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機械設計歴20年以上のtsurfと言います
今回は以下に関する記事です
ACサーボモーターとステッピングモーター初歩的な使い分け
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

未経験機械設計者
サーボモーターと
ステッピングモーターって
使い分けはどーする?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
基本は以下ですが
以下だけではありません
その時の使用法で 安く済むモーターを使います
基本的な考えは以下となります
●低速搬送⇒ステッピングモーター
●高速搬送⇒サーボモーター
合わせて以下の記事も参考にしてください
●サーボモーターの選定 一般的な計算式の解説(ボールネジ機構編)
●サーボモーターの選定計算(トルク計算)の基礎 回転テーブル機構編
●サーボモーターの選定計算(トルク計算)の解説 ベルト駆動編(補足 ベルト駆動の直動慣性モーメント式の理由解説付き)
- ①結論
- ②中高速搬送から見た ACサーボモーターのトルク特性
- ③低速搬送から見た ステッピングモーターのトルク特性
- ④制御方法から見る モーターの使い分け
- ⑤停止特性から見る モーターの使い分け
- ⑥消費電力から見る モーターの使い分け
- ⑦発熱量から見る モーターの使い分け
- ⑧まとめ
①結論
『👉 基本の考え方』
あくまで私が第一段階に目安として考えるのが以下となります
●中高速搬送 | ➡ | ACサーボモーター |
●低速搬送 | ➡ | ステッピングモーター |
低速搬送の場合 ステッピングモーターは低速でトルクが大きいので
減速機などが必要でなくなり 安く済む場合があります
『👉 上記以外の例』
また 上記に関わらず 以下の場合もあります
●オープンループ制御は脱調が心配 クローズループ制御でないと信頼できない |
➡ | サーボモーター or 脱調レスステッピングモーター |
●画像検査による完全停止 ●超精密受け渡しのための完全停止 |
➡ | ステッピングモーター |
●消費電力を厳しく制限されている | ➡ | サーボモーター |
●必要以上の発熱が許されない | ➡ | サーボモーター |
②中高速搬送から見た ACサーボモーターのトルク特性
ACサーボモーターは下図のようなトルク特性を持ちます
3000rpmまでトルクにムラがありません
つまり 高速搬送でも有利ということです
補足解説 連続運転領域と短時間運転領域
連続運転領域 | ➡ | この回転領域で連続で運転してもモーター本体 や モータートライバに対して問題ない領域 |
短時間運転領域 | ➡ | 加速時などの極短い時間でのみ使用可能な回転域 この領域で連続運転をしていると モータードライバが発熱で破損する可能性あり |
③低速搬送から見た ステッピングモーターのトルク特性
ステッビンクモーターは下図のようなトルク特性を持ちます
低回転ではトルクがありますが
回転数が上っていくとトルクが降下していきます
つまり低回転域における 低速搬送ならトルクが大きくギアがいらず
コンパクトに 安く使えるということです
④制御方法から見る モーターの使い分け
『👉位置決め方法の違い』
サーボモーターの クローズループ制御と
ステッピングモーターの オープンループ制御の違いに関しては
以下の記事を御参照ください
『👉制御による使い分け』
ステッピングモーターが脱調した場合 見失っていることすら
わからずに クラッシュする可能性があります
(もっとも 脱調することは ほとんどないのですが)
この オープンループ制御がNGの場合は
サーボモーターか 脱調レスステッピングモーターとなります
⑤停止特性から見る モーターの使い分け
構造上ACサーボモーターは
位置決め停止時 完全停止せず
ロータリーエンコーダーの±1分解能を 進んだり戻ったりしています
ステッピングモーターのように1パルス回転分での完全停止はしません
だからこそ
ロータリーエンコーダーによる フィードバックが必要なのです
通常の受け渡しであれば 何も問題ではありません
しかし 以下の例では 問題が発生します
●位置決め完了後 相手の機構にワークを受け渡す際に
微振動すら許されない 超精密受け渡しが必要
●精密な画像検査をするので 停止時の微振動が許されない
上記の場合 ステッピングモーターが有利となります
これは ステッピングモーターは1ステップ回転後、完全停止をするからです
(正確には停止前に微振動がありますが)
⑥消費電力から見る モーターの使い分け
ステッピングモーターは消費電力が多いです
なぜかというと ステップ角回転毎に止まるので
一つ一つのステップ角を移動するすべてに 規定の電流値が必要となるからです
しかし サーボモーターは違います
完全停止できないというデメリットが そのままメリットにつながり
惰性で回っている分は 消費電力を抑えたりできます
したがって 消費電電力を考えると サーボモーターに分があります
⑦発熱量から見る モーターの使い分け
⑥でステッピングモーターの消費電力について触れましたが
消費電力が大きいということは 発熱量も大きいということです
特に 高速回転をさせた時の発熱量は 中々のものです
装置によって 過剰な発熱が許されない条件下の装置もあるでしょう
そういった場合 サーボモーターに分があります
⑧まとめ
●基本的には 中高速搬送⇒サーボモーター
●基本的には 低速搬送⇒ステッピングモーター
●オープンループ制御が嫌であれば
サーボモーターか 脱調レスステッピングモーター
●超精密受け渡しが必要であれば ステッピングモーター
●精密な画像検査が必要であれば ステッピングモーター
●消費電力を節約したいなら サーボモーター
●発熱量を抑えたいなら サーボモーター
本記事は以上です
最後までお読み頂きありがとうございます