tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

スポンサーリンク


MENU

【流体制御機器】面積流量計とパージメーター

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のT.surfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

【流体制御機器】
面積流量計、パージメーター

 

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

初心者機械設計者

流量計をつけろと言われたけど
そもそもつける理由やどんなものかを
知らない。

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

管理人T.Surf

今回は面積式流量計を
解説します。

 

流量計の基礎については、以下の記事を御参照願います。

 

 

①面積流量計やパージメーターは機械的な流量計

面積流量計やパージメーターは、テーパー状の管の中にフロートが入っており、流量が増えるとフロートが押し上げられる構造になっています。

基本的な構造は同じですが、

  • 液体用に使うものを 面積流量計

  • 微小流量の気体用に使うものを パージメーター

と呼んでいます。

フロートは「重さ」「浮力」「流体が押し上げる力」が釣り合った位置で静止し、その位置にある目盛りを読むことで流量がわかります。

構造は同じですが、液体と気体では密度が大きく異なるため、

  • フロートの重さ
  • テーパー角度

などの設計がまったく違います。

 

そのため、液体用は面積流量計、微小流量の気体用はパージメーターとして使われます。

 

 

②面積流量計の特徴と適した用途

面積流量計は、構造がシンプルで電源も不要なため、装置設計で扱いやすい流量計です。ここでは、設計者が知っておくべき特徴と、どんな用途に向いているかをまとめます。

面積流量計、パージメーターの特徴

  • 安価で導入しやすい
    テーパー管とフロートだけの構造で、電子部品も不要。 他方式に比べて圧倒的に安価で、装置コストを抑えたい場面でよく採用されます。

  • ただし、すべて専用設計になる
    流体の種類・温度・圧力によって目盛りスケールが変わるため、 同じ形状でも流体条件が違えば別仕様になります。 (なぜ専用設計が必要なのかは第3章で解説)

  • 高精度ではない
    読み取りは目視のため、±5%程度の誤差が一般的。 また、見る角度によって指示がズレる「視差誤差」も発生します。 高精度が求められる用途には不向きです。

  • 摺動部がある
    摺動部があるので完全なクリーンではありません。

  • 接点付きのタイプもある
    フロート位置に合わせてON/OFF信号を出せるタイプもあり、 簡易的な制御やアラーム用途に利用できます。

  • 基本は立ち上がり配管に設置する
    流体が下から上へ流れることでフロートが安定して動作します。 横向きや逆向きでは正しく動作しません。

  • スプリング内蔵タイプなら姿勢を問わない
    設置スペースの都合で縦に設置できない場合は、 スプリングでフロートを支えるタイプを選ぶことで横向きでも使用できます。

  • 気泡の影響は受けるが、致命的ではない
    液体中に気泡が入るとフロートが揺れて指示が不安定になりますが、 電磁流量計や超音波流量計のように“測定不能になる”ほどではありません。

 

面積流量計が適している用途

面積流量計は、以下のような用途に向いています。

  • 装置内の流量を「目視で確認」したい場合
    装置の状態確認や、オペレーターが現場で流量を見たい場合に最適。

  • 安価に流量監視をしたい場合
    大量に設置する装置や、コスト制約のある設備に向いています。

  • 電源を使いたくない場所
    電源不要で動作するため、電源確保が難しい装置や安全性が求められる環境に適しています。

  • 流量の変化を“傾向として”見たい場合
    絶対値よりも「流れているか」「増えているか」「減っているか」を把握したい用途。

  • 完全なクリーン度が必要ない
    そこまでクリーンが求められないラインに適しています。

上記をまとめると

  • 面積式流量計であれば冷却水、など
  • パージメーターであればパージエアやクリーン度が必要ないエアブロー

など±数%の誤差が許容される用途。

 

 

③手配上の注意点(面積流量計はすべて専用設計)

面積流量計は、構造こそシンプルですが、
手配時の条件が非常に多いという特徴があります。

これは、面積流量計が「流体条件に合わせて目盛りが専用設計される」ためです。
ここでは、手配時に必ず確認すべきポイントと、なぜそれが必要なのかを解説します。

 

面積流量計とパージメーターは“すべて専用設計”である

面積流量計は、見た目が同じでも 流体条件が変われば別仕様 になります。
第4章で詳しく解説しますが、
理由は、フロートが止まる位置(=目盛り)が、以下の条件で変わるためです。
(特に気体を測定するパージメーターが大きく変わる)

  • 流体の種類(密度・粘度が違う)

  • 温度(密度・粘度が変化する)

  • 圧力(気体の場合は特に重要)

  • 流量レンジ

  • 設置姿勢(縦・横)

  • 材質(腐食性・薬液対応)

つまり、カタログの見た目が同じでも、内部のスケールは完全に別物です。

 

手配時に必要な情報(最低限これだけは必須)

  • 流体名(水・油・薬液・エア・N₂など)

  • 流量レンジ(例:0.5〜5 L/min)

  • 温度(例:20℃)

  • 圧力(例:0.3 MPa)

  • 配管サイズ・接続方式(Rc1/2、フランジなど)

  • 材質要求(SUS、PVC、ガラス、PTFEなど)

  • 設置姿勢(基本は縦、横の場合はスプリング式が必要)

