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機械設計歴20年以上のtsurfと言います
今回は以下に関する記事です
めねじを強くするヘリサートとエンザート
⇩本記事は以下の方にオススメです⇩
エンザートとヘリサートって?
⇩本記事を読むと以下が わかります⇩
ヘリサートやエンザートの説明
使い分けを解説します。
①結論
ヘリサートやエンザートは、
やわらかい材質の母材に、強いメネジが欲しい場合に使う
埋め込み式のメネジです。
柔らかい母材とは 樹脂やアルミなどで 以下の図のような
感じになります。
後述しますが、
エンザートはヘリサートよりも強いので、基本エンザートで考えます。
ただし エンザートは大きいので
エンザートが入らない場所に関しては、小さなヘリサートです。
②タップの強度の基本的なこと
小さいタップ(メネジ)は強くないので、
ネジを強く締めすぎると、タップ部が破損してしまい
空転をして 部品の締結ができなくなってしまいます。
それでも 母材(タップを切る部品の材質)が、
鉄などの固い材質であれば メネジも丈夫になるのですが、
アルミや樹脂だと 直にメネジを切ると
タップが弱く破損しやすくなります。
実は 私も樹脂に切られたM3メネジを
破損空転させてしまった経験があるのですが、弱い力でも
簡単に破損空転します。
以下のようになります
⇦メネジが弱い傾向 | メネジが強い傾向⇨ | |
---|---|---|
|
|
ですので
アルミや樹脂などに小さいタップを切る場合は
ヘリサートやエンザートを使います。
③エンザート
エンザート特徴
材質は鉄やステンレスが主で
以下のように 外側がオネジで 内側がメネジに
なっています。
図3は M6用のものを例にあげています。
外側がM10のオネジで内側がM6のメネジになっています。
エンザートは締め付けに対して結構強いです 。
ただし 外ネジの規格は内ネジの規格と違うため
ネジ山の根本太さなど多少弱いので、
単純に2回り強くなるわけではありません。
M6であれば M8といったふうに
1回り程度強くなると考えておけばいいと思います。
また図3中 寸法Lで示した長さは、
各タップの大きさで長さが決まっており
例えば M6の場合 12mmです。
エンザート
メリット/デメリット
メリット
- メネジが強くなる
強く締め込むことができるようになれば、
緩みにくいという観点からも優れています
デメリット
- Lの寸法(図3参照)が結構長い。
板厚が薄いものには使用できません。
例で示しているM6エンザートの場合は12mmとなります。
タップの大きさによってLの寸法の長さが違い、
タップが大きくなれば、当然長さも長くなります。 - 外ネジが大きい
例で示したM6の場合、外ネジがM10なので外形がΦ10となります。
たったこれだけのことと思うかもしれませんが、
検討していて、結構やっかいです。
すぐ近くの取付穴と近くなりすぎてしまい、穴と穴の間の
肉厚が極端に小さくなったりします。
④ヘリサート
ヘリサート特徴
材質は鉄やステンレスが主で、以下図4のようにコイル状になっています。
図4は M6用のものを例にあげています。
外径がΦ7.5~Φ8になっていて、この外径を母材に引っ掛けます。
ネジの締め付けに対して、樹脂やアルミ母材より強いという
程度でエンザートよりは弱いです。
また図4中 寸法Lで示した長さは、
各タップサイズで3種類の長さから選べます。
例えば、M6の場合 以下の長さから選べます。
Dはタップの大きさを、表しており1Dは1x6=6mmです。
⇩L寸指示⇩ | ⇩L寸長さ⇩ | |
1D | 6<mm> | |
1.5D | 9<mm> | |
2D | 12<mm> |
ヘリサート
メリット/デメリット
メリット
- ネジの締め付けに対して 樹脂やアルミ母材よりは多少強い
エンザートよりは弱い - Lの寸法が(図4参照) 3種類から選べる
板厚が薄いものにも対応可能 - 外径が小さい
例で示したM6の場合 外径がΦ8です。
検討上 助かる場面もあることはあります。
デメリット
- エンザートよりは弱い
特に小さいタップに関して 弱さを感じる
簡単に破損空転する
⑤まとめ
- ヘリサートやエンザートは アルミや樹脂など母材が
柔らかな材質に ある程度強いメネジが欲しい時に使う
埋め込み式のメネジ - エンザートは ヘリサートより強いので基本はエンザートで
考える。 - しかしエンザートは大きいので、どうしても無理であれば
ヘリサートにする。
本記事は以上です
最後までお読みいただきありがとうございます。