で、円滑に加工が進む方法であれば
基本やJISからずれても、全然OKだと私は思います。
⑥機械設計の技術者には 他に大事なことがある
機械設計者は他に身に付けなければならない
スキルや知識が山積しています
それに加え 設計業務も当然山積している状態で
図面の完璧さの追求まで とても手が回りません。
それもあって 私的には
『図面は 加工作業者に伝わればOK』という
認識に どうしてもなってしまいます
⑦まとめ
- JISによってさえいれば、完璧な図面であるとは限らない
- 価値観の問題とはなるが
杓子定規な考えでいると、かえって見にくい図面となり
加工ミスを招く恐れがある。 - そもそも、会社によって加工環境が異なる。
- 従って、会社によって図面にカラーが出るのは当然
- 図面は、JISや基本に則って作成するのが目的ではなく
加工作業者に伝えることが目的
本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。