tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

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単軸ロボット(ロボシリンダー)における わかりづらい選定要素の解説(可搬質量、加速度、速度の関係など)

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上T.surfと言います。

今回は以下に関する記事です。

 

【機械要素】
単軸ロボット(ロボシリンダー)における
わかりづらい選定要素の解説
(可搬質量、加速度、速度の関係など)

  

⇩本記事は以下の方にオススメです⇩

機械設計初心者

ロボシリンダ―
とかの選定でわからない
ところがあるよ

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人TSURF

カタログだけでは
わかりづらい
要素を解説します。

 

 

①加速度/速度と可搬質量について

可搬質量と加速度について

―加速度表記についてー

IAIは加速度を重力加速度を基準に表記しています。
従って0.3Gと言った場合
0.3×9.8(m/sec²)=2.94(m/sec²)となります。

なので1(m/sec²)の場合は
1(m/sec²)÷9.8(m/sec²)=0.102Gとなります。

 

―加速度と可搬質量―

加速度と可搬質量の関係ですが
加速度が大きくなると可搬質量が小さくなります。

 

なぜなら

水平時
全推力
Fh (N)
垂直時
全推力
Fv (N)
搬送質量
(kg)
加速度
(m/sec²)
重力加速度
(m/sec²)
摩擦係数
μ
(無次元)

とすると、以下の式となるからです。

Fh=μMg+Ma=M(μg+a)

Fv=Mg+Ma=M(g+a)

上記式において 

gは重力加速度の定数
μは摩擦係数
なので、

推力一定であれば 
可搬質量が大きくなれば、加速度が小さくなりまし、
加速度が大きくなれば、可搬質量が小さくなります。
詳しくは、以下の記事を御参照願います。

 

 

②速度と可搬質量について

速度と可搬質量については、

ステッピングタイプ
サーボタイプ
で特性が異なります。

 

―ステッピングタイプはー
ステッピングモーターの特性上高回転になると
トルクが落ちます。

従って、ステッピングタイプのロボシリンダ―は、
最高速度が大きくなると以下が小さくなり、

(垂直の場合)重力に対抗する力
(水平の場合)摩擦力に対抗する力

結果としての可搬質量の限界が小さくなります。

 

―サーボタイプはー
サーボモーターの特性上、基本的には
定格トルク、定格回転数であれば
高回転でもトルクが落ちることはありません。

従ってサーボタイプのロボシリンダ―で
あれば、ある程度の重量でも高速搬送が可能です。

 

―使い分けとしてはー
ステッピングタイプは、高速域で可搬質量が落ちます。
しかし、ステッピングモーターには以下の特性があり、

  • 安価
  • 低速でトルクが大きい

低速搬送でしたら ステッピングタイプのほうが
有利、かつコストが抑えれられます。

従って、

低速搬送 ステッピングタイプ
高速搬送 サーボタイプ

と使い分けが必要です。

 

 

③ストロークと速度について

ストロークが長い仕様のものだと使用最高速度が
落ちます。

この理由は、正確にはストロークではなく
ボールネジの長さが長くなると
ボールネジが高回転した時にヨレなどが発生して
危険なためです。

 

もう一度言いますが、
正確にはストロークではなくボールネジの長さです。

注意が必要なのが、ダブルスライダー仕様で、
⇩ダブルスライダー仕様⇩

ストロークが短くなりますが、
ボールネジの長さが短くなっているわけではありません。

 

ストローク(ボールネジ長さ)と速度の確認の際は、

ダブルスライダーの場合 実際のストロークと
比較してはいけません。


ダブルスライダーの場合でも
シングルタイプ時のストロークで見なくてはいけません。

 

 

④その他の選定要素

位置決め精度

位置決め精度については、2つの位置決め精度があります。

  • 繰り返し位置決め精度
  • ロストモーション

以下の記事を御参照願います。

 

動的モーメント

動的モーメントについては
以下の記事を御参照ください。

 

 

⑤まとめ

  • 加速度と可搬質量は反比例する
  • ステッピングタイプの場合は、速度があがると
    可搬質量が落ちる
  • ただしステッピングタイプは
    ステッピングモーター自体が安く低速域で
    トルクが大きい
  • したがって 低速搬送の場合は
    ステッピングタイプのほうが有利
  • ボールネジが長くなると最高速度が落ちる
    (ダブルスライダータイプに注意)

本記事は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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