tsurfの機械設計研究室

サーボモーターやエアシリンダの選定計算なども扱っている技術ブログです

スポンサーリンク


MENU

【機械設計者のための物理基礎】遠心力は慣性力である

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計歴20年以上のtsurfと言います。

 

今回は以下に関する記事です。

【機械設計者のための物理基礎】
遠心力は慣性力である

 

⇩本記事を以下の方におススメです⇩

f:id:tsurf:20210605171303p:plain
とある
未経験機械設計者

ワークに掛かる
遠心力を計算したいけど
そもそも遠心力が
わからない

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

管理人T.surf

遠心力とは
実際にそのような
外力があるわけでは
ありません。

 

 

①遠心力について

遠心力は実は慣性力と呼ばれる見かけ上の力の1種です。
実際にはそのような力は働いていません。

物体は慣性の法則により等速直線運動を
したがりますが、これによって引き起こされる現象です。

 

このことを理解するために

  • メリーゴーランドに乗っているA子さん

  • それを停止して観測しているBさん

 

それぞれの視点から見てみましょう。
基本となる円運動については以下の記事を御参照ください。

 

 

②メリーゴーランドでA子さんに起こっていること

メリーゴーランドなどの
円運動を微小時間でみると本来 
物体Mは常に円運動により接線速度vで矢印1に
慣性運動によって移動しようとします。

 

なので微小時間⊿t秒後は、A子さんは
本来は接線方向に吹き飛ばされて、
B地点にいたいのです。


しかし、上記のように
円運動による向心力により中心方向に引っ張られ
A地点にいることになります。

 

 

③Bさんの視点とA子さんの視点

つまり、Bさんが目撃しているのは

A子さんは遠心力によって吹き飛ばされているのではなく

常にB地点に飛び出そうとしているのは実はA子さんのほうであり、
A子さんは向心力によって中心に引き戻されている

という事実です。

 

なのでBさんから見ると
A子さんの挙動を極めて理論的に説明できてしまいます。

 

なので、A子さんが

 

A子さん

メリーゴーランドが
回ったら外側に重力を
かんじたよ

 

と言ったとしたら
Bさんはこうこう答えるでしょう。

Bさん

いやいや、A子さんが外側に
飛び出そうとしてんのを
向心力が中心に引っ張てたんだよ

 

この時に遠心力を含む加速運動によってひきおこされる
慣性力を受けている視点を非慣性系といいます。
今回の例の場合 A子さんの視点は非慣性系となります。
(円運動は加速度の向きが変わる変加速度運動)

 

逆に停止、もしくは等速直線運動の場合は慣性力を受けません。
この場合の視点を慣性系といいます。
今回の例の場合 Bさんの視点は慣性系となります。

 

 

④見かけ上の力:遠心力(慣性力)

遠心力(慣性力)とは、そのような外力が存在するわけではなく、

円運動している観測者が感じる
見かけ上の力となります。

 

外から停止して見ている観測者からは遠心力(慣性力)という言葉を使わず
極めて論理的に説明ができてしまいます。

 

ですが、この遠心力(慣性力)は見かけ上の力と言えど物理学的には
重力と等価と考えてよく、上記例題の場合、メリーゴーランドの中で

メリーゴーランドの回転速度を10秒間で1回転 と仮定すると

  • メリーゴーランドの角速度ωは2π/10=π/5(1/sec)

となります。そして

  • メリーゴーランドの回転半径をr=3(m)

と仮定すると
円運動している全ての物体に掛かる加速度は
a(m/sec²) = r(m) × ω(1/sec)²
a(m/sec²) =3×3.14÷5
a(m/sec²) ≒1.9(m/sec²)
となります。

 

このメリーゴーランドで円運動する物体は
物体の形状や大きさ 質量に関わらず全て1.9m/sec²の加速度が
円運動の外側に掛かります。

 

これはちょうど地球上にある物体全てに
物体の形状や大きさ 質量に関わらず全て9.8m/sec²の加速度が掛かるのに
似てますね。

 

遠心力の補足記事です。
遠心力によって糸が破断するという現象について
慣性力である遠心力ではなく、非慣性系からみた場合の
解説をします。

www.mecha-design-labo.com

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します