  • 用途(目視監視、アラーム用、制御用など)

これらが揃わないと、メーカーは正しいスケールを作れません。

 

なぜここまで条件が必要なのか

理由は、フロートが止まる位置が 流体の密度・粘度・流速 によって大きく変わるためです。

  • 水と油では密度も粘度も違う

  • 気体は圧力で密度が大きく変わる

  • 温度が変わると粘度が変わる

  • フロートの重さ・形状は流体に合わせて最適化されている

そのため、流体条件が変わると、同じ流量でもフロートの位置が変わってしまう。 これが「専用設計である理由」。

 

手配ミスでよくあるトラブル

  • 流量が全然合わない
    → 流体条件が違うスケールを手配してしまった

  • フロートがほとんど動かない
    → 液体なのに気体用を手配した(逆もある)

  • 目盛りが読めないほど揺れる
    → 温度・粘度条件が違う

  • 腐食して破損する
    → 材質選定ミス(薬液ラインでよくある)

  • 横向きに付けて動かない
    → スプリング式でない

初心者が最もやりがちなミスは、 「カタログの見た目が同じだから大丈夫だろう」 と考えてしまうこと。

 

手配のコツ(実務で失敗しないために)

  • 流体条件をすべてメーカーに伝える  (“水です”だけでは不十分)

  • 用途を伝える  (目視監視なのか、アラームなのか)

  • 設置姿勢を必ず確認する

  • 気体の場合は圧力を必ず伝える  (圧力が違うとスケールが完全に変わる)

  • 型式だけで注文しない  (同じ型式でも内部スケールが違う)

これだけで手配ミスはほぼゼロになります。

 

 

第4章 なぜ流量が条件によって変わるのか

結論から言うと、
流量に関して圧力や温度などの条件によって液体はそこまで変化しません。
ですが、気体は大きく変化します。
そのため、特にパージメーターでは条件指定が必須になります。

 

気体は圧縮性・膨張性が大きい

気体は温度や圧力で密度が大きく変わります。
なぜなら気体には、液体とは比較にならない圧縮性や膨張性があるからです。

  • 0.1 MPa → 密度 1

  • 0.5 MPa → 密度 約5倍

密度が変われば、

  • 浮力

  • 流体抵抗

  • フロート位置

すべてが変わります。

そのため、NL/min(標準状態換算流量)という単位が使われています。
(詳細は別記事にリンク)

 

パージメーターで特に必要な条件

  • 設定圧力:例)0.3 MPa(圧力計のパージラインでよく使う)

  • 設定流量:新規ならメーカーに想定値を伝える

  • 温度:特になければ 25℃(常温)

 

液体はそこまでシビアではない理由

液体は圧力で密度がほとんど変わりません。

例:水

  • 0.1 MPa → 998 kg/m³

  • 1.0 MPa → 1003 kg/m³

ほぼ変わらないため、 液体の圧力・温度は“代表値”で十分です。

 

液体の条件はどう伝える?

実務ではこれでOK。

  • 圧力:  
    「常用 0.2 MPa 程度(大気開放ライン)」
    「ポンプ吐出で 0.3 MPa 程度」

  • 温度:  
    「常温 25℃ 程度」  「20〜30℃で使用」

メーカーもこのレベルの情報で問題なくスケールを作れます。

 

 

第5章 新規選定では“メーカーとの打ち合わせ”が不可欠

面積流量計やパージメーターは、すべて専用設計です。
そのため、新規選定の場合は、カタログやWeb情報だけで判断せず、
必ずメーカーと打ち合わせを行う必要があります。

 

なぜ打ち合わせが必要なのか?

  • 流体条件が目盛りに直結するため  密度・粘度・圧力・温度などが違えば、同じ形状でも指示値がまったく変わります。

  • 用途によって設計が変わるため  目視監視なのか、アラームなのか、制御なのかで必要な精度や接点の有無が変わります。

  • 設置姿勢や材質選定が現場条件に依存するため  縦設置か横設置か、腐食性の有無などは現場を知らないと判断できません。

 

実務での進め方(初心者向け)

  1. まずは代表条件を整理する  
    流体名、流量レンジ、温度、圧力、設置姿勢、材質要求など。

  2. メーカーに電話またはメールで相談する  
    「この条件で使いたいが、どの型式が適切か?」と聞く。

  3. 用途を明確に伝える  目視監視か、アラームか、制御か。  
    これだけで選定の方向性が大きく変わります。

  4. 設置場所の写真や図面があれば添付する  
    姿勢やスペースの制約がある場合は、図面があると話が早いです。

 

よくある失敗例

  • カタログの型式だけで注文してしまい、流量が全然合わない

  • 気体用と液体用を間違えて、フロートが動かない

  • 材質を誤って、薬液で腐食して破損

  • 横向きに設置して、動作しない

これらはすべて「打ち合わせなしで手配した」ことが原因です。

 

まとめ:新規選定では“対話”が最も重要

面積流量計・パージメーターは、構造がシンプルなぶん、 流体条件や用途によって設計が大きく変わります。

新規選定では、必ずメーカーと打ち合わせを行い、 条件を伝えたうえで最適な仕様を確認することが不可欠です。

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します