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機械設計歴20年以上のT.Surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
中小製造業に数値経営など必要ない
―数値経営や数値評価からの脱却
中小製造業において、数値で経営を語る風潮が広がっています。
しかし、現場実務に根ざした設計者として20年以上の経験を持つ私から見れば、
それは本質を見誤った危険な思想です。
①数値経営とは何か
中小製造業において「数値経営」は必要なのか――
この問いに対する答えは、現場実務に根ざした設計者としての私の立場からは明確です。必要ない。
むしろ、
数値経営からの脱却こそが、企業の本質に迫る経営の第一歩だと考えています。
数値経営とは、目に見えない経営の流動性を捉えるために、各種指標を数値化し、
経営判断の材料とする手法です。
代表的なものとしては、企業運営の指標であるROE(自己資本利益率)が挙げられます。
また、実務管理の領域では、成果主義や工数管理といった制度も、数値経営の延長線上にあります。
しかし、これらの数値は「見えないものを見る」ための手段ではなく、
「今、見えているもの」しか捉えることができません。
つまり、企業の本質を映し出すものではなく、企業活動の一場面を切り取った“静止画”に過ぎないのです。
さらに言えば、成果主義や工数管理に至っては、その“静止画”すら成立していない。現場の実態を捉えることなく、制度の枠組みだけが先行し、何も見えていない状態です。
この“静止画”という比喩には、重要な含意があります。
たとえばROE指標にしても、企業のフェーズごとに異なる式が必要であるにもかかわらず、単一の式に押し込めてしまうことで、株主利益の最大化という目的のために設備投資を控える社会構造が生まれてしまったのです。
このような数値経営の限界と危険性については、NOTE記事でも詳しく論じています。以下にリンクを掲載しますので、ぜひご参照ください。
②成果主義や工数管理の間違い
日本の中小製造業において、本当に重要なのは成果主義でも工数管理でもありません。むしろ、年功序列と終身雇用による「長期成長型モデル」こそが、
企業の持続的な発展に資する戦略的な人材育成の仕組みなのです。
この仕組みは、単なる“甘やかし”ではなく、企業が意図的に設計した人材成長の制度です。詳しくは、以下のNOTEマガジンをご参照ください。
一方で、成果主義や工数管理は、アメリカのMBA思想に基づく「短期利益の最大化」「株主迎合型経営」の産物です。
これらの制度は、数値にできない成果や時間による成長価値などを一切切り捨てて、評価のために数値をして評価、選別します。
このことにより、企業の本質的な成長よりも、株主への短期的な配当金を優先する構造を内包しており、現場における弊害の方が圧倒的に多いのです。
その弊害については、以下のマガジンで詳しく論じています。
はっきり言います。
- かつての日本が築いた長期投資・長期成長型モデルこそが正しく、
- アメリカのMBAに象徴される短期利益追求モデルは、構造的に誤っています。
実際、アメリカでは株主の利益を最優先する経営が進行した結果、
中間層が貧困層へと転落し、国内需要が消失。
設備投資による長期的な経済成長が不可能となり、アメリカの富裕層は自国の再起を諦めて他国への経済侵略へと舵を切りました――その象徴が「グローバリズム」と呼ばれる経済構造なのです。
そもそも、日本の中小企業には株主による圧力が存在しません。
したがって、成果主義を導入する理由も、必要性もないのです。
成果主義とは、アメリカの富裕層株主が日本の大企業に仕掛けた「自らへの配当金還元」のための制度に過ぎません。
③まとめ
今の日本の中小製造業が本当に大切にすべきものは、「数値」ではありません。
数値では見えないもの――それは、
- 教育であり、
- モチベーションであり、
- 現場で育まれる人材の成長です。
これらは、ROEや工数といった指標では捉えきれない、企業の本質的な価値を形づくる要素です。
数値経営が切り取るのは、企業の一瞬の“静止画”に過ぎません。
ですが、教育やモチベーションは、企業の“時間軸”に沿って育まれる“動画”のようなもの。人が育ち、技術が継承され、文化が根づく――そのプロセスこそが、企業の持続的な成長を支えるのです。
成果主義や工数管理のような制度は、短期的な効率や利益を追い求めるあまり、こうした長期的な価値を切り捨ててしまいます。
中小企業がそれらを模倣する必要はありません。
むしろ、株主圧力のない中小企業だからこそ、長期的な人材育成にこそ注力すべきなのです。
今こそ、数値経営から脱却し、「人を育てる経営」へと舵を切るべき時です。
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうごじました。