tsurfの機械設計研究室

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【中小製造業を守りたい】中身のない雇用の流動化論と解雇規制緩和

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.surfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

【中小製造業を守りたい】
中身のない
雇用の流動化論と解雇規制緩和

 

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管理人T.surf

雇用の流動化や解雇規制緩和について
一度冷静に考える必要があります。
だれのために? 何のために?
言われているのでしょうか
決して個人や中小製造業のためでは
ありません。

 

 

①結論

雇用の流動化と解雇規制緩和

まず 雇用の流動化論と解雇規制緩和はセットです。

一般的には、雇用の流動化を促進するために
解雇規制の緩和が訴えられていますが、違うのです。

 

雇用の流動化とは解雇規制緩和を
正当化するための理由付けです。

 

特に中小製造業にメリットはありません。

中小企業にとって大切なのは
人材の安定=技術の発展と継承です。
当たり前でしょう。

今までは、終身雇用があったから
技術が発展して、継承がされていったんですよ。
だから、
日本製品が評価されているんですよ。

 

なんのための解雇規制緩和?

では、何のための解雇規制緩和なのか?

大企業にとっては、コストカットになります。
そして、コストカットは会社の純利益UPにつながります。

そして、
純利益がUPすると、投資家の配当金もUPします。

 

つまり、
解雇規制緩和と投資家への配当金UPは
因果関係がある
ということだけを言っておきます。

 

 

②中小製造業にとっての雇用の流動化と解雇規制緩和

雇用の流動化を企業間の人材の移動
つまり、『人材の頻繁な流入と流出がある』と定義した場合、
中小製造業にとって、空理空論としか言いようがありません。

なぜなら 以下の理由からです。

  • そもそも、『人材が頻繁に流入してくる』ということがない
  • 中小製造業は少数精鋭なので、求める人材像が限定している
  • 中小製造業は少数精鋭なので製造関連の実務経験や
    実務能力を重視する場合もある

なので、中小製造業で、頻繁な流入と流出をやられると
高度な自社の設計や製造スキルを持った人材が定在しない
と言う状況になります。

 

このような状況でどうやって
中小製造業の技術の存続と発展が図られるというのでしょうか?

中小製造業側も どうせ辞めていくかもわからない人材に
社員教育をしたいと思いますか?

だって技術を教えても、
より給料の高い企業に行くのが あたり前の世の中では、
単なる技術の流出になるだけですから。

 

結局 雇用の流動化と解雇規制緩和のもとでは
中小製造業が衰退していくことになります。

 

 

③雇用の流動化と解雇規制緩和のおかしな点

雇用の流動化は
イノベーションを起こす?

雇用の流動化はイノベーションを起こすらしいです。
イノベーションとは技術革新のことらしいです。

これが管理人にとって意味が不明で、
そもそも技術革新ってなんでしょう?

 

技術革新とは

  • 生産性の向上のことでしょうか?
  • 製品の品質が上がることでしょうか?

そして、

  • 雇用の流動化と技術革新にはどういった
    因果関係があるのでしょう?

 

雇用の流動化とイノベーションに
もし関係があるとしたら
雇用の流動化はイノベーションを阻害します。

生産性の向上にしても 
製品の品質向上にしても
長期的な技術改良と投資が必要です。

でも、雇用が流動するんでしょう?
これが答えです。

 

技術革新をしたければ なおさら
終身雇用が必要だと思いますよ。

現在日本の製品が高く評価されているのは
以前の日本が終身雇用であり、

その安心感長期的視点
技術革新を可能にして、
日本の製品が評価されたんじゃないでしょうか?

 

雇用の流動は個人の都合

そもそもですが、
雇用の流動化なんて余計なお世話です。
そんなものは個人が、自身の都合で決めるべきものです。

 

なぜ 一部の都合で雇用の流動化を推進
されなくてはいけないのでしょうか?

 

考えなくてはいけないポイントは以下です。
雇用の流動化は、個人を幸せにするのか?

ですが、雇用の流動化は以下を必ず招くと
言い切れますか?

  • 転職するたびに給料UP
  • 転職するたびに年間休日UP
  • 転職するたびに人間関係が良好

 

そうばかりではないでしょう。

他人の幸福に関して根拠のない無責任な
雇用の流動化を促進する論調は、断じてやめるべきです。

 

これは、学び直しによる転職推奨にも
同じことが言えます。

断っておきますが、個人が学び直しをして
転職する分には、むしろ応援します。

しかし、学び直しによる転職の推奨を手段
とした雇用の流動化推進には反対します。

労働生産性が高く高賃金の職種にも
就労希望者が溢れてしまい、
結局 すべての市場で低所得化
という本末転倒な結果となります。

 

低賃金問題については、以下で解決可能です。

賃金の低い業界で就労している方へは
国債発行(=通貨発行)で国民を
援助支援をする

 

日本国家における国債発行は以下の理由により
通貨発行です。

  • 日本は国債が自国通貨建て
    中央銀行が自国国債を買い取ることが可能
    自国国債と引き換えに自国通貨を創造できる

  • 日本は変動為替相場制
    財政政策の自由度が大きい

  • 日本は自国での供給能力がそれなりにある
    海外依存度が低いので為替が安定
    海外から借金をする必要があまりない

国債発行による通貨発行で生じた貨幣は
統合政府という枠組みから見れば
自分で発行したけど自分のものではないから
負債計上するしかない

というものです。

 

特定の業界しか労働者がいない社会は、
社会として成り立ちませんし国民総貧困化ですよ。

様々な業種があるから、個々の業種が成り立つんです。
それが社会でしょう。

 

マクロ経済的に見ると

解雇規制緩和は、
その人の人生から雇用=所得の安定を奪います。

先述のとおり、解雇により

  • 次の就職先で、必ずしも給料を含む待遇が
    よくなる保証がありません。
  • 普通に考えて、現在の日本では
    転職したら給料が下がる場合が多いと思います。
  • 解雇規制緩和の元では
    自身がいつ リストラに合うかわかりません。

この状況で個人が消費をするでしょうか?

 

論理的に考えれば、確実に個人消費が冷え込みます。
デフレが今以上に進行しますよ。

 

デフレのツケは、
確実にみなさんの会社の
業績を悪化させ
みなさんの所得を下げます。

 

中身のない雇用の流動化論
と、解雇規制緩和

つまり、
雇用の流動化という言葉に

中身がないんですよ。

 

雇用の流動化を理由に
解雇規制緩和を促進するのは無理があるし、
解雇規制緩和そのものにも正当性がありません。

 

 

④解雇規制緩和 促進の珍説 亜種

概要

管理人が、ネットやTWITTERで
解雇規制緩和に関する非常に興味深い珍説
を見つけてきたので、以下ご紹介します。

珍説1 適材適所論
珍説2 就職しやすくなる論
珍説3 競争原理が作用して賃上げ論
珍説4 『働かないおじさん』が解雇され
全体が賃上げ論

 

珍説1 適材適所論

雇用の流動化は個人にとって適材適所の
職場への到達となるそうです。

 

まず 基本的な疑問ですが
個人にとっての適材適所って何でしょうか?

  • スキル的な話?
  • 人間関係的な話?
  • 職場環境的な話?

何をもって適材適所なんでしょうか?

 

しかも 解雇規制の緩和で適材適所って( ゚Д゚)・・・

人は解雇され続けることによって
必ず適材適所の職場に出会うということでしょうか?
根拠のない無責任な空論です。

 

なぜ そのようなことが言えるのでしょうか?

意味がわかりませんし、
だとしても、それは個人が決断して退職と転職を
すればいいだけの話であるので、
解雇規制緩和の理由になっていません。

 

これも中身のない珍説の一つです。

 

珍説2 転職しやすくなる論

これはつまり、

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現在 解雇規制がきびしいので、企業は
解雇にリスクのある正社員を雇えない

というものです。

そもそもですが、
現在 企業が正社員を雇わないのは
正社員に厳しい解雇規制があるからでしょうか?
だとしても、それだけの理由でしょうか?

 

私は単純に政府の間違った緊縮財政によりデフレとなり
仕事がない つまり・・・

  • 大企業は設備導入などのが投資ができない
  • 中小企業は大企業の設備納入などの仕事もない

上記状況から 人を雇えないだけだと思うのですが・・

 

いずれにしても、何か特定の理由をつけて
まるでそれが束縛して発展を拒むかの論調は
プロパガンダとしか言いようがありません。

 

この珍説で矛盾するのが
この珍説が正しい場合、正社員は
『就職しやすいが解雇されやすい』ということです。

 

安定がない正社員に何の意味があるのでしょうか?
それでは、契約社員や派遣と何が違うのでしょうか?

 

最後に、もう一つ言っておきますが
日本は先進諸国の中でも、
解雇規制が緩いほうだそうです。

 

珍説3 
競争原理により賃上げされる論

だれとだれの競争なんでしょうかね?

 

そもそもですが
解雇規制が緩和されてると労働市場に
求職者が飽和状態となります。

 

すると、需要と供給の関係で、
パワーバランス的に雇用者が強くなりますよね?

すると、労働者にとって
どれだけ安く働けるかの競争ですよ。


実質の賃下げ競争です。
雇用者が低賃金設定しやすくなるだけです。

 

 

珍説4 
働かないおじさんが
解雇され全体が賃上げ論

まず、私は 中小企業しか在籍経験がないので
わからないかもしれませんが、
『働かないおじさん』を見たことがありません。

 

しかも 『働かないおじさん』とやらが
都市伝説上の存在ではなく、実在するとして、


『働いていない』は 誰がどのような基準のもとに
判定されているんでしょうかね?

そして、ここではっきり断言します。

一日中日経新聞を読んで、
年収1000万もらっている
なら働いていないだろ

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管理人T.surf

なぜ あなたは
そのおじさんが一日中
日経新聞読んでるって
わかるんですか?

もしわかるんだとしたら
あなたも一日中仕事をせず、
その おじさん を見ているからです。

 

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管理人T.surf

もう一つ聞きますが
そのおじさんの年収が1000万だと
なぜ知ってるんですか?

もし 知っているんだとしたら
会社の情報をハッキングでも
したんでしょうね。

 

まずは、
一日中だれかを監視したり、給与情報をハッキングしている
暇があったら、目の前の仕事をしたらどうでしょうか?

 

そしてはっきり言います。
『働かないおじさん』が都市伝説ではなく、実在するとして
解雇規制が緩和されても解雇される保証はありません。

 

なぜなら 
現在の成果主義や実力主義は

好き嫌い評価だからです。

 

 

⑤まとめ

  • 雇用の流動化など個人や中小製造業にとって余計なお世話
  • 雇用の流動は、個人の都合で行われるべき
  • 解雇規制緩和についても、解雇自体は恒常的に行われているので
    これ以上緩和する必要がない
  • 中小製造業にとって大事なのは 人材の安定化による
    技術やスキル存続と発展。
  • このような雇用の流動化論と、その影に潜む
    解雇規制緩和運動に同調してはいけません。

 

本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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