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機械設計歴20年以上のtsurfと言います
今回は以下に関する記事です
【経営者様への提言】装置コストダウン 部品代と設計工数費 どちらを下げる
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

中小企業経営者
装置のコストを下げるには
部品代を下げるか?
工数費を下げるか?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
断言しますが 部品代です
工数費など関係ありません
①結論
断言します
装置のコストを下げるには
設計工数費(機械、電気、制御)に着眼するのではなく
部品代の値下げを優先させましょう
理由は 後述します
②事例
以前 勤めていた会社であった話ですが
その会社では 主に三菱製のサーボモーターをメインで使っていました
しかし その当時 私が設計した装置で
中空のステッピングモーターを使ったほうが以下のメリットがありました
●部品点数が大幅に減る
●モーター自体も安い
●小型
しかし
設計DR会議で それを伝えたところ
とある役員から以下のような 質問(ヤジ)が来ました

とある役員
それだと
ステッピングモーターを動作させるための
制御設計の工数が掛かるだろ
そういうところを考えているのか?
つまり 👇以下のようなことを言いたいのです👇
『 普段 三菱製のサーボモーターを使っているから
ましてや 他社製のステッピングモーターの駆動プログラムを
一から構築しなくてはならなく 工数費が掛かる 』
当時 その質問(ヤジ)を聞いて
その役員のあまりの頭の悪さに戦慄を覚えたものでした
どこが間違っているのかを 以下の3点で解説していきます
●間接工数費と直接部品費の違い
●装置の完全リピートや 他装置への技術のリピート
●どうして こんな問題が起こりやすいのか?
③間接工数費と直接部品費の違い
これは以前の記事でも記載しましたが
まず 工数費は 以下で計算されます
作業工数費=時間単価 × 作業時間
しかし 実際は社内経費的には 正社員である以上 以下となります
実際の作業工数費=定時間内固定費 + 残業代
例えば 上記の例を使い 以下の条件で検証してみます
正社員の工数単価 | ➡ | 6000円/時間 |
ステッピングモーターを使う プログラム作成時間合計 |
➡ | 7時間= 定時間内作業5時間 + 残業時間作業2時間 |
工数費の考えていうと
6000円/時間 x 7時間で 4万2千円の経費損失と考えます
しかし 実際は 定時間作業5時間は基本給の固定費分であり
その仕事があるなしに関わらず 社員への給料で失う金額です
問題は残業代ですが 社員に時間単価6000も支払っていますか?
せいぜい 2000円/時間でしょう
従って 今回の例の場合 正確な経費損失は 4000円です
また 上記の例では
定時間作業5時間 残業作業2時間を想定しましたが
その時の負荷で いくらでも変動します
すべて 定時間内で終了すれば 作業による損失はありません
つまり 不確定要素なのです
このように 間接工数費は お客様へ人権費を請求する
見かけ上の数字でしかありません
そもそもですが 不確定要素の強い見かけ上の数字に対して
『設計の工数を考えているのか?』という考えに意味はありません
しかし 直接部品費は 確実に失っていく費用となります
④装置をリピートする場合にコストダウン設計が活きてくる
工数を掛けて コストダウンのための設計をする真の価値は
装置をリピートする場合になります
一度コストダウン設計をしたなら
そのコストダウンした分の利益は リピートし続ける限りずっとついてきます
制御も 前回ステッピングモーターの制御プログラムを組んでいるのですから
コピー&ペーストで済みます
あくまで前回設計したプログラムが元で 工数時間も少なくて済みます
一度工数を掛け 形になったコストダウン設計は(機械にしろ 制御にしろ)
リピートでなくても 他装置に応用が効くでしょう
つまり 工数をかけコストダウンされた装置は
リピートされ続ける限り コストダウン分の利益を生み続けます
しかし工数費を削り 常にコストダウン設計を考えない会社の装置は
リピートされ続ける限りずっと 高いコストはついて回ります
⑤どうして このような問題が起こりやすいのか?
間接工数費と 直接部品費を一緒に考えていることに原因があります
(少し考えれば わかることだと思うのですが・・・)
これらが 同一直線上で考えるには 性質があまりにも異なります
実際に外に出ていくか? 出ていかないか? という根本的な違いがあるのです
工数費などというものは
お客様に人件費を請求する際 具体的な金額に『見える化しただけ』
のものであり
売り上げに対する人件費とも さらに性質を異にするものです
⑥まとめ
●装置のコストダウンのために 設計工数費を惜しまない
●設計工数費を惜しむ という考えも間違えで そもそも関係ない
●設計工数を 惜しまず使い 進化し続ける会社は 長期的に利益を生む
●設計工数を 惜しみ 結果的に進化を拒否する会社に将来は無い
●社内に設計工数の重要性を捏造する役員がいたら 断固として対応をすべき
●もし 自身が設計工数を重視しているならば 恥を知るべき
本記事は以上です
最後までお読み頂きありがとうございます