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機械設計歴20年以上のT.surfと言います。
今回は以下に関する記事です。
【経済の基礎】
お金の正体は、
発行者の(会計上の)負債
経済発展のために
弱者保護は必須です。
しかし弱者保護は財源が必要です。
財源論の前に
まずは通貨というものが
どういったものかを
知る必要があります。
①お金の正体概要
今回解説するお金の正体の概要は以下です。
- お金は、実は1種類ではない
- お金は、発行者のバランスシートに負債計上される
発行したけれど、自分のものではないので負債 - お金は、誰かの負債によって生まれる
- お金は、返済によって消失する
- 国債の基礎知識
②お金は1種類ではない
概要
実はお金は1種類ではないのです。
お金には以下の種類があります。
- 銀行預金
- 日銀当座預金(=現金紙幣)
銀行預金
銀行預金は説明するまでもありませんが
我々が市中銀行に口座を開設して
預けているお金です。
最近では、クレジットなどの決済にも
使われているお金です。
銀行預金は、市中銀行が発行します。
今あるあなたの銀行預金は、
もともと市中銀行が過去に既発した銀行預金が
流通しているものです。
銀行預金は、
民間人や民間企業の資産ではありますが
市中銀行にとっての負債です。
なぜなら、
銀行預金は市中銀行のものではなく
民間人や民間企業のものだからです。
ここで銀行預金が、市中銀行が発行したもの
というイメージが付きにくいと思いますので、
以下を後述で詳細を解説します。
市中銀行が・・・
日銀当座預金
みなさんは学校の社会の授業で
『日銀は、銀行の銀行』だと習ったと思います。
政府や市中銀行は日銀に口座を持っています。
それが日銀当座預金口座です。
我々一般人や一般企業は この日銀に
日銀当座預金口座を開設できません。
日銀当座預金とは、
『政府と市中銀行と日銀』間の決済用のデーター通貨で
以下の特徴があります。
- 『政府と市中銀行と日銀』間で
日銀当座預金を使い、国債の売買がされる - 市中に流通することのない通貨
日銀当座預金で物品やサービスの売買は不可
つまり我々が使っている通貨とは別の通貨 - 日銀当座預金は原則的に利子はつかない
(※その時の金融政策によって違う)
日銀当座預金は、日銀が発行します。
日銀当座預金は、
市中銀行や政府にとって、資産ではありますが
日銀にとっては負債です。
なぜなら、日銀当座預金は
市中銀行や政府のものだからです。
現金紙幣
我々が現金として使う紙幣は
日本銀行券と印字されています。
厳密には銀行預金とは別のお金です。
現金紙幣は、日銀当座預金が実体化したものです。
現金紙幣は日銀が発行します。
現金紙幣は
民間とって、資産ではありますが
日銀にとっては負債です。
なぜなら、
現金紙幣は民間のものだからです。
③お金の正体
いずれにしても
お金の正体は、だれかの負債です。
- 銀行預金は・・
市中銀行が発行
民間の資産ですが、市中銀行の負債です。 - 日銀当座預金は・・
日銀が発行
市中銀行や政府の資産ですが、日銀の負債です。 - 現金紙幣は・・
日銀が発行
民間の資産ですが、日銀の負債です。
事実として、
現金紙幣は日銀にとって負債計上されています。
負債というと、
私達民間人は借金のイメージがあります。
しかし、ここで言う負債とは
『自身で発行したけど、他人のもの』
という解釈ができます。
- 銀行預金は、市中銀行が発行しているけど
市中銀行のものではありませんよね? - 日銀当座預金は、日銀が発行しているけど
日銀のものではありませんよね? - 現金紙幣も、日銀が発行しているけど
日銀のものではありませんよね?
これらの負債は、
自身で発行したものなので
自身のバランスシートに計上せざるをえないが
他人のものなので
便宜的に負債計上せざるをえない
というものであり、
民間の負債や借金とは、まったく性質を異にするもの
であるとわかります。
つまり、お金の正体は負債である以上
政府が通貨発行するということは
『政府が発行したけど、民間のもの』
という会計上の負債を拡大する
ということと等価です。
これが国債発行であり、国債発行=通貨発行です。
そして、後述の記事で解説しますが、
国債発行(=通貨発行)による負債に
税収での返済は必要ありません。
国の借金の返済=国債が売却される
ということですが
実際に行われる国債の売却のオペレーションは、
- 政府が、税を集めて返済するのではなく
- 日銀が、信用創造することで行われます。
④現金紙幣を銀行に預けるプロセス
お金について
- 銀行預金と現金紙幣は別のお金
- 銀行預金は市中銀行にって負債
上記の解説をしました。
そこで、我々が市中銀行に現金紙幣を持って
銀行預金にするということはどういうことか?
そのプロセスを解説します。
我々が市中銀行に現金を持っていきます。
すると、市中銀行はー
- 現金紙幣という市中銀行にとっての
資産を得たので - 我々の預金口座に、銀行預金という
市中銀行にとっての負債を発行します。
では、現金紙幣という資産を得た市中銀行は
現金紙幣をどうするのでしょうか?
