本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。
今回は以下に関する記事です。
ステッピングモーターに対する誤解
⇩本記事は機械設計初心者の方で以下の方にオススメです⇩
![f:id:tsurf:20210605171303p:plain](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tsurf/20210605/20210605171303.png)
未経験機械設計者
ステッピングモーター
って位置決め精度
低いの?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
そんなわけ
ないと思いますが・・
管理人の考えを
解説します。
ステッピングモーターについては
以下を御参照願います。
①ステッピングモーターは繰り返し停止精度について
ステッピングモーターは
サーボモーターに比べて位置決め精度が低い
ということが言われています。
管理人は位置決め精度が低いというのは
繰り返し精度や分解能自体の精度が低いのか?
と思ったので
そんなばかな
でも、まぁ
サーボに比べたらな
という感じす。
例えば
オリエンタルモーターのAZシリーズの
ステッピングモーターの繰り返し精度は
±0.05度以内とあります。
通常の装置であれば
ステッピングのモーターの繰り返し停止精度で
充分だと思います。
それに対してサーボの繰り返し停止精度は
ロータリーエンコーダーの分解能に依存します。
なぜなら、
サーボモーターは完全停止できないからです。
ロータリーエンコーダーの1分解能分を
行ったり来たりしています。
もともとがACモーターなので
時間とともに電流の流れが変化してしまうためです。
従って、この1分解能を行ったり来たりを
停止精度の振れ幅と仮定するなら
あくまで理論上ですが
1分解能分が停止精度と言えます。
ロータリーエンコーダーの分解能22ビット
のサーボモーターの場合、1分解能は
8.58×10-5度となります。
このサーボの8.58×10-5度の繰り返し精度が
欲しければサーボ一択となります。
ですが、先述の通り通常の装置では
ステッピングモーターの繰り返し停止精度である
0.05度以内(オリエンタルモーターAZシリーズ)
であれば充分ではないでしょうか?
減速機付きであればさらに小さくなります。
②その他の位置決め性能について
その他の位置決め精度が低いと言われている理由を
確認してみると以下のような
- オープンループ制御なので脱調が積み重なる
- 分解能が低い
というようなものがほとんどでした。
たしかにこれはステッピングモーターの
デメリットでではあることは認めます。
ですが、それらは位置決め精度の低さというよりは
サーボモーターと比較した場合の
位置決め機能のデメリットと言うべき
だと思います。
つまり、位置決め精度に関するものとは
切り離して考えるべきことなのだと思います。
ステッピングモーターは位置決め精度だけで言うと
繰り返し精度やステップ角自体の精度は高く
繰り返し精度は先述の通りで
結果として位置決め精度は高いです。
次項よりデメリットである
- オープンループ制御
- 分解能の低さ
とその対処法を見ていきましょう。
③オープンループ制御
オープンループ制御であることは
確かにステッピングモーターのデメリットである
と思います。
脱調により位置がずれるというのはもっともですが
基本的にステッピングモーター自体が正しく選定されていれば
まず脱調は起きないはずです。
正しく選定というのは以下
- トルク
- 許容慣性モーメント
トルクだけではなく、許容慣性モーメントも
含めてです。
ただし、いくらステッピングモーターが
正しく選定されていても
何らかのトラブルで異常負荷の状況に陥れば
当然脱調はありえます。
そのような心配があればステッピングモーターでも
- 脱調検知のタイプ
- 脱調レスのタイプ
などがあり、通常であれば
脱調レスではなくても
脱調を検知できれば充分だと思います。
なぜなら
異常負荷で脱調というのは余程のことだからです。
つまり、
適切な選定や製品自体の選定で十分に対処可能なのです。
④分解能の粗さ
ステッピングモーターはモーター自体に分解能があります。
そのモーター自体の分解能は低く
エンコーダーによる高分解能と比較すれば
確かにデメリットかもしれません。
ステッピングモーターの分解能は
- 5相ステッピングモーターで0.72度
- オリエンタルモーターのAZシリーズの
高分解能タイプで0.36度
となります。
ですが、
マイクロステップを活用すればさらに細かくできます。
ただ先述の繰り返し停止精度で説明しましたが
キーエンスのサーボモーターのエンコーダーの分解能は
22ビットであり、8.58×10-5 度です。
この8.58×10-5 度の分解能が必要であればサーボモーター一択
となるでしょう。
ですが、通常の装置であれば
ボールネジ機構であれば
1stepあたりの移動量は小さくなるでしょうし
ラック&ピニオンやインデックス回転
であれば減速機をつけることが多くなります。
するとさらに分解能が細かくなり十分なことが多いです。
それでも
不十分であればマイクロステップも一考の余地はあります。
⑤つまり・・・
管理人自体はステッピングモーターの位置決め精度が低い
というのは
ステッピングモーターの特性やデメリットを
位置決め精度と混同してしまっているものなのか?
と思うのですがどうでしょうか?
繰り返し停止精度については
装置によるとは思いますが
ステッピングモーターのデメリットである以下は
- オープンループ制御
- 分解能の低さ
あくまでサーボモーターと比較した場合の
位置決め機能のデメリット
と言うべきであり、
位置決め精度が低い
というべきではないと思います。
その位置決め機能のデメリットにしても
あくまでサーボモーターと比較した場合のものであり
通常の運用であれば気にするものでもなかったり
対応が可能なのです。
ただ 運用に際しては
ステッピングモーターのデメリットである
消費電力の多さはきちんと把握した上で使用
すべきです。
本記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。