tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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サーボモーターの『定格出力(kw)と定格トルクと定格回転数』における関係性と計算式

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。
モーターの基礎として

モーターの
定格出力/動力(kw:キロワット)と
定格トルクと定格回転数 
関係性と計算式

  

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

f:id:tsurf:20210605171303p:plain
とある
未経験機械設計者

モーターについて
わからにことを
以下にまとめたよ。

 

  • モーターをkWで表現されるけど・・・ 
  • 定格出力は どうやって求めるの?
  • サーボモーターの定格回転と定格トルクって?

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

f:id:tsurf:20210611183707p:plain

管理人T.Surf

質問に対して
わかりやすく説明します

 

 

①モーターの出力(動力)と
サーボモーターの定格出力とは?

モーターの出力(動力)は

モーターの出力(動力)とは

どの程度のトルクを、
どの程度の回転数で実現できるか?

という数値となります。

従って計算式は以下となります。
出力(/動力)=トルクx回転数

 

サーボモーターの定格出力とは

サーボモーターを以下の条件で
運転した場合の出力となります。

計算式としては 以下となります。

定格出力
=定格トルクx定格回転数

 

 

②定格トルクと定格回転数

定格トルク

サーボモーターの場合

このトルクであれば連続運転しても
サーボアンプが熱で破損しない
というトルクです。

 

つまり、
連続運転が可能なトルク帯
であるということです。

 

以下の記事でも解説していますが

サーボモーターの場合

定格トルクに対して、
瞬時最大トルクというものがあります。

 

この瞬時最大トルクは
定格トルク以上のトルクが許されますが、
長時間の使用はできません。

熱による破損を防ぐために
加速など極短時間であれば使用していい
というトルク帯です。

 

定格回転数

定格トルクが発揮できる回転域です。

つまり、
定格回転数以内であれば定格トルクでの
連続運用が可能

ということですね。

 

なお、
この定格回転数を越えて使用することは可能です。

ただし
最大回転数以下であること
を条件として、

定格回転数を越えると、トルクが下がる
ことに留意が必要です。

 

 

③サーボモーターの定格出力を求める計算式

計算式

モーターの動力を求める式は以下となります。
何故 以下の式になるのかは後述します。

 

定格出力P(Kw)

P={T × 2π × n ÷ 60}÷ 1000

定格トルク (単位N・m)
定格回転数 (単位rpm)

 

計算式解説

👉STEP 1  回転数を弧度法に変換

 

P={T × 2π × n ÷ 60}÷ 1000

 

緑の塗りつぶしの個所は、
毎分の回転数n(rpm)に対して
2πをかけています。

これは
毎分の回転数(rpm:roll/min)
弧度法(無次元)に変換しています

 

弧度法はラジアンと呼ばれていますが
実は無次元です。

なぜなら弧度法は
角度で現される円弧の長さを半径で割った比
であるため単位は無次元です。

 

1回転あたり2π(ラジアンは無次元)なので
回転数n(rpm)にかけてあげると以下になります。

2πn(1/min)

 

これは、
1分間あたりの回転数をラジアンで表したもの
になります。

 

弧度法と角速度については
⇩以下の記事を御参照願います⇩

 

👉STEP 2 毎秒換算

定格出力P(kw)は毎秒あたりの仕事量です。

 

前項で
毎分当たりの弧度法による回転数
を求めましたが、それを
毎秒当たりの弧度法による回転数
に変換するために緑の塗りつぶし部で60で割ります。

P={T × 2π × n ÷ 60}÷ 1000

 

👉STEP 3 トルクを掛けると・・・

最終的に トルク(N・m)をかけると
動力(出力)が算出されます。

 P={T × 2π × n ÷ 60}÷ 1000

単位としては(N・m)/Sとなり=Wとなります。

 

👉STEP 4 単位換算

 P={T × 2π × n ÷ 60}÷ 1000

 ここで1000で割っていますが、
これは 単に(w )を(kw)への換算です。

 

 

④よく見る動力の計算式の注意点

上記 動力の式から、トルクも求められます

 

注意点として、今回御紹介した式で
塗りつぶしの部分を定数として計算すると

 P={T × 2π × ÷ 60} ÷ 1000

(2 π ÷ 60)/1000=(1/9549)

となり

 

結果 以下の緑の塗りつぶし部分が。
定数扱いの計算式がよく見られます。

  • 動力 
    P=(T × n) × (1/9549)

  • トルク
    T=(P ÷ n) × (9549)

 

特にこのような定数化された式を使う時には 
定数の算出過程を 知っておく必要があります。

 

 今回の場合の注意すべき点は 👇以下です👇

 

👉注意点1  
回転数は、1分間当たりの回転数の代入であること

もし 
1秒間当りの回転数を代入する場合は係数が
異なります。

 

👉注意点2  
算出される動力の単位は(kw)であることを忘れない

もし
(w)で算出したい場合は係数が異なります。

 

 

⑤まとめ

  • 出力(動力)
    トルクと単位時間当たりの回転数の積で
    単位時間あたりに、どのくらいのトルクで回転できるのかを表します。

  • トルク
    動力一定であれば、回転数に反比例します。

  • 回転数
    動力一定であれば、トルクに反比例します。

  • サーボモーターにおける定格トルク
    サーボモーターの場合、連続運転してもサーボアンプが熱で
    破損しないトルクです。
    したがって、トルクが回転数に反比例であるといっても
    上限があり、それが定格トルクとなります。

  • サーボモーターにおける定格回転数
    定格回転数とは定格トルクが、維持できる回転数のことです。
    定格回転数を越えて運転は可能ですが、以下の制限があります
  1. 最大回転数以下であること
  2. トルクが下がる
    (定格回転の範囲内は定格トルクの上限があるが
    定格回転以上であれば トルクは回転数に反比例するので)

 

 

⑥その他 関連記事

⇩各機構事のサーボモーターの選定計算集です⇩

 

サーボモーターと
ステッピングモーターの位置決めの違いです

 

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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