tsurfの機械設計研究室

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【雑記】図面についてJISや基本的な寸法の入れ方は絶対なのか?

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です

私の図面についてJISや基本的な寸法の入れ方は
絶対なのか?

  

本記事は機械設計初心者の方にオススメです

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管理人TSURF

機械設計初心者の方に、
向けて、図面に対する
考えの一つを
知ってもらいたいです。
あくまで 私の考えです。

 

 

①結論


実は私自身、
『図面が完全にJISや基本の寸法の入れ方に則っているか
どうかは、あまり重要でない』

と思っています。

 

実のところ、溶接記号だとかは、ほとんど使用しないため
習った頃は覚えていたのですが、忘れてしまいました。

 

会社の図面の書き方としても『溶接』と書いて、引き出し線で
指示する程度です。


全周溶接か点付けなどの指示することなく、『歪なきこと』と記載して
加工屋さんの経験測で溶接をしてもらうことが、ほとんどです。

 

さすがに 公差や面肌 幾何公差などの最低限の記法は
JISに則っていることを絶対条件として、

『図面が完全にJISや基本の寸法の入れ方に則っているか
どうかは、あまり重要でない』

と思う理由は以下となります。

 

  • 図面は、図面作成自体が目的ではない
    図面はそれ自体が目的ではなく、加工指示書という手段にすぎません。

  • 世の中の加工者業者に、統一した図面の見方がない。
    それは、JISの図面の見方も例外ではなく、実際にJIS表記を
    知らない加工屋さんもいました。

  • 従って、加工作業者に伝わればいい
    図面は、その会社のやり方に則って書けばいいと思います。
    加工作業者がわからない箇所は、問い合わせで解決すればいいのです。

  • 会社によって 図面の書き方が結構違う
    図面の書き方が違うのは、その会社が自社の加工システムの中で
    蓄積したノウハウの集大成であって、JISに則ってなかったとしても、
    何が正しいとかではありません。

  • 機械設計の技術者には 他に大事なことがある
    他に身に付けなくてはいけない重要なスキル 知識や、
    設計業務が山ほどあり、図面にばかり大幅な時間を割いている
    わけにはいきません。

 

 

②とあるインターネットの記事

インターネットの記事で
『機械設計業界では図面を、軽視している』
という記事を記事を見つけました。

 

この記事を見ると
その方の会社では図面作成を、JISに乗っ取らず
設計者が皆好き勝手に作成しているというのです。

 

確かに私の考えに照らし合わせれば、
私はJISを軽視していることになるのでしょう。

 

耳の痛いところではあります。
しかし JISに則っているかどうかが本当に重要なのでしょうか?

 

私的には 
『会社が定めている作図ルールに則ってはいるが
その作図ルールがJISに則っていないだけであれば、何も問題ない』
と思っています。

 

 

③図面は、それ自体が目的ではなく 加工指示書

図面は、加工指示書です。

 

加工指示書にすぎない以上 

JISに則っているかどうかが重要ではなく、
加工作業者に伝わるかどうかが重要です。

特に溶接記号などは、あまりにJISに則りすぎると
かえって図面がぐちゃぐちゃになる可能性があり、
わかりづらいものとなり、加工ミスの原因となりうる可能性もあります。

 

JISはあくまで原則であって、それがそのまま
『全ての加工作業者に伝わるかどうか?』
というのは、
別問題です。

 

 

④世の中の加工業者に、統一した図面の見方がない

極端な例ですが 私が実際に体験した話です。

ある図面中 穴のハメあい公差 Φ6M6の指示をして出図しました。
この場合 -0.001/-0.009の公差範囲です。

 

しかし加工業者から以下の質問が来ました。

 

とある加工屋

なぜ Φ6の穴をあけて、M6のタップを切るんだ?
図面ミスではないのか?

 

つまり この外注の加工屋さんは、Φ6M6をハメあい公差ではなく
Φ6の下穴をあけて、M6のタップを切れという指示と受け取ったということです

 

ここで 言いたい結論としては、

JISは図面の作成法として、共通であるべきだが
実際にはそうなってはない

ということを 言いたいのです。

 

それゆえ設計者は、どんなに正しいと思う図面を書いても
必ず問い合わせが来るものという認識でいなくてならず、

 

そんなこともわからないのかよ

と思っても、口に出しては、いけません

 

 

⑤会社によって図面の書き方が結構違う

概要

会社によって、図面の書き方が結構違います。

理由としては、以下が挙げられます。

  • 会社によって、加工システムが違う
    社内製作であったり、加工屋さんによる外注任せだったりと様々
  • 自社の加工システムの中で、ノウハウやトラウマの蓄積がある

 

 

ある装置メーカーAの図面に対する考え

基本は、基準点からの並列寸法だが、
現在の加工精度は高いので、そこまで気にしなくてよい。

それよりも 納期が短い中 並列寸法だと図面が見にくく
間違えて作られて、たいへんな経験をした過去がある。

だから 直列寸法や対称寸法で見やすい図面にするんだ。

 

 

ある装置メーカーBの図面に対する考え

基本は基準点からの並列寸法だ

直列寸法での記載は、加工作業者が自分で計算を
しなくてはならない場合が起こる。

 

加工ミスを減らすために、基準点からの並列寸法は当然
対称寸法や 直列寸法列など設計がわかっていない奴の描き方だ

 

 

つまり・・・

図面の書き方が違うのは 
その会社が自社の加工システムの中で
蓄積したノウハウやトラウマの集大成です。

よって、何が正しいとかではなく、
JISや基本的な寸法の入れ方などを基礎としつつも、

 

それぞれの会社で、円滑に加工が進む方法であれば
基本やJISからずれても、全然OKだと私は思います。

 

 

⑥機械設計の技術者には 他に大事なことがある

機械設計者は他に身に付けなければならない 
スキルや知識が山積しています

 

それに加え 設計業務も当然山積している状態で
図面の完璧さの追求まで とても手が回りません。

 

それもあって 私的には
『図面は 加工作業者に伝わればOK』という
認識に どうしてもなってしまいます

 

 

⑦まとめ

  • JISによってさえいれば、完璧な図面であるとは限らない
  • 価値観の問題とはなるが
    杓子定規な考えでいると、かえって見にくい図面となり
    加工ミスを招く恐れがある。
  • そもそも、会社によって加工環境が異なる。
  • 従って、会社によって図面にカラーが出るのは当然
  • 図面は、JISや基本に則って作成するのが目的ではなく
    加工作業者に伝えることが目的

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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