市中銀行は現金紙幣を日銀に持っていきます。
すると、日銀は―
- 現金紙幣という日銀にとっての資産を得たので
- 市中銀行の日銀当座預金口座に
日銀当座預金という日銀にとっての負債を
発行します。
ここで、市中銀行にとっては
- 負債である銀行預金
- 資産である日銀当座預金
上記の2つは相殺されるわけですね。
⑤通貨は借金で発行され、返済で消失する
市中銀行の信用創造
市中銀行は、我々が預けた銀行預金で
企業や個人に融資しているわけではありません。
市中銀行が企業や個人にお金を融資する際に
市中銀行はー
- 民間の借用証書という資産と引き換えに
- 市中銀行にとって負債である銀行預金
を0から生み出して発行します。
これを信用創造と言います。
このように負債によって通貨発行がされます。
銀行の場合は、これは事実上の負債ですので
融資先から利子付きで回収しなくてはいけません。
ですが、この信用創造には重要な役割があり、
企業が借金をして投資をすれば、
みなさんの銀行預金が増えるのです。
借金の返済は
通貨の消失
民間が市中銀行への借金を返済すると
- 信用創造で発行された通貨(=民間の借金)
- 市中銀行の負債
上記が相殺する形で
民間の銀行預金が消失します。
市中銀行は利子による収益を
得るだけです。
つまり、企業が投資による借金をしないで
企業が返済ばかりをしていると
みなさんの銀行預金が減る
ということです。
日銀の信用創造
この信用創造は日銀も行っており、
日銀は、国債という資産と引き換えに
日銀にとって負債である日銀当座預金
を発行します。
しかし、日銀と市中銀行には信用創造により生じた
負債の意味が大きく異なます。
日銀の信用創造は、
国債という資産と引き換えに行われます。
国債という資産を得ているので、国債さえあれば、
理論上無限に『負債である日銀当座預金』を創造できます。
これにより、
日銀の負債と資産である国債は相殺され
政府に国債発行という負債が残ります。
しかし、後述の記事で解説しますが、
日銀が引き受けた国債には
政府には、税収での返済は必要ありません。
政府と日銀は連結決算となるからです。
そして、
日銀当座預金が市中銀行に供給されることにより
日銀当座預金という資産が銀行預金という負債が
創造されます。
つまり、
国債発行は民間の銀行預金を生みます。
政府の徴税は
民間の銀行預金を消す
政府が民間から銀行預金を徴税することにより、
- 民間の銀行預金
- 国債(という会計上の負債)
上記が相殺する形で
民間の銀行預金が消失します。
つまり、
税金(特に悪税の消費税)は
民間から銀行預金を減らす
ということです。
⑥国債の知識
国債とは?
政府が発行する債券です。
我々は社会の授業で国債は借金だと習いました。
しかし、それはウソで国債は借金ではありません。
『自身で発行したけど、他人のもの』
として便宜上負債計上せざるをえない
政府にとって、単なる通貨発行です。
なぜなら、
国債が売却される(=借金を返済する)
する場合は日銀が買い取ることになり
日銀は、国債という資産と引き換えに
信用創造により日銀当座預金を発行する
だけだからです。
国債による通貨発行のプロセスは、
後述の記事で解説します。
そして、国債にはもう一つ役割があって、
市中銀行が持っている国債と日銀当座預金を使って
日銀は金融政策を行います。
国債の金利を操作することにより、間接的に
市場の金利調整をします。
その意味で
市中銀行が国債を保持していることが大事なのです。
なので、国債という形を使い、
通貨発行する意味もここにあるのです。
国債は誰が買う?
そもそも、国債は誰が購入しているのでしょう?
これは、勘違いしている人が非常に多いのですが
- 投資家がメインではありません。
- 日銀や市中銀行がメインです。
そして重要なことを言いますが、市中銀行は
- 我々が預けた預金で国債を購入していません。
- 日銀当座預金で国債を購入しています。
そして、後述の記事で解説しますが、
政府が国債を発行すると
市中銀行によって、必ず国債は買われます。
なぜなら先述したとおり、
市中銀行は、国債を日銀当座預金で購入しますが、
日銀当座預金には原則として利子がつかないからです。
なので市中銀行にとって、
日銀当座預金を持っていても仕方ないので
利子収入が見込める国債は必ず買われます。
このことは、
政府が国債を発行すれば
円の信認だとかに関係なく安定して
国債が消費される
ということを意味します。
国債発行は通貨発行
お金の基礎知識を知っていただいた上で
以下の記事を御参照いただくと
国債が通貨発行であり、借金ではないことが
わかります。
⑦まとめ
- お金の正体とは負債
- お金は1種類ではない
- 銀行預金は市中銀行の負債
- 日銀当座預金は日銀の負債
- 現金紙幣は日銀の負債
- お金は借金によって発行される
- お金は返済によって消失する
- お金は国債によって通貨発行される
- お金は徴税によって消失する
